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【星組】礼真琴の舞台を振り返る54 『スカーレット・ピンパーネル』(研9)

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礼真琴の舞台を振り返るシリーズ第54回目は、紅ゆずる&綺咲愛里の大劇場お披露目公演『スカーレット・ピンパーネル』を振り返ります。

初演の新人公演で、唐突に主演に抜擢されたさゆみちゃん(紅ゆずる)の出世作!

初演当時、この新人公演の配役が発表された際に「よくぞ劇団、やってくれました!」「これを待ってました!」「たまにはファンのニーズがわかるんだね」な~んていうコメントが並んでいたのを懐かしく思い出します。

知る人ぞ、の存在だったさゆみちゃんが、ファンの声に押し上げられてスターダムにのし上がったという印象が強かったですね。

その役を今回のお披露目公演でふたたび演じることになり、その2番手には安定の実力派スター礼真琴。

初演のちえちゃん(柚希礼音)ショーヴランの歌声も鳥肌ものでしたが、こっちゃんの低音ハスキーヴォイス&伸びやかな高音の美声は感動の域。

貫禄でいったらちえちゃんには叶わなかった印象がありますが、こっちゃんなりのショーヴラン、善戦!

『スカーレット・ピンパーネル 』予備知識

あらすじ

舞台は18世紀末のフランス。

虐げられてきた民衆が自由を求め立ち上がったフランス革命の勃発から数年が経ち、革命政府の統治下で多くの貴族たちが次々に断頭台へ送られていた。

恐怖政治に反感を抱くイギリス貴族パーシー・ブレイクニーは、イギリスで赤い星型の花を指す“スカーレット・ピンパーネル”と名乗ってその正体を隠し、無実の罪で捕らわれた貴族達を国外へと逃亡させる活動を行っていた。

フランスのコメディ・フランセーズ劇場では、パーシーと結婚する女優のマルグリット・サン・ジュストが最後の舞台に立っていた。

ところが、舞台上で革命を否定する発言をしあことで、革命政府公安委員のショーヴランによって公演は中止、劇場は閉鎖されてしまう。

そして、劇場の再開許可が欲しければ反共和派の貴族サン・シール侯爵の居所を教えるよう、ショーヴランから迫られるのだった。

かつて二人は革命を共に闘った同志であったが、マルグリットは理想とはかけ離れた政策を推し進める共和派を見限った過去を持っていた。

ショーヴランに脅され、「スカーレット・ピンパーネル」が救出しようとするサン・シール侯爵の居場所を教えてしまうマルグリット。

その結果、公爵は捕らえられ、断頭台へと送られてしまう。

数日後、パーシーとマルグリットの婚礼の儀式が、イギリスで執り行われるが、その最中に、パーシーは友人サン・シール侯爵の死を知らされる。

そして、その死にマルグリットの密告が関わっていたことを知り、それが真実だと知ったパーシーは妻への愛と疑念の狭間で苦悩する。

ルイ16世の遺児ルイ・シャルル奪還を最大の目的としていたパーシーは、やがて信頼できる仲間達に自らの正体を明かし、共に立ち上がって欲しいと訴える。

彼らは正義のために団結し、ドーヴァー海峡を渡りパリへと向かう。

主な配役

パーシヴァル・ブレイクニー:紅ゆずる
マルグリット・サン・ジュスト:綺咲愛里
ショーヴラン:礼真琴
マクシミリアン・ロベスピエール:七海ひろき
プリンス・オブ・ウェールズ:英真なおき
ドゥ・トゥルネー伯爵夫人:万里柚美
ピポー軍曹:美稀千種
アントニー・デュハースト:壱城あずさ
シモン:如月蓮
イザベル:白妙なつ
アンドリュー・フォークス:天寿光希
ケイト:音波みのり
ドゥ・トゥルネー伯爵:大輝真琴
アン:愛水せれ奈
ジェサップ:輝咲玲央
メルシエ:瀬稀ゆりと
ルネ:紫月音寧
シュザンヌ:夢妃杏瑠
サン・シール侯爵:夏樹れい
座長:夏樹れい
オジー:十碧れいや
アンヌ:空乃みゆ
エルトン:麻央侑希
クーポー:漣レイラ
公安委員:ひろ香祐
ジュリー:紫りら
アルマン・サン・ジュスト:瀬央ゆりあ
ジャンヌ:音咲いつき
ファーレイ:紫藤りゅう
公安委員:桃堂純
ペギー:華鳥礼良
ハル:綾凰華
マリー・グロショルツ:有沙瞳
ベン:天華えま
キューピット:美丘安里
サリー:小桜ほのか
ポリー:天彩峰里
ルイ・シャルル:星蘭ひとみ

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第1幕

登場のインパクトは強め

黒い系の迫力出そうとすると、こっちゃん、表情が行き過ぎる。(笑)

ものすごい形相でインパクトはあるのですが … もう少し表情に工夫が欲しいところですね。

マダムギロチンのナンバーは迫力!

こっちゃんの完璧な音程と声量で、ギロチンへ送られる恐ろしさが増し増し。

セリフ回しや動きの一つひとつが、小池先生にガッツリしぼられたんだろうな~と容易に想像がつくほどに、これまでのこっちゃんから脱皮。

ブラックこっちゃん全開です。

鷹のように…

ちょいちょい迫力不足がチラつきますが、歌唱力でねじ伏せてる感じがそれはそれでありかな、と。

やっぱり童顔にブラックな化粧って、違和感出ちゃいますよね。

かつての『The Lost Glory -美しき幻影-』新人公演のときの、精いっぱい背伸びしたブラックこっちゃんを思い出しますね。

あの頃より、各段、芝居心や技術はアップしていますが、外見的なイメージがイマイチ成長しきれていないというか。

こればかりはもう、土台の問題だからどうにもならないですけどね。(笑)

マルグリットへの純愛

こっちゃんショーヴランの「迫力のなさ」って、実はまっすぐなマルグリッドへの純愛が前面に見えるからなのかも。

ちえちゃんのショーヴランは、マルグリッドに対してもぐいぐいガンガン、自分の気持ちの押し付け風な迫力があったんだけど、こっちゃんショーヴランは、秘めたる思い、ひたすら純粋にマルグリッドを思い続けているようなキャラに見える。

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どちらが正解とかはないと思いますが、あまりにも個性がちがって面白いですね。

見た目は革命家でダークな男ですが、マルグリッドを思って歌うナンバーを聴いていると、普通に恋する男のメッセージに聞こえてきます。

こっちゃんの個性ってやつですかね。

英国王室の仮面舞踏会

やっぱり、こっちゃんショーヴランは革命よりもマルグリッドへの想いが前面に見えてくるんですよね~。

マルグリットに求めているのは革命家としての取り引きというより、ほんのわずかな光を求めて彼女の気持ちを探っているという感じ。

作品としてのショーヴランのイメージではないけど、こんなショーヴランもありだな~と思えてしまいます。

人間の根底にあるのはやっぱり「愛」なのか、と。

第2幕

英国王室の仮面舞踏会

1幕からの引き続きで舞踏会から始まりますが、コメディの中でポツリと存在するショーヴランのブラックな空気感がいいですよね。

ほんと2番手って美味しいわ。

こっちゃんの歌唱力がいつも場面を締めてくれている感じ。

ショーヴランって、初演の時はあまり気にしてみていなかったけど、他のどのキャストよりも歌ってます。

出てくる度に必ず歌ってる感じで。

このショーヴラン役を演じる役者がダメだったら、作品そのものがダメになると、どこかで耳にした記憶がありますが、まさにその主張は的を射ているなと。

こっちゃんのお芝居が「上手い」か「いまいち」かは、観る人のそれぞれの感性であると思います。

ぶっちゃけ、こっちゃんファンの sora でも、こっちゃんのこのショーヴランを絶賛はできません。(苦笑)

だけど、少なくともミュージカルとしての「歌」が占める価値でいうならば、こっちゃんが間違いなくその「質を担保」している気がします。

それ、とっても重要。

パーシーとショーヴランのコント(笑)

スカーレットピンパーネルが現れると信じてやって来たショーヴランと、そのショーヴランを「おちょくりに」来た(笑)パーシーの場面。

さゆみちゃんのノンストップ・コメディ劇場へようこそ。

こっちゃん、ガンバレ!(笑)

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ショーヴランを演じるうえで、役作りよりも何よりも、パーシーのアドリブに立ち向かうのがいちばんの試練だったかも。www

ショーヴランがスカーレットピンパーネルなのでは?としつこく突っ込むパーシーに「いい加減にしてくれっ!こっちまで頭がおかしくなる!!!」と言い放つこっちゃんショーヴラン。

その力のこもり具合は、まるで「今日は何をするつもりですかっ!?さゆみさんっ!!!」な感じ。(笑)

アルマンの拷問

なおちゃん(瀬央ゆりあ)アルマンへのむち打ち、こっちゃんショーヴランの迫力が半端ない。(笑)

仲良し同期の修羅場。www

それにしても、ロベスピエールを演じているかいちゃん(七海ひろき)、どうしてこうも迫力が出ないんでしょうか。

ショーヴランたちを指揮する立場にあるものの、どうしても権力者に見えない…。

こっちゃんの方がよっぽど厚みと重みのある悪役芝居。

このかいちゃんロベスピエールは、じきに部下に権力を取って代わられそうな「か弱さ」を感じてしまいます。

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スカーレットピンパーネルの正体

アルマン解放の取り引きに応じたマルグリットが、コメディ・フランセーズ劇場のステージで、ロベスピエールの意に反した「ひとかけらの勇気」を歌い、ロベスピエールが激怒、大混乱。

その流れで始まるマルグリッドとショーヴランのやりとりが切ない。

パーシーがスカーレットピンパーネルであることに気付いたショーヴラン。

それでも、マルグリットは彼を愛している、と。

ショーヴランが革命の灯の陰で、心ひそかに恐らく一途に思い続けてきたマルグリットが、「私に言えるのは、本当のあの人が誰であれ、愛している!それだけよ。」パーシーへの愛を明確に宣言。

なによりも切ないのは…

ショーヴラン「俺を、愛したことは、ないというのか、、、」

マルグリット「 … ないわ。」

このときのあーちゃん(綺咲愛里)マルグリットの憎たらしさったらない!!

ツンとすかしたお顔に、卵投げつけたくなるレベルです。(笑)

そして、そのやり取りを見ながらニヤリとしているさゆみグラパン(パーシー)にも、カラーボール投げつけたろかっ!!って気分になります。

それくらい、こっちゃんショーヴランのハートブレイクが心に突き刺さります。

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ひどいことをいっぱいしてきたショーヴランですが、それでもひとりの人間として、人を愛するココロが打ち砕かれ、うな垂れるその姿は、誰しも「血の通った人間」であるということをジワリと感じさせてくれます。

マルグリットに「あなたを愛したことなどない」と突き付けられ、高笑いとともに「せいぜい真実の愛に酔うがいい」と言うときのこっちゃんショーヴラン、苦しさを憎しみで覆い隠す覚悟が透けて見えますね。

いや~「愛」とは奥が深い。

そして、こっちゃんショーヴランのこの「人間臭さ」が、やっぱり好き。(笑)

革命への想い、孤独なショーヴラン

なんだか、ショーヴランの孤独に同情しちゃう…。

最後はパーシー(グラパン)の巧みな罠で、ショーヴランが捕まってハッピーエンドとなりますが …

初演からリアルタイムで見ていたときにはあまり感じたことがなかったのですが、改めて今回、こっちゃんに焦点を当てて見直していたせいでしょうか …

ショーヴランに感情移入しすぎて、終わり方になんだかモヤモヤして、スッキリしません。(笑)

単なるファンびいき!?

いや、それだけこっちゃんのショーヴランに「人間臭さ」を感じた証拠ですね。

こっちゃんがそれを意識していたかは別ですが、悪役としてのショーヴランの中に、マルグリットへの純愛が明確に見える役作りは、新しい感覚。

うん、久しぶりに観るとまた新しい視点が生まれて楽しいものですね。

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フィナーレ

♪「ひとかけらの勇気」

2番手の特権、大作ミュージカルの幕切れ後の銀橋。

つややかな歌声とスマイルこっちゃん、やっぱりいいな♡

どれだけ悪役やっていても、さわやかに主題歌を歌って銀橋を渡るこの定番、マンネ感は否めませんが、嫌いじゃない。

大階段からの剣舞

さゆみちゃんが本舞台で娘役さんたちと踊っているときに、後方の大階段に剣を持った男役たちがV字を描いて降りてきます。

その段階ではまだ暗闇の中にいるこっちゃんですが、暗闇の中でもすでに動きがカッコイイ。(笑)

本舞台に降りてからの群舞でも、やっぱりキリリとしたダンスが際立っていますね。

並びで踊っているトップのさゆみちゃん、対で踊っているかいちゃんの二人が、あまりダンスが・・・なので、余計にこっちゃんのダンスが「凄く」みえるというね。www

こっちゃんセンターの群舞

剣舞から、こっちゃん中心のダンス場面へ。

軸のぶれない、無駄のない動きのこっちゃんのダンス、いいですね~。

いつまででも見ていたい。

それにしても、標準以上に歌えて、踊れれて、芝居心も兼ね備えた礼真琴という「宝」。

こっちゃん、宝塚に出会ってくれて本当にありがとう!

ちえちゃんに嵌ってくれて心の底からありがとう!!(笑)

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パレード

ショーヴランでの階段降りですが、さわやかな笑顔のショーヴランに堕ちる♡

劇中でうたう歌とは趣が違って、パレードの歌は温かみが格別。

そして2番手の貫禄も十分。

下手を引っ張るこっちゃんに感動です!!

こっちゃんの舞台を一気に振り返ってきたので、いまだ舞台の端っこでダブルトリオしていた姿が重なり、なんだか感慨深い。(笑)

そして、こっちゃんの宝塚生活も「カウントダウン」が始まっている寂しさも…。

まとめ

駆け足でこっちゃんの歴史を振り返っていますが、こうしてみると本当に時の流れの速さに驚かされます。

こっちゃんを下級生の頃からずっと見守ってきたファンの皆さんにとっても、いまだ研2で可愛らしい「愛」を踊っていた姿が、昨日のことのように鮮明に目に焼き付いているのではないでしょうか。

いつの時代も個性豊かなスターが次々と生まれ、次の世代へと引き継がれていく。

このスター制度があるからこそ、宝塚が100年以上も愛されていることは間違いないのだけれど、やっぱりまだまだず~っとこっちゃんを宝塚で見ていたいですね~。

ただ、こっちゃんの実力と容姿があれば、宝塚を出ても普通に活躍できるんだろうな~と容易に想像がつくだけに、その姿を見てみたい思いとで複雑な気持ちになります。

次回はこっちゃんの初東上作品『阿弖流為-ATERUI-』を振り返ります。

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