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歴史を旅する宝塚 マリー・アントワネット、ルイ16世とフランス革命

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マリーアントワネットや国王ルイ16世が登場したり、フランス革命を題材としていたりする宝塚の作品は多くあります。

その中でも最も有名なのはもちろん『ベルサイユのばら』。

この作品は1974年の初演以来、様々なヴァージョンに形を変え再演されてきました。

他にも有名なミュージカル、オリジナル作品の意外なところにもマリー・アントワネットが登場しています。

どんな作品に登場するのかを調べてみました。

宝塚の舞台に登場するフランス革命

2022年現在、劇団創立210周年に向け、ふたたび「ベルばら祭り」が行われるのでは?と密かにファンの間でも関心が高まりつつあります。

いや、関心と言うよりは、ベルばらはもうお腹いっぱい!と思っている人たちにとっては「危機感」にも似た感覚ですかね。(笑)

間違いなく「期待が高まる」状態ではないと、私は感じています。

でも生徒さんたちの中には、「ベルサイユのばら」に出たい!と思っている方もまだまだ多いようなので、複雑な気持ちですが。

ベルサイユのばら(1974~2015)花・月・雪・星・宙組

1974年に月組で初演されて以来、何度も繰り返し上演されてきたこの作品。ヴァージョンもいろいろ。

以下に宝塚で上演されてた『ベルサイユのばら』シリーズを書き出してみましたが、宝塚大劇場、東京宝塚劇場以外にも全国ツアーや梅田芸術劇場、中日劇場など、途中で嫌になるくらいの上演回数がありました。(笑)

この中でも、マリーアントワネットとルイ16世が出てこない作品も存在します。

その代表的な作品が1991年、当時の月組トップスター、涼風真世のお披露目公演として上演された『ベルサイユのばら~オスカル編~』です。

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また、主に革命後を描いている『外伝ベルサイユのばら』にも、当然ながら登場していません。

1.【月組】ベルサイユのばら

(1974年)宝塚大劇場・東京宝塚劇場

2.【花組】ベルサイユのばら~アンドレとオスカル~

(1975年)宝塚大劇場・東京宝塚劇場

3.【雪組】ベルサイユのばら~アンドレとオスカル~

(1975年)宝塚大劇場・東京宝塚劇場

4.【星組】ベルサイユのばらⅢ

(1976年)宝塚大劇場・東京宝塚劇場

この作品は、初演をベースに前作、アンドレとオスカル編も交えつつ、フェルゼンとマリー・アントワネットを中心に描いた改訂版です。

そして「ベルばら」のシリーズの中で、唯一、国王一家の逃亡事件「ヴァレンヌ事件」を描いた作品でもあります。(第2部・7場 ヴァレンヌの森)

宝塚大劇場での公演では、国王一家が乗る馬車を曳く馬に、本物の馬が使われたという驚きの伝説が残っています。

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5.【月組】ベルサイユのばらⅢ

(1976年)東京宝塚劇場のみ

前作、星組公演が大変な人気を博したことを受け、急遽、東京宝塚劇場でのみ上演されました。

星組公演の脚本にさらに手を加え、フェルゼンとマリー・アントワネットを中心に描いた作品で、昭和のベルばらの集大成として上演時間 約2時間30分を要する大作に仕上げられました。

以降、この作品規模がスタンダードになっていったようです。

6.【花組】ベルサイユのばら~アンドレとオスカル~

(1976年)全国ツアー

約3ヶ月にわたって行われた長期の全国ツアー(当時の呼称は地方公演)。

それほど人気が沸騰していたということですが、それでも、地元で行われた行事と日程が重なり、ある会場では観客が4人しかいなかったという今では考えられない逸話も。

7.【花組】ファンタジー・ベルサイユのばら

(1977年)全国ツアー

アンドレとオスカル編を短く手直しして、約1時間半の作品にして上演されました。

8.【雪組】宝塚ファンタジー・ベルサイユのばら

(1978年)全国ツアー

9.【花組】ベルサイユのばら~アンドレとオスカル~

(1979年)全国ツアー

10.【雪組】ベルサイユのばら~アンドレとオスカル編~

(1980年)全国ツアー

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11.【雪組】ベルサイユのばら~アンドレとオスカル編~

(1989年)宝塚大劇場・東京宝塚劇場

トップスターの杜けあきがアンドレを、2番手の一路真輝がオスカルを演じ、この作品で初めてアンドレが単独の主役として描かれました。

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アンドレとオスカルの物語が軸になっていたため、娘役トップの鮎ゆうきはロザリー役でアンドレと多く絡むよう配慮されていたり、小公女としてストーリーテラーの役割も与えられています。

また、この平成最初のベルばらでは、特別出演として他組のスターたちがフェルゼンを演じる役替わり公演が行なわれました。

以後、こうした役替わりは公演の呼び物のひとつとして、ベルばらだけでなく、様々な公演で度々行なわれるようになりました。

12.【星組】ベルサイユのばら~フェルゼンとマリー・アントワネット編~

(1989年)宝塚大劇場・東京宝塚劇場

フェルゼンとマリーアントワネットの愛を中心に描かれた作品で、マリーアントワネットを演じた毬藻えりさんの美しさは群を抜いていました。

13.【花組】ベルサイユのばら~フェルゼン編~

(1990年)宝塚大劇場・東京宝塚劇場

当時のトップスター、大浦みずき・ひびき美都コンビは、今でも語り継がれるダンスの名手であったため、ダンスシーンが付け加えられました。

ちまたでは「踊るフェルゼン編」と呼ばれています。

そしてこの作品で大きな話題を呼んだのが、この年に初舞台を踏んだ76期生の主席入団、純名里沙さん。

初舞台生でありながら、いきなりエトワールに大抜擢されたのです。これは宝塚歌劇団史上初の「初舞台生にしていきなりエトワール」という快挙でした。

その後もこのような大抜擢は行われていません。

彼女はのちに在団したままNHKの連続テレビ小説「ぴあの」に主演、その後に花組のトップ娘役として真矢みきさんの相手役を務めました。

ちなみに、同じくこの公演で初舞台を踏んだ成績2番の風花舞さん(のちに月組トップ娘役)にも、ソロで踊りながら舞台を横切るという大役が与えられていました。

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14.【月組】ベルサイユのばら~オスカル編~

(1991年)宝塚大劇場・東京宝塚劇場

当時のトップスター涼風真世さんのトップお披露目公演であり、第77期生の初舞台公演でした。

このときの初舞台生には、のちに「女帝」とまで呼ばれるようになる、12年間の長きに渡ってトップ娘役を務めた花總まりさんがいます。

さて、この作品にはなんとマリーアントワネットが登場しません。

演出家の植田先生によれば、「王妃役に似つかわしいスターがいなかった」との理由だそうですが、ベルばらの代名詞とも言えるアントワネットが出てこないのは、いささか寂しかった記憶があります。

しかしながら、主演の涼風真世さんは「オスカル」を演じるために生まれてきたのかと思うほどの当たり役で、相手役を務めたまだ当時は研5のフレッシュな天海祐希さん演じるアンドレとのコンビも絵面は最高級でした。
そしてこの公演で、はじめて「我が名はオスカル」が書き下ろされています。

それまでのオスカルたちのイメージは赤をベースとした軍服でしたが、幕開き大階段中央に立ち、ピンクをベースにした軍服のマントをひるがえしながら「我が名はオスカル」を伸びやかな美声で歌う涼風オスカルに、それはそれはうっとりしきりでした。

天海祐希さんは、この公演から2番手スターとして定着し、以降の活躍はご存知の通りです。

とはいえ研5の若き2番手とのバランスを取る必要があったことから、上級生3番手、久世星佳さんが演じていたアランの比重が増やされています。

15.【雪組】ベルサイユのばら~オスカルとアンドレ編~

(1991年)全国ツアー

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16.【花組】ベルサイユのばら~フェルゼン編~

(1991年)全国ツアー

17.【宙組】ベルサイユのばら2001~フェルゼンとマリー・アントワネット編~

(2001)宝塚大劇場・東京宝塚劇場

21世紀最初のベルばらは、宙組2代目トップスター和央ようかさんのフェルゼンと、女帝・花總まりさんのマリーアントワネットで幕を開けました。

公演期間中に大階段を繋ぐワイヤーにトラブルが発生し、午後公演の開演時間が大幅に遅れてしまうトラブルが発生したことがありました。

応急処置(修理)の為にメンテナンス業者が呼ばれ、その場で修理が行われたようですが、それを客席で待つお客様に対し、当時の支配人が2度も舞台に上がって謝罪しました。

その後、無事に公演は再開されましたが、今思えば、公演中止にせず応急処置で開演したと聞くと… ちょっと怖いですね。

18.【星組】ベルサイユのばら~オスカルとアンドレ編~

(2001年)東京宝塚劇場・宝塚大劇場

19.【星組】ベルサイユのばら~フェルゼンとマリー・アントワネット編

(2006年)宝塚大劇場・東京宝塚劇場

20.【星組】ベルサイユのばら~フェルゼンとマリー・アントワネット編~

(2005年)全国ツアー・韓国公演

21.【雪組】ベルサイユのばら~オスカル編~

(2006年)宝塚大劇場・東京宝塚劇場

22.【雪組】ベルサイユのばら~オスカル編~

(2006年)全国ツアー

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23.【雪組】外伝ベルサイユのばら~ジェロ―デル編~

(2008年)全国ツアー

これまでのベルばらに登場してきた主要な脇役にフォーカスして作られた3部作の第1弾。

外伝の大きな特徴は、原作『ベルサイユのばら』の物語が終わった後である、フランス革命以後の世界も描いていることです。

原作を無視したストーリー展開もあったとされ、それゆえ原作ファンからは否定的な声もあったのでは?

24.【花組】外伝ベルサイユのばら~アラン編~

(2008年)全国ツアー

外伝3部作の第2弾。

25.【星組】外伝ベルサイユのばら~ベルナール編~

(2008年)全国ツアー

外伝3部作の第3弾。

26.【宙組】外伝ベルサイユのばら~アンドレ編~

(2009年)中日劇場

外伝3部作がこれまでの登場人物の中では脇役にフォーカスした作品であったのに対し、この宙組の外伝ではメインキャストであるアンドレの物語が描かれました。

27.【花組】外伝ベルサイユのばら~アンドレ編~

(2009年)宝塚大劇場・東京宝塚劇場

宙組の外伝を手直しして、アンドレ編が本公演として続演されました。

28.【月組】ベルサイユのばら~オスカルとアンドレ編~

(2013年)宝塚大劇場・東京宝塚劇場

この公演は、トップスターの龍真咲と準トップ(当時はこんな迷走した呼び名がありましたね)の明日海りおが、オスカルとアンドレのダブルキャスト(役替わり)で演じ、好評を博しました。

また演出の目玉として、オスカルとアンドレが馬車に乗って天国に旅立つシーンで、クレーンを用いて二人を空中へ飛ばす演出が加えられました。

しかも、馬車を曳く白馬にはLEDでがっつりと電飾が施されており、光り輝く馬車に乗った二人が客席へ大きくせり出し上手、下手へ左右に動くといった派手なものでした。

公式には「好評を博した」ことになっていますが、正直、コアなファンの中では「宝塚はどこへ向かおうとしているの?」という疑問の声も大きかったと記憶しています。

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29.【雪組】ベルサイユのばら~フェルゼン編~

(2013年)宝塚大劇場・東京宝塚劇場

大劇場公演のみ、月組の龍真咲さん、星組の柚希礼音さんがアンドレ役で、宙組の凰稀かなめさんがオスカル役で特別出演しました。

そしてこの公演では再び改定が加えられ、マリーアントワネットの母であるオーストリア女王マリア・テレジアや、アンドレの祖母でありオスカルの乳母でもあるマロングラッセなど、いわゆる複数の脇役が登場しなくなっています。

これまでの作品に比べ、よりフェルゼンにフォーカスした脚本となっています。

個人的には、幸運にもチケットを手に入れて生で観劇することができた、特別出演の柚希アンドレ&凰稀オスカルに萌え萌えでした。(笑)

30.【宙組】ベルサイユのばら~オスカル編~

(2014年)宝塚大劇場・東京宝塚劇場

宝塚歌劇では長きに渡ってベルばらの再演を繰り返してきましたが、この公演で初めて恐怖政治を主導したジャコバン派のリーダー、革命家の「ロベスピエール」描かれました。

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31.【雪組】ベルサイユのばら~オスカルとアンドレ編~

(2014年)全国ツアー

32.【花組】ベルサイユのばら~フェルゼンとマリー・アントワネット編~

(2014年)中日劇場

33.【宙組】ベルサイユのばら~フェルゼンとマリー・アントワネット編

(2014年)全国ツアー

34.【花組】ベルサイユのばら~フェルゼンとマリー・アントワネット編

(2015年)梅田芸術劇場・台湾公演

こうして書き出してみると、いやはや、ベルばら恐るべし。

『エリザベート』や『ロミオとジュリエット』もずいぶんと再演を重ねてきた印象がありますが、まだまだ足元にも及ばないことを実感しました。(笑)

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ジャン・ルイ・ファージョン -王妃の調香師-(2012)星組

2番手時代の紅ゆずる主演、日本青年館で公演された作品です。

混迷の革命前後のフランスを舞台に、王室御用達の香水商として王妃マリー・アントワネットの心を捉えた実在の人物、ジャン・ルイ・ファージョンの波乱の生涯を描いたミュージカル。

贅沢を極めていたフランス王宮のなかで、王侯貴族たちと親しく付き合う中でも、進歩的な教育を受けて育ったジャン・ルイは「すべての人間は平等である」という考えを捨てることはなく、王制廃止へと時代が動き始める世相には共鳴しつつも、花を愛でる純粋な王妃の姿も知ったジャン・ルイ。

次第にジャン・ルイはマリーアントワネットへの秘めたる想いを抱くようになっていきます。

大きな歴史の波に翻弄されながらも、自らの信念と、許されぬ恋心との狭間に揺れるジャン・ルイの生きざまを描いています。

ベルサイユのばらのような直接的な革命物語と言うより、サイドストーリー的な物語の中のマリーアントワネットなので、新鮮かも知れません。

1789-バスティーユの恋人たち-(2015)月組

この作品は、2012年にフランスのパリで初演され大人気となり、それまでにもフランス語圏で何度も上演されてきた大人気のミュージカルです。

小池先生の潤色・演出による宝塚バージョンが、日本での初演となりました。主演は龍真咲・愛希れいか。

フランス革命の混迷の中で翻弄されながら生きる様々な人々の生き様を描く、フレンチ・ロック・ミュージカルです。

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ここに登場するマリーアントワネットは、寂しさを贅沢な暮らしで埋めるために、とにかくゴージャスなお衣装が見ものでした。

また、ベルばらでは断頭台に向かうマリーアントワネットがシルバーヘアーであることはよく知られていますが、この作品では、栄華を極めた全盛期であるにもかかわらず、アントワネットがシルバーヘアーだったことも話題になりました。

ルパン三世-王妃の首飾りを追え!-(2015年)雪組

日本国内だけでなく、世界的に大人気のアニメ『ルパン三世』の物語の中にマリーアントワネットとルイ16世が登場します。

フランスのベルサイユ宮殿で行われている「マリーアントワネットの首飾り」の展覧会にルパンご一行が出没、首飾りを盗もうとした瞬間にタイムスリップしてしまいます。

ルパンたちがタイムスリップしたのは革命前夜のフランス、そこで出会ったのが、まさかのマリーアントワネットでした。

王妃が持っている秘宝「マリアの涙」が、現代に変えることのできるカギであることを知ったルパンは、アントワネットに恨みを抱くジャンヌらに近づき、自分に協力するようたきつけます。

しかし、自分に正直に生きようとするマリーアントワネットに心惹かれていき、またアントワネットもルパンに心惹かれていく… というなんとも突拍子もないストーリーです。(笑)

私はこの作品の早霧(せいな)ルパンのセリフ回しがどうにも苦手で、最後まで見ていられなかったという過去があります。

それでも、興味ある方はいちどお試しください。(笑)

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まとめ

宝塚では、ベルサイユのばらの影響が大きく、マリーアントワネットと言うと、絢爛豪華な宮廷衣装を身にまとった優雅な王妃のイメージが強いですよね。

でも、フランス革命を生き抜いた彼女の実際の人生はどうだったたのか気になります。

歴史やその人生を辿ってみると、また見え方も違ってくるのではないでしょうか。

「ベルばら?もういいよ~」と思っている皆様も、フランス革命の背景を知ってから見直してみると、より味わい深く感じられるかも知れません。

令和のベルばらは、近いうちに必ずや上演されることと思います。

そのときにはぜひ、予備知識を詰め込んでから見てみてくださいね。

きっと楽しさ倍増するはずです!

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