礼真琴の舞台を振り返るシリーズ第64回。
今回は、1963年に初演されて以来何度か再演されてきた『霧深きエルベのほとり』を振り返りたいと思います。
主人公はいわゆる「あんちゃん」系の男性で、さゆみちゃん(紅ゆずる)の得意とする芸当ではありましたが、いつものように少々やりすぎた感もありましたね。
でもそのおかげと言いますか、こっちゃん(礼真琴)の演じた「超いい人」がさらに「スーパーいい人」に見えたりもして、なかなかの相乗効果。(笑)
ところどころ昭和の香りが強烈に漂う、古き良き時代の物語です。
『霧深きエルベのほとり』予備知識
あらすじ
船乗りのカールは、船を降りる覚悟をして久しぶりに故郷ハンブルクに帰ってきた。
街では、年に1度のビア祭りの初日を迎えていた。
祭りの興奮と熱気の中で、カールはマルギットという女性に出会う。
彼女は自由になりたくて、家出をしてきたと言う。
カールとマルギットは互いに惹かれ合い、湖畔のホテルで一夜を共にする。
翌朝、カールはマルギットにプロポーズし、二人でアパートを借りて一緒に生きていこうと誓いあう。
しかし、実はマルギットはハンブルクでも屈指の名家の令嬢で、フロリアンという婚約者までいる身だった。
マルギットは、自分を連れ戻しに来た家族に「カールと一緒でなければ家には戻らない」と宣言してしまう。
そしてカールは名家に迎え入れられることになったが、周囲の人々の目は厳しく、言葉や態度の粗野なカールは浮くばかりで、次第にマルギット自身もそんなカールを恥ずかしく思うようになっていく。
婚約者であったフロリアンは、そんなマルギットを見守り、優しく諌める。
やがてマルギットの思いに気づいたカールは、マルギットの幸せを思い別れる決心をする。
カールはマルギットの父ヨゼフから差し出された手切れ金を受け取り、マルギットに対して憎まれ口と別れの言葉を吐き捨て、屋敷をあとにする。
そんなカールの行動にマルギットは絶望するが、フロリアンから「カールがマルギットのためを思って無理やり吐き出した言葉だ」と諭され、カールの後を追う。
そして彼女はカール行きつけの酒場で、カールが「再び船に乗り今夜出港する」こと、「船が出たら手切れ金をマルギットの元へ返してくれと頼んでいった」ことを聞かされる。
マルギットの幸せを願いながら、カールは再び独り海へと旅立って行く・・・。
主な配役
カール・シュナイダー:紅ゆずる
マルギット・シュラック:綺咲愛里
フロリアン・ザイデル:礼真琴
ヨゼフ・シュラック:一樹千尋
ヴェロニカ:英真なおき
ザビーネ・シュラック:万里柚美
ホルガー:美稀千種
トビアス:七海ひろき
マインラート:如月蓮
マインラート夫人:白妙なつ
カウフマン警部:天寿光希
アンゼリカ・ロンバルト:音波みのり
エルメンライヒ:大輝真琴
ロンバルト:輝咲玲央
デュッケ:瀬稀ゆりと
エルメンライヒ夫人:紫月音寧
ゼルマ:夢妃杏瑠
オリバー:麻央侑希
エドガー・クライン:漣レイラ
フリードリヒ・ヘルマー:ひろ香祐
ミリー:紫りら
マルチン:瀬央ゆりあ
ハイデ:音咲いつき
エンリコ:紫藤りゅう
エリカ:華鳥礼良
シュザンヌ・シュラック:有沙瞳
リコ:天華えま
レオノーラ・ヘルマー:澪乃桜季
アデーレ・クライン:華雪りら
エッダ:小桜ほのか
ペトロネラ:桜庭舞
アドリアン・エルメンライヒ:極美慎
ローゼマリー・マインラート:星蘭ひとみ
ヨーニー:天飛華音
ベティ・シュナイダー:水乃ゆり
霧深きエルベのほとり
プロローグ
さゆみちゃんの(微妙な)ソロの歌から始まり、それが終わるとこっちゃんの掛け声で賑やかな祭りが始まります。
大階段中央から本舞台に駆け下りて歌うこっちゃん。
ビロードの歌声が心地よき。
そして「イイところの坊ちゃん」な感じが漂っているのは気のせいでしょうか…。
こっちゃんに続いてかいちゃん(七海ひろき)とみほちゃん(有沙瞳)が大階段に登場して歌い、こっちゃんは一人本舞台をい~ぱいに使って踊ります。
のびのび、イキイキと広い舞台を動き回って踊るこっちゃん、ステキ♡
そのあと、さゆみちゃんも加わっての総踊り。
さゆみちゃん新体制も脂がのってイイ感じになりましたね~ワクワクする♪
フロリアンが素敵すぎる件
婚約者が、家出までして自分との結婚から逃げようとしているのに、それを理解しようとするフロリアン。
最初の登場シーンから、言ってることがカッコ良すぎてやばい。
そしてハスキーボイスに黒のタキシード姿が似合いすぎて、男前すぎて、この段階であっさりこっちゃんフロリアンに堕ちます。(笑)
でもって追い打ちをかけるような甘い歌声 … もはや犯罪。www
客席降りの「お祭り」
客席の扉から祭りの男女がなだれ込んできて盛り上がるお祭り。
こういう演出、やっぱり楽しいですよね~。
早く当たり前にこんな演出が見られるようになって欲しいな。
こっちゃんはグレージュっぽい色のスーツで銀橋に登場。
二枚目過ぎてクラクラするわ。
でもって、マルギットを探しに客席に降りて通り抜けて行くわけですが・・・こんなカッコいいまま客席に降りて来られたら、思わず下向いちゃうな。(笑)
目なんかが合おうものなら、確実にこ●される。www
客席をキョロキョロ見渡しながらこっちゃんフロリアンが歩き回るので、嬉しいやら、心臓に悪いやら。
タカラジェンヌのスーツ姿って、なんでこんなにかっこいいんでしょ~ねぇ。
はぁー、こっちゃん、罪な人。
おうちへおかえり・・・
カールと一緒にいるマルギットを見つけたフロリアンが最初に放つひと言。
マルギット、おうちへおかえり・・・
いやぁ~昭和の香りが漂う甘いひと言♡
二枚目こっちゃんの甘い優しい声で言われたら、普通は「はい、帰ります♡」なのに、おかしいな。(笑)
さゆみちゃんカールにいきなり殴られ、ナイフを突きつけられるフロリアン、お気の毒。
結婚披露パーティー
こっちゃんフロリアンの黒燕尾、ずっと眺めていられる♡
そして言ってることが「いい人過ぎて」切ない …。
こんな人、いないよね、現実。
逆に今の時代にこんな人いたら疑っちゃうかもなぁ~。
こっちゃんが演じてるからイイ人に思っちゃうけど。(笑)
フロリアンの葛藤
なんだかんだとカールとマルギットに感情振り回されてるフロリアン。
そして、フロリアン自身も、何気にシュザンヌ(有沙瞳)の想いを振り回しちゃってる感が。
人の想いって難しいですな。
いろいろ言ってることに「ちょっと待って」なこともありますが、でも、こっちゃんの葛藤する姿にキュン♡キュン♡しちゃうという・・・ね。
でもって銀橋の歌のあと、ブチ切れてピアノを弾くマルギットに、弾くのを止めさせようと声をかけるこっちゃんフロリアン。
「やぁめぇるぅんだっ」のひとことがあったか~くてスキ。
結局、フロリアンは自分でも言っているようにマルギットの「お兄さん」なんですよね。
広い深い懐の中でマルギットを大切に守っていて、だからマルギットにとってもフロリアンは大切な人だけど、恋する相手ではない。
個人的には、圧倒的にこっちゃんフロリアンの方が魅力的なんだけどな~。
少々理論的すぎて頭フル回転しないとついて行けなさそうだけど。(笑)
最後に悪ぶれて出て行くカールを一発ぶん殴ったフロリアンのその拳に、複雑な彼の想いがめいっぱい込められているようで、ジーンとします。。。
最後までイイ人
マルギットと一緒にカールを探しに酒場を訪ねるこっちゃんフロリアン。
カールが手切れ金を握りしめて屋敷を出て行った後の家族会議で、どんな話がされたのか気になります。
なぜ二人してカールを探しに来ているのか。
結局はフロリアンがマルギットの想いに寄り添った形ですかね、これ。
カールの姿を追いかけて港を探し回るマルギットとフロリアン、そして酒場のママ、ヴェロニカ(英真なおき)、「カール!」「カール・シュナイダー!」叫ぶこっちゃんの声、伸びやかで美しいこと。
でも、3人でカール、カール叫びまくる様子はちょっとシュール。(笑)
まとめ
前回も書きましたが、この1年で一気に色気を増した魅力的な男役へと変貌を遂げたこっちゃん。
今回の役でまたひとつ階段を上った感じですね。
懐深く、愛する女性を一途に想い、理解し、守ろうとする姿に惚れ惚れしてしまいました。
ビジュアルもカンペキ。
そしてやっぱり「声」の魅力が最高級!
低音ハスキーは神!レベルに魅力的で、改めてそれを感じた今回の作品でした。
さて、次回は『ESTRELLAS〜星たち〜』を振り返りたいと思います。
