昭和・平成・令和の3つの時代をまたいで、これまでに「大好き!」と思って繰り返し観てきた宝塚の作品は数えきれないくらいありましたが、そのほとんどは1回きりの上演でした。
駄作と言われながらも再演が繰り返される作品もあれば、名作と言われても1回こっきりで二度と陽の目を浴びない作品もあります。
原作モノだったり、著作権が発生する音楽を使っていたり、作品そのものに版権があったり、そもそも作者である演出家が拒否するとか、いろいろな背景はあるんだと思いますが、、、
最近の、怒涛のごとく柴田作品が次々と再演されるのもちょっとアレですけど(笑)、また見たいな~と思う作品がまったく再演されないのは残念ですよね。
もう一度、観てみたい作品
ほんとうは「ベスト○」とか書いてみようかと思いましたが、昭和の終わりから令和まで、ものすごい数の作品が宝塚の舞台に乗ってきたので、自分の中でもベストを選ぶのは非常に難しく。
しかも、これまでにも再演を繰り返している『エリザベート』とか、少し前に再演された『グレート・ギャツビー』とか、その他、すでに再演された作品を省くと、どれを選んでもベストとは言えないな、と。(笑)
だから単純に「なんか好きだったな~」「また観たいな~」と思う、未再演の作品をピックアップしてみました。
完全に個人的趣味での選択です。(笑)
あの日薔薇一輪(1987/花組)
花組のトップコンビ高汐巴&秋篠美帆の退団公演で、二人を送り出すために柴田侑宏先生が書き下ろしたオリジナル作品です。
ペイさんのひょうひょうとした面白さ(ご本人はいたって普通にしていたようですが … 笑)、抜群のコメディセンス、そして男役としてのスーツやタキシード姿のカッコ良さが最大限に生かされた、大好きな作品でした。
特にラストはサヨナラ公演であり、同時退団だった二人にふさわしい、素敵なシーンになっていました。
関西テレビの放送を大阪在住の友人に録画して送ってもらい、何度も何度も繰り返し観ましたね~。
この時代は、お披露目とかサヨナラ公演には柴田先生が書き下ろすことが多かったですね。(柴田先生と植田神爾先生が圧倒的な力を持っていたイメージがあります)
そういえばこの公演、2番手であったなーちゃん(大浦みずき)が怪我のため大劇場公演の途中から休演し、東京公演も全休演。
なので、なーちゃんが出演している宝塚大劇場公演を収録した関西テレビ版は、とっても貴重な映像になりました。
まだファン歴数年の頃でしたが、第1期「どっぷり宝塚」期だったこともあり、ものすごく印象に残っています。
当時はちょうど月組で『ミー&マイガール』が初演され、剣幸&こだま愛コンビのファンだった sora は大盛り上がりだった時期ですね。(笑)
うたこさん(剣幸)のトップ時代前半と言えば、高汐巴・剣幸・平みち・峰さを理という並びだったので、ペイさん(高汐巴)のサヨナラ公演には結構な思い入れがあります。
ミネちゃん(峰さを理)と続けざまのサヨナラ公演で寂しかったのを覚えています。
若かりし日の思い出。
主な配役
- ロベール・グランジェ:高汐巴
- ハンナ、ミレーヌ:秋篠美帆
- バーナード・ジョーンズ:大浦みずき
- スティーブ:朝香じゅん
- ダイアナ:水原環
- フランク:瀬川佳英
- リチャード:幸和希
- ジェイムズ:真矢みき
- マイラ:ひびき美都
- シンディ:峰丘奈知
- ジェリー:安寿ミラ
- ファニータ:梢真奈美
この当時は、まだヤンミキ(安寿ミラ・真矢みき)の立ち位置は下級生である真矢みきのほうが優勢でした。
大浦みずきの時代になってヤンミキの人気が爆発、ヤンさん(安寿ミラ)が巻き返し、暫定2番手 → トップへといった感じでしたね。
あらすじ
1950年代のアメリカのビジネス界を舞台に、デキシー調のジャズにのせてくり広げられる恋と友情の物語。
ロベールは大企業メイヤー社の重役で、パリ支社からニューオーリンズ本社に着任する。
ある日、とても有能ではあるものの、まったく色気のない秘書のハンナがドレスアップした姿を見たロベールは、彼女がパリ時代の恋人ミレーヌにそっくりなことに驚く。
そしてロベールはハンナに惹かれ始めるが、当のハンナはバーナードに片思い中。
ロベールは ハンナに アプローチの方法をレクチャーする。
バーナードは小さなホテルのマネージャーで、メイヤー社に合併される寸前のホテルを救おうと奔走していた。
合併に関して調査してほしいとハンナから懇願されたロベールは、同僚であり親友のスティーヴ、部下のフランクらの協力を得て調査を開始する。
そんなロベールに恋しているのがメイヤー社の会長の孫娘、ダイアナ。
ロベールが思いを寄せるハンナの恋を応援するお人よしであると同じように、ダイアナもまた、自分に振り向いてくれないロベールのことを 想って行動するお人よし。
複雑に絡んだ恋心、この恋のゆくえは・・・
サウンド・オブ・ミュージック(1988/月組)
これは、もれなく娘役が主演になる作品なので、そういう意味でも再演するのは難しい作品でしょうね。
当時の月組で特別な存在感を示していた歌姫であり芝居達者でもあったマルチな娘2、春風ひとみさんのサヨナラ公演としてバウホールで上演された作品です。
この作品では、別格2.5番手スターだった郷真由加さんも同時退団されました。
はるちゃん(春風ひとみ)はほんとーに唯一無二の娘役でしたし、サイコさん(郷真由加)も下級生の頃から期待の男役として月組を支えてきたスターさんだったので、本公演でサヨナラセレモニーをしなかったのは寂しかったのですが、、、
当時はまだ娘役が主演するバウ公演というのも異例でしたし(近年でも愛希れいかくらいですかね?)、しかも夢だったという『サウンド・オブ・ミュージック』のマリア役で卒業していったのははるちゃんんらしいな~と思いました。
とにかく歌声の素晴らしさは天下一品。
sora の中ではヅカファン人生の中で断トツ1位の歌姫かも。
思い出すのは、うたこさん(剣幸)を中心とした『スォードフラッシュ』という小劇場でのショーでのエピソード。
中日劇場での短期公演中のできごとなのですが、はるちゃんがフィナーレのエトワール的な役割を担って主題歌を歌う場面がありました。
はるちゃんが歌いだしても声が聞こえない。
どうやらマイクの故障のようでした。
その瞬間、それに気づいたはるちゃん、どうしたと思いますか?
声のボリュームを一気にMAX!
なんとオペラ並みに地声であの中日劇場の空間を埋めてみせたのです!!!
あれは鳥肌でしたね~。
その後マイクを差し替え復活してしまったのが、むしろ残念でならず。(笑)
伝説です。
そのはるちゃんのマリアです、、、素晴らしくならないはずはなく。
あのときは1回しか観劇できませんでしたが、とにかく感動、感動、また感動。(笑)
ずっと忘れられない公演になっています。
この作品の中の歌はどれも好きなのですが、特に好きだったのが「♪すべての山に登れ」。
はるちゃんの歌を全力でほめておいて、、、これはマリアが歌う歌じゃないんですけどね。(笑)
主な配役
- マリア:春風ひとみ
- トラップ大佐:郷真由加
- 修道院長:穂高つゆき
- エルザ:若央りさ
- マックス:波音みちる
- ロルフ:いつき吟夏
- リーズル/長女:朝吹南
- フリードリッヒ/長男:大海ひろ
- ルイーザ/次女:時由布花
- クルト/次男:白馬麗
- ブリギッタ/三女:麻乃佳世
- マルタ/四女:木南あづさ
- グレーテル/五女:花丘美幸
長女のリーズルを、直前の本公演『南の哀愁』の新人公演でヒロイン(主演は天海祐希)に抜擢された研2の朝吹南、三女のブリギッタを超新星・まだ研1だった麻乃佳世が演じました。
キャストはオーディション選抜だったようで、ようこさん(朝吹南)が当時「オーディションで始めてもらった役だから、ほんとに嬉しくて♡」と、すごーーーく嬉しそうに話してくれたのを思い出しました。
ブリギッタくらいまでは何とか許容範囲でしたが、さすがにマルタ、グレーテルまでいくと、タカラジェンヌでも子役は厳しいかったかな。(笑)
宝塚でやるには、主演を張れる娘役存在、そして歌唱力とは別に、この子役問題も大きいかも。www
あらすじ
オーストリアのアルプスのふもと、古都ザルッツブルクにほど近い、ノンベルグ修道院の見習い修道女マリアは、暇さえあれば好きな歌をうたったり、山歩きをしていたりして、ミサに遅刻してしまうというありさま。
修道院長はそんなマリアの将来を考え、かねてから依頼されていたトラップ家の家庭教師にマリアを推薦することに。
トラップ家には誇り高く気難しい大佐と、7人の子供たちがいた。
長女リーズル、長男フリードリヒ、次女ルイザ、次男クルト、三女ブリギッタ、四女マルタ、五女グレーテル。
マリアは大佐の軍隊式の厳格な教育方針に激しい抵抗感を覚え、早々に大佐とやりあってしまうのだが、7人の子供たちとはすぐに仲良くなった。
大佐がウィーンへ行っている間に、マリアは子どもたちを外へと連れ出し山や川へ行ったり、歌を教えたりして、厳しいしつけに押さえつけられていた子どもたちに、「子どもらしさ」を取り戻させるのだった。
再婚を考えていたトラップ大佐は、ウィーンから美しい男爵夫人エルザを伴って帰ってきた。
子どもたちはエルザを歓迎する歌を歌い、大佐はその美しい歌声に驚きつつも、妻を失くしてから歌うことを忘れていた自身も気が付けば一緒に歌っていた。
その翌日、エルザの希望でパーティーが開かれることになり、大佐はマリアを相手に踊る。
そして、いつしか二人の間に何かわからない感情が生まれのだった。
マリアはこの感情にいたたまれなくなり、修道院へ帰ってしまう。
その間に大佐はエルザと婚約するが、エルザと子どもたちとはうまくゆかず、大佐の胸からもマリアの面影が消えない。
それを察したエルザは、ひとりウィーンへと帰って行った。
やがてマリアと大佐は子どもたちと修道女たちに祝福されて結婚するが、トラップ家の幸せな時間は続かない。
ナチスドイツのオーストリア統合が決定的となり、一家は平和を求めて音楽会に乗じて国外脱出をはかり、アルプスを越えることを決意する・・・。
JFK(1995/雪組)
♪アポロが飛び立つ日~♪のメロディがいまも耳に残ります。
目の前に浮かぶ絵がちょっとギャツビーのラストシーンに重なるのは、小池修一郎ワールドだからでしょうかね。
この作品はたぶん、sora が歴史好きってのもあると思います。
実在の人物や、実話をベースにしている作品は背景がイメージしやすく印象にも残りやすいんですよね。
いっちゃん(一路真輝)は外見(立ち姿)で魅せるスターさんではなく、雰囲気と歌声で魅了するスターさんであったと思うのですが、このJFKに関して言えば、立ち姿にゾクゾクしたんですよね~。(笑)
それがたぶん、同系列スターでいっちゃんの前任トップスターのかりさん(杜けあき)が、ギャツビーを演じた時のそれと同じなのかなと。
白いスーツ姿の美しいことったら。(ギャツビー)
JFKのいっちゃんはどの場面もスーツ姿がサイコーにカッコ良かった♡
あと、このときのいっちゃんのお化粧が好きなんです。
ほんと、キレイだったわ~。
この頃のいっちゃんが、トップ在任期間を通して一番好きだったかも。
そして妻のジャッキーを演じたのが、のちの女帝・花總まり嬢。
とっかえひっかえお衣装が変わりますが(衣装持ちだったという史実に基づいています)、どれもこれもスタイル抜群なはなちゃん、ばっちり着こなしていて。
そして、いしちゃん(轟悠)の歴史上の偉人シリーズ第1弾!とでもいおうか、、、(笑)
キング牧師を好演していましたね。
そーいえば、NHK放送ヴァージョンをスカステで録りなおしたはずだから、また観てみよ~っと♡
主な配役
- ジョン・F・ケネディ:一路真輝
- ジャクリーヌ:花總まり
- ロバート・ケネディ:高嶺ふぶき
- キング牧師:轟悠
- フーバー:香寿たつき
- セオドア・ソレンセン:和央ようか
- マリリン・モンロー:星奈優里
当時の配役表が手元になく、とりあえずこれだけしかすぐわかりませんでした。
脇を固める人たちが層が厚すぎましたよね、この頃は。
あらすじ
1963年11月22日、合衆国大統領ジョン・F・ケネディが暗殺された。
弟のロバートは呆然とし、キング牧師(轟悠)は祈りを捧げる…。
時は遡る。
富裕なアイルランド系移民ケネディ家の当主ジョセフは、息子たちに政界進出の夢を託していた。
やがて第二次世界大戦が勃発し、ジャック(JFK)は海軍で名を上げる。
だがその後、兄が戦死したため、ジャックは兄の後を受け継ぎ政界進出を決意。
そして、取材で親しくなったジャクリーヌと結婚する。
その後の選挙でジャックは落選するが、来る60年の大統領選挙への立候補を決意し「ニューフロンティア」政策を掲げる。
この政策は多くの支持を集めるが、FBI長官フーバーをはじめとする敵も作ることになる。
そして1960年、ジャックは大統領に就任するが・・・。
黎明の風(2008年/宙組)
サムライ・ジェントルマン、白洲次郎の挑戦。
たぶんね、皆さんからは「名作ですか?これ」って声も聞こえてくる気がしますが、、、(笑)
sora さん、これ、大・大・大好きだったんです。
作品自体は歴史の重たい物語ですが、なんだろう、、、なんかものすごく胸に突き刺さるような感動があって、、、いしちゃん(轟悠)の歌う主題歌にもやられた。
歌詞がいいんですよね。
シングルCD買ったもんな、うん。
当時、ずーとこの主題歌を聞いてた記憶が。。。
いしちゃん演じる白洲次郎が歌うと、ほんと心に響くんです。
いまでも時々DVDやらスカステ録画やら、見返すくらい、なんだか好き。
この公演は、トップ娘役の陽月華がお稽古中の怪我で宝塚・東京を全休演したため、たっちん(和音美桜)が代役を務めました。
うめちゃん(陽月華)の正子を一度も見ることができなかったので比較はできませんが、正子さんという役柄的にはたっちんにピッタリだったので、結果オーライ。
たっちんは当時の宙組が誇る歌姫でしたし、耳福きわまりなく。
この公演はショー『Passion 愛の旅』のほうも素晴らしく、大・大・大好きでした~♡
酒井澄夫先生の作品でしたが、まぁこちらも主題が秀逸。
そして衣装も上品に華やかに。
いしちゃんの彫刻のような美貌と、たにちゃん(大和悠河)のキラキラしたアイドル的美貌が並ぶと、それはそれは華やかで。
そういえばフィナーレではいしちゃんと女装のタニちゃんがデュエットしてましたね。
本当ならウメちゃんが踊るはずだったようで、ウメちゃんがこの場面で着るはずであったドレスを、せっかく作っていただいたのに着られなかったからと、たしか退団公演のサヨナラショーでしたかね、披露していましたね。
この『黎明の風-侍ジェントルマン 白洲次郎の挑戦-』と『Passion 愛の旅』はセットでまるごと再演して欲しいくらい好きな作品でした~。
主な配役
- 白洲次郎:轟悠
- ダグラス・マッカーサー:大和悠河
- 白洲正子:和音美桜
- 辰美英次:蘭寿とむ
- ブレストン大佐:北翔海莉
- ジーン:美羽あさひ
- 吉田茂:汝鳥伶
- グルーパー中佐:悠未ひろ
- ラッセル少佐:十輝いりす
- 打田友彦:七帆ひかる
- 宮川喜一郎:早霧せいな
- ポーラ:花影アリス
あらすじ
世界恐慌、そして軍部の台頭など、暗雲が渦巻いていた昭和3年。
9年間にわたる英国ケンブリッジ大学の留学を終え、白洲次郎が帰国する。
一方で、米国ハートリッジハイスクールを卒業した樺山伯爵の令嬢・正子も、留学を終え帰国。
次郎は中学生のときから自動車を乗り回し、喧嘩の絶えない暴れん坊。
留学も勉学というよりは、父親の命令で「島流し」にされたようなもので、「育ちの良い野生児」である。
一方の正子はというと、華族の令嬢として「お能」を習う反面、スポーツや射撃にも興じ、気に入らなければ男性をも殴りつけるような「韋駄天お正」と異名を持つ、こちらもお転婆娘。
そんな二人が日本への帰国後に、正子の兄の仲介でお見合いする事になった。
互いに先進国で青春時代を謳歌してきた手前、「野暮ったい日本の女(男)と結婚するなんて考えられない!」と見合いを拒否した二人ではあったが、出会った瞬間なんと一目惚れして結婚することに。
商社マンとなった次郎は、妻・正子を伴いヨーロッパへ出張し、英国大使館で後の首相となる外交官、吉田茂と知り合うことに。
ラジオからは不気味なヒトラーの演説が流れる。
そして新聞では日本の「二・二六事件」を報じていた。
ヨーロッパから帰国した次郎は「戦争突入で日本は食糧難になる!」と農業を始める。
そして敗戦。
敗戦国・日本を統治すべく、連合国総司令官のダグラス・マッカーサーが厚木基地に降り立った。
そんな中で、吉田茂は次郎に「終戦連絡事務局員として日本の復興に手を貸して欲しい」と依頼する。
マッカーサーが率いるGHQを相手に、次郎の「新しい日本を創る戦い」が始まった・・・。
まとめ
こんな感じの4作品。
めちゃめちゃ偏ってますよね。(笑)
おそらく「名作ちゃうやん!?」って思った方も多いかもしれませんが、、、
良いんです。
観る人間が「これは名作!」って思ったらそれが名作なのです。(笑)
次回は、この4作品をどの組の誰に演じてもらおうか、、、の妄想を繰り広げます!
お楽しみに。
いや、もとい。
sora さんが楽しませていただきます♡


