創業者である三浦静加社長が1984年、渋谷にオープンした『SAILORS(セーラーズ)』。わずか9坪という小さな店舗であったにもかかわらず、年商28億円を叩き出した伝説のファッションブランドです。
1980年代当時、おニャン子クラブをはじめ多くの有名人や著名人がこぞって着用し、あのマイケル・ジャクソンにも愛用されたというまさに一世を風靡。
当時の納税額は、なんと驚愕の 7億3000万円!だっと言います。
今年に入って、TBSで放送の『週刊さんまとマツコ』でも、「 80年代伝説のブランド・セーラーズ人気再燃!ケタ外れ伝説」として特集されましたね。
人気の発信地だったとも言える、おニャン子クラブの解散後には少しずつ人気も落ち着いてきましたが、とはいえ根強い人気でファンを獲得し続けていました。
しかし、2000年に突如、閉店。
いったい何が起きたのでしょうか?そこには、創業者である三浦社長の知られざる苦悩の日々があったのです。
46歳での出産、生まれた娘にはハンディキャップが
セーラーズの前身は、三浦社長が1972年に立ち上げたジーンズショップ『ハドソン』。この当時の売り上げは思わしくなく、売れるのはジーンズ1本がやっと、まったく売り上げのない日も珍しくなかったと言います。
そんな三浦社長に転機が訪れたのは、古道具屋で出会った小さな看板でした。
そこに描かれていた水兵さんをキャラクターにしてオリジナルのトレーナーを販売してみたところ、それが大ブレイクしたのです。
大成功を手放してでも、自分の手で守りたかったもの
当時はテレビに出てくる有名人は男女問わず、とにかくみんながセーラーズ。
スポーツ選手たちの間にもその人気は広がっていました。
爆発的なブームとしては2年にも満たない期間だったといいますが、それでも以降、月収は数千万円の売り上げを常に保つことができるようになり、安定した経営状態が続いていたようです。
2013年8月に掲載された女性自身のインタビューによれば、三浦社長はセーラーズの経営の傍ら27歳で結婚しています。
しかしながら、忙しさもあってかすれ違いの日々が続いたことでうまくいかなくなり離婚。
それから数年間は仕事に集中するものの、42歳のときに再び運命の男性と出会って同居を開始、事実婚の夫は交通事故の後遺症でハンディを抱えていたそうです。
三浦社長が子どもを授かったのは45歳のとき。1999年、未熟児として誕生した小さな命は、産声を上げないままに保育器へ運ばれたといいます。
退院までに2カ月を要しました。
子どもの異変に気付いたのは、8ヵ月の頃でした。診断は脳性まひ。医師からは「寝たきりになる可能性がある」と告げられました。
そして三浦社長は子どもと二人三脚で歩む決心をし、大人気ブランドに成長していた『セーラーズ』を突如、閉店したのでした。
かなうものなら、娘より1秒長く生きたい!!
2013年当時のインタビューで印象的なのは、三浦社長のこの言葉。
セーラーズのときには、いくらお店が繁盛しても、自分自身、何が幸せかがわからなかった。でも、ハンディキャップのある娘を育てることで、現在は、今を幸せと感じられる自分に出会うことができ、幸せです。娘に感謝です。かなうものなら……『娘より1秒長く生きたい!!』その気持ちがいつもあります。
人それぞれに「しあわせ」の価値観は異なります。
セーラーズの大成功をもってしても、娘さんとの大切な時間には代えられない「しあわせ」の時間が存在していたということなのですね。
現実に向き合うことが苦しい時期もあったと思いますが、いま、テレビやメディアで拝見する三浦社長の表情は底抜けに明るく、人生を楽しんでいるように思えます。
自分らしい生き方って何だろう?「しあわせ」を感じられる生き方をできているのかな?
久しぶりに懐かしの『SAILORS』の話題を耳にしたことで、三浦社長のバイタリティに触れ、そんなことを考えてみるきっかけになりました。
セーラーズ復活の兆し!?
ここへきて、セーラーズがまた大きな注目を集めています。
オンラインショップや、タレントさんとのコラボレーションも順調のようで、TBS『週刊さんまとマツコ』でも特集されますが、これまでにも節目ごとに期間限定で実店舗の復活も遂げてきました。
2014年、期間限定で原宿ラフォーレに出店
惜しまれつつ2000年に閉店したセーラーズでしたが、2014年には4日間限定で東京・ラフォーレ原宿に出店されました。
1984年に渋谷にオープンしてからちょうど30周年に当たる記念の年で、この時にしか買えない新商品や特別発売のノベルティ商品も用意され、大盛況。
同時に、三浦社長自身が執筆した著書『叶うなら娘より一秒長く生きたい!!』(講談社)の出版記念パーティーが開催され、このパーティーにセーラーズのファンであり親交の深いタレントの布川敏和さん、セイン・カミュさん、元大関のKONISHIKIさん、海老名香葉子さんらがセーラーズファッションを身にまとい、出席しました。
三浦社長とプライベートでも交流のあった布川さんは「17歳からセーラーズを着させてもらっている。着ると元気になる」と、その復活を喜んでいたといいます。
また、2019年には、「SAILORS(セーラーズ)」の設立40周年を祝して、宝島社からブランドブックが発売されました。

80年代に青春を送った人たちには、ひたすら懐かしさ溢れる一冊だったのではないでしょうか。特別アイテムには、当時並んでも買えない人が続出したという超人気グッズ、ショルダーバッグを完全に復刻したものが用意されました。
2020年に放送されたTVドラマ『ハイポジ 1986年、二度目の青春。』に衣装提供したり(ヒロインのひとりを演じた乃木坂46の鈴木絢音さんがポスターでもセーラーズの衣装を着用しています)、2021年には三浦社長がセーラーズの前身『ハドソン』を創業してから50周年を記念して、期間限定ショップをマルイの渋谷モディにオープンしました。
2021年12月、渋谷にポップアップストアが登場
マルイの渋谷モディ1階にポップアップストア「50th ANNIVERSARY SAILORS POP UP SHOP」がオープンした昨年末、オープン初日の12月23日には、開店前から大行列ができ、開店の時間に合わせて来店したにもかかわらず、入店できたのはなんと5時間後。それでも「セーラーズでは、昔も並んで買うのが当たり前でしたから、昔を思い出して懐かしかった」というお客さんもいたようです。
マイケル・ジャクソンが着用したとして大人気だった『マイケル・スタジャン』も復刻 / セーラーズ「50th ANNIVERSARY SAILORS POP UP SHOP」公式
80年代、テレビのチャンネルをひねれば誰かしらは着用していた『アイドルTシャツ』/ セーラーズ「50th ANNIVERSARY SAILORS POP UP SHOP」公式
今後、テレビや雑誌とのコラボ企画やも複数予定されているそうで、乃木坂46の番組での着用や、FANTASTICS from EXILE TRIBEとのコラボなども決定しているといいます。
じわじわとブーム再来の兆し。
80年代に異常ともいえる大ブームを起こしたように、今の時代の若者の心をつかむことはできるでしょうか。
創業者である三浦静加社長の個性あふれるキャラクターにも注目です。