【1989年夏】
ロンドン&パリの旅も、いよいよ終わりが近づいてきました。
何十年も昔のことなのに、こうして文字に起こしていると、昨日のことのように思い出がよみがえってきます。
そして、写真の中のトシちゃんの若さに、時の流れを感じたりもします。(笑)
「楽しかった旅の思い出写真を見ることは、脳に良い刺激を与える」
いつだったか、脳研究の専門家の方がテレビでそんなようなことを話していました。
ここ数年、すっかり日本にこもりきりで気が滅入っていますが、しばらくは旅の思い出を振り返りながら、脳の活性化に励みたいと思います。
「田原俊彦デビュー10周年記念 ロンドン&パリツアー」最後の夜。
セーヌ河のディナークルーズの思い出 … いよいよ最終回です。
フェアウェル・パーティー
クルーズ船に乗る前に
クルーズの出発地点まではバスで向かいます。
思い思いの装いでホテルのロビーに集まった私たちは、それぞれのグループに分かれバスに乗り込みました。
全員揃ったグループから出発となるわけですが … 私たちのグループの最後のひと組がなかなか現れません。
中学生くらいの女の子とお母さん。
集合時間を少し過ぎたころだったでしょうか、大慌てでやってきました。
どうやらオペラ座のマチネ公演を観劇されていたようで、ギリギリになってしまったようでした。
結果、私たちの12班は一番最後の出発に。
当然ながら、みんなは少しでも早く行きたい一心なので、待たされたことにイライラモード全開、あからさまに嫌味を口にしてしまう人もチラホラ。
ま、ね、集団行動なので時間は守らないといけませんが、最後の最後にバスの中が嫌な雰囲気になってしまったのは残念でした。
私はいまだにあの時の、お母さんと娘さんの引きつった表情を忘れることができません…。
そんなことがありつつ、なんとか無事に出発地点に到着した私たち。
バスから降りて足早にクルーズ船へと向かっていたところ、どこからともなく数人の日本人女性のグループが近づいてきました。
何台も並んで止まっている私たちのバスに掲げられた「TOSHIツアー」のプレートを見て、たまたま来ていた個人の観光客がやって来たようです。
彼女たちは少々興奮気味に私たちに尋ねます。
「トシちゃんいるの!?」
そして私たちの誰かが返します。
「いないよ~、こんなところにいるわけないじゃんね~」
人間の心理って面白い。
このときの私たちの密かな優越感、わかります?(笑)
やっと、トシちゃんに会えた!
さぁ、いよいよクルーズ船に乗船するぞ、となったときになんと嬉しいサプライズ!
なんとトシちゃんを囲んだ記念撮影があるというではないですか!!
薄いピンクの夕焼け空に浮かぶエッフェル塔をバックに、グループごとの撮影です。
トシちゃんはタキシードに蝶ネクタイ、いわゆる正装で私たちを迎えてくれました。
はい、もちろん静かなる場所取り合戦です。(笑)
このときの夕焼け空がとても美しく、どんな素敵な記念写真が出来上がって来るんだろうかと楽しみにしていたら…

なんと、モノクロ。
なんで???(笑)
これはさすがにショックでしたね~。
こんなことなら自分のカメラで風景だけでもおさめておくべきでした。
トシちゃんを目の前にして、そんな風景撮ってる余裕なかったんですよねぇ…残念。
でも、もっと残念だったのは、私じゃないのですが、自分の顔が前の人と被ってしまい、ほとんど見えていない人がいて、泣いてましたよ … その人。
せっかくのトシちゃんとの記念写真、そりゃ泣けてくるよね。
お気の毒。
船内はまるで高級ホテルのレストラン
ツアーの400人以上が着席できるキャパシティがあるのだから、けっこうな大きさのクルーズ船ですよね。
席はグループごとにブロックが指定されていて、それぞれグループの中でも仲の良い人同士で一緒に席に着くことになりました。
そうしているうちに、いつの間にか船はゆっくりと岸を離れます。
全員が着席し、船がセーヌ河を進み始めると間もなくして、トシちゃんの登場です!
船内中央のステージに上がりごあいさつ。
でも、船内はとにかく広い!!
中央のステージから離れているとトシちゃんは豆粒状態なんですよね。
幸いにも私の席からは何とかそれなりに見えてはいましたが、やはり近くで見たい!!って感じでした。
ひとまずは私たちのフロアではドリンクサービスが始まり、全員に行き渡ったのを確認したところで、トシちゃんと一緒に「乾杯!」
トシちゃんとの夢タイム前に豪華料理を
乾杯のあと、なんとトシちゃんは400人分のテーブルを端から端までまわって、すべてのファンとの交流タイムを作ってくれました。
1テーブル6人とかだったので、単純計算で60以上のテーブルをまわってくれたことになりますね。
でも、つまりはトシちゃんが自分たちのテーブルにやって来るまでにも、なが~い時間がかかるわけですよ。
なので、トシちゃんが来るまではお食事&女子会タイム。
船窓から見える美しい夜のパリの街並みを眺めながら、本格的なフランス・コース料理をいただくなんて、なんと贅沢な!
私たちのテーブルのほとんどが、こんな本格的なフルコースをいただくのが初めてだったものだから、ナイフやフォーク、スプーン、グラス、同じような食器が左右にいくつも並んでいるのに戸惑いまくり。(笑)
みんなでキョロキョロ確認し合いながら、「これ?」「こっち使うの?」って感じでした。
もちろんメニューもとっても豪華。
ロブスターなんて、たっぷり身の詰まった体長20センチ以上はありそうな大きさのものが、まるごとやって来て。
それがメインかと思ったらそのあとにフィレステーキが出てきちゃったりして。(笑)
そしてクルーズ船は時間が限られているため、サービスする側はもとより、食べる側も大忙しです!
トシちゃん、お姉さま方にいじられる(笑)
次々と運ばれてくる豪華料理に舌鼓を打っている間に、ようやくトシちゃんの姿が見えてきました。
まだふたつ、みっつ、手前のテーブルにいる間から、すでに凝視してる状態の私たち。
いよいよ私たちのテーブルにトシちゃんがやって来た時には、もう、大はしゃぎ。www
まずはトシちゃんがテーブルに置かれていたビデオカメラを触りながら、「よく映る?」と。

もう、そりゃ持ち主は大喜びで返事をしてましたね~。
私はトシちゃんと一緒に写真が撮りたくて、隣に座っていたノリの良いお姉さまの力を借りて、一緒に「ねぇ、ねぇ、トシちゃん、ここ来て!」と、自分たちの後ろを指さしました。
そんな私たちに対し、トシちゃんは笑顔で即答。
「やだ。」
でもまったくめげない私たち。(笑)
「いいじゃ~ん、来てよ~!」

嫌だという言葉とは裏腹に、トシちゃんはちゃんと私たちの後ろに来てくれましたよ~♡
そしてなぜか、そのまま後方の椅子に座ったトシちゃん。

きっとず~っとテーブルまわってきたから足もつかれていたのでしょう。
しばし、私たちはトシちゃん独占状態で夢のトークタイムを楽しんだのでした。
あまりにもトシちゃんが近くに居すぎて、これ以上の会話は、まったく記憶にないのですが、ノリノリのお姉さま方が、いろいろとトシちゃんを困らせていた記憶はかすかに…。(笑)
豪華賞品が当たる抽選会
すべてのテーブルをまわり終えたトシちゃんは、ステージに戻って今度は豪華賞品が当たる抽選会が始まりました。
商品は、なんとトシちゃんがポケットマネーで用意してくれたというブランド品の数々。
覚えていますか?
「トシちゃんが Chanel にいたらしい!」というあの話。
どうやら、このときの商品を買ってくれていたみたいです。
景品のいくつかは Chanel でした。
それとは別に、美穂ちゃんへのお土産ももちろん買っていたのかも知れませんけど。(笑)
Chanel の他にもトシちゃんグッズがありましたが、抽選会にブランド品が登場するあたり、やはりバブリーな時代を反映していますね。

乗船の際に配られていた番号カードが抽選番号。
トシちゃんがくじを引くたびに、みんながかたずをのんで見守ります。
期待に胸を膨らませながら、トシちゃんが読み上げる番号に耳を傾ける400人の参加者たち。
残念ながら、私は何も当たらず。
そんなもんだ。(笑)
民族大移動、デザート食いっぱぐれる
抽選会が終わる頃には、料理もほとんど出尽くして、残すはデザートのみとなっていました。
そのデザートがサーブされ始めて間もなく、トシちゃんがデッキへ上がって行ったのですが、なんと「みんなも良かったら」のメッセージを残したもんだから… さぁタイヘン。
そりゃ、行くよね。(笑)
一斉にデッキへ向かう人の波。
ラッキーなことに私たちのテーブルは、比較的デッキへの階段に近かったため、即座に反応して一気に駆け上がりました!
おかげで、デッキではトシちゃんの目の前のベストポジションをGET。

セーヌ河沿いのパリの夜景を背景に、目の前にはトシちゃん。

まさに至福の時。
そのまま20分くらいその場にいましたが、徐々に風も冷たくなってきたし、クルーズも終わりに近づいてきたので、トシちゃんと一緒に再び船内へ。

そして席に戻った私たちの目に飛び込んできたのは、すっかり綺麗に片付けられたテーブルでした。
デザートが運ばれてきたタイミングでトシちゃんを追いかけてデッキへダッシュしてしまったので、その間にデザートが手つかずのまま片付けられてしまったわけです。
下りてきてから食べようと思ってたのになぁ~。
ここが時間の限られたクルーズの悲しいところですね。
下船までに片付けなきゃならず。
サービススタッフの人たちにしてみれば、何百人分ものデザートを手つかずのまま片付けなきゃならなかったわけで、申し訳ない!!
でも、食べたかったな …
楽しい時間はあっという間に過ぎ去り、トシちゃんの最後のトークを聞きながら、船はゆっくり静かに船着き場へと滑り込みます。
船着き場で、トシちゃんをひと目見ようと待ち構えている一般観光客の姿を船窓から眺めながら、私たちはクルーズの余韻を噛みしめつつ、重い腰を上げて席を立ちました。
そしてトシちゃんは、降船口に立って一人ひとりを見送ってくれていました。
夢タイム、終了です。
ソ連時代のモスクワを経由
さて、翌日はもう日本へ帰るのみ。
ホテルを出発した私たちのバスは、パリ市街を抜けて、シャルル・ド・ゴール空港に直行しました。
帰りの飛行機は日本の翼、JALでしたが、なんと途中モスクワを経由して成田へ向かいます。
ソビエト連邦が崩壊したのは1991年12月のことなので、この当時はまだソ連時代です。
笑わない兵士たち
定刻通りにパリの空港を離陸した飛行機は、順調な飛行を続けモスクワに到着。
モスクワは「経由」であって「トランジット」ではないため、1時間ほどの待機時間が発生します。
そのため一旦機内から出て、空港ターミナルへ入ることができたのですが、なにぶん、ときはソ連時代です。
空港の写真撮影はもちろん全面禁止。
ターミナルビルに入るにあたり、カメラは必ず機内に置いていくよう指示がありました。
そして、いまでも忘れられない光景が…
飛行機から降りる際、内側ではにこやかな日本人CAが「行ってらっしゃいませ」と送り出してくれましたが、扉を一歩出るとそこには両サイドにライフルを手にしたソ連兵。
まったく身動きせず、表情ひとつ変えないその様子に恐怖を覚えました。
1989年以降、一気にソビエト連邦崩壊へ向かって進んでいくわけですが、ある意味、この時代にわずかでもソ連という歴史を肌で感じられたのは、良い経験だったかも知れません。
どこか緊張感に包まれ、冷たい空気が漂う閑散としたモスクワの空港では、取り急ぎ記念にマグカップと絵葉書を買った記憶があります。
こうして経由地モスクワを出発した飛行機は、成田へ一直線。
旅の終わりに
あっという間の1週間、私の初海外の旅が無事幕を閉じました。
スーパーアイドル、トシちゃんにたくさん会えたことも、ひとり参加という冒険の中で様々な人と出会えたことも、この旅で経験したすべてが大切な思い出です。
そして、「ヨーロッパは歴史を知っていたほうが、何倍も楽しい」 … という教訓の旅でもありました。(笑)
田原俊彦デビュー10周年記念 ロンドン&パリツアー1 参加者は400人
田原俊彦デビュー10周年記念 ロンドン&パリツアー2 トシちゃん現る