日本語教師とは「日本語が母語ではない人たち」に日本語を教えるお仕事です。
この日本語教師という資格が2024年4月より「登録日本語教員」という名称で国家資格化されました。
ただし綿密には、これまで運用されてきた旧制度が「国家資格化」されたわけではなく、「登録日本語教員」という国家資格制度が新設 されたのです。
海外やインバウンド、そして自身の語学習得に関心を持って生きてきた私としては、当然ながらこれまでにも何度か「日本語教師」という資格について調べたことがありました。
キャリアチェンジと向き合い始めたことで、いま、改めてこの日本語教師というお仕事について高い関心を向けているところです。
4年制大学卒業の壁
国家資格としての「登録日本語教員」制度は今年度からスタートしましたが、日本語教育機関やそこで教鞭に立つ教師に関する制度はもちろん存在していました。
冒頭でも触れたように、今回はあくまでも旧制度から新制度への移行ではなく、新制度の追加というイメージです。
日本語教師には必ずしも資格が必要なわけではない
日本語教師として働こうと思ったら、まずは資格を取らなければ働けないと考えると思いますが、実はそうではありません。
資格が必要なのは「法務省告示機関」で日本語教師として働く場合のみ、それ以外で日本語を教える場合は特に資格はいらないのです。
とはいえ、自分が、例えば英語を教えてもらおうと思ったとき、その先生が英語を母国語としない人向けの教授法を学んでいるのか、資格を持っているのかはやはり気になりますし、学習者に対する効果的な「教授法」を学んでいることは教える側にとっても大きな意味があります。
また、海外で日本や日本語に関心のある人たちに教える場合にも、日本語教師の資格を持っているか否かは重要な採用基準となり得ます。
さらに海外では、大学などに設置されている日本語教育機関などで日本語教師を目指すとなると、大学教員でなくとも大学卒業以上、つまり「学士」の資格がないとほぼ不可能です。
私自身の話をしますと、20代後半から30代くらいまで、特に留学して以降は常に「海外で仕事がしたい」という思いを抱えて悶々としていました。
海外で自分にできることって何だろう?
ただ、そんなことを繰り返し考えて現実に飲み込まれていって今があるわけですが(笑)、その時から「日本語教師」という選択肢は必ず入っていました。
「私の一番得意なことは日本語!」
英語習得にあたふたしている自分にとって、日本語ができる!なんて素晴らしいアドヴァンテージだわ、と。(笑)
ただ実際にそれを目指し実現するには、いろいろな障壁もあることが見えてきたのです。
それがが「学歴の壁」です。
短大花盛りの時代を過ごした世代
海外で日本語教師として働くためにはやはり「日本語教師の資格」です。
そして、もう一つの大きな障壁は「学位」でした。
実は私の世代は「女子短期大学花盛り」。
私もその波に乗って女子短期大学へ進学したので学歴は「準学士」なのです。
私が学生だったころは、4年制大学に進学する友人たちは基本的に勉強好きだったり、成績優秀なために薦められてだったり、ほんとうに数少なかったのです。
そして、時はバブルの終末期。
私たちが短大を卒業する時にはまだ空前の「売り手市場」だったので、就活なんていう言葉は必要ないくらいに面接に行けば即採用決定!
辞退が出ないように各企業が囲い込みのための学生接待に必死だたものです。(笑)
しかも、リクルートスーツを着て、黒い靴にカバンに、な~んて皆無。
忘れもしない、私はおしゃれツーピースで面接試験に行って、その足でそのまま宝塚大劇場へ出発!でした。(笑)
そういえば写真があるはず、、、と思って探したら、ありました!
30年以上前の「花乃みち」。
向かって左側の背が高いほうが私なのですが、まさにこの格好で就職面接に行って、その足で新幹線に乗って宝塚へ向かいましたね~。
宝塚ビギナーの友人を連れて、当時大好きだった剣幸&こだま愛時代の月組公演を観に行ったのです。
それにしても肩パット!!(笑)
面接の結果ですか?
もちろん、合格!!!
私の就職活動はこの装いで面接に行った1社のみでめでたく終了しました。
そんな感じで短大を卒業して就職したわけですが、4年制大学に進学した同級生たちが卒業するころには見事にバブルが崩壊し、フリーターになる子が続出でした。
「程よく女子短通って、あっさり就職できた人」に対し、「頑張って4年間も勉強して卒業したのに就職できずにフリーター」というのが、なんとも皮肉な結果に。
ただ、その後の私は4年制大学の「学士」を取得していなかったことに、何度も後悔することになるのです。
「学士」にこだわる理由
学歴なんて関係ないよ。
そう、人としての価値にはな~んの関係もないと思っています。
ただ「なりたい自分になる」ための手段として、そこに「学士」という切符が必要なケースがあります。
これまでの制度では、日本語教師として法務省告示機関で日本語を教えるために、以下の要件のうちいずれかを満たす必要がありました。
「日本語教育機関の告示基準」
十三 全ての教員が、次のいずれかに該当する者であること。
イ) 大学(短期大学を除く。以下この号において同じ。)又は大学院において日本語教育に関する教育課程を履修して所定の単位を修得し、かつ、当該大学を卒業し又は当該大学院の課程を修了した者
ロ) 大学又は大学院において日本語教育に関する科目の単位を26単位以上修得し、かつ、当該大学を卒業し又は当該大学院の課程を修了した者
ハ) 公益財団法人日本国際教育支援協会が実施する日本語教育能力検定試験に合格した者
ニ) 学士の学位を有し、かつ、日本語教育に関する研修であって適当と認められるものを420単位時間以上受講し、これを修了した者
ホ) その他イからニまでに掲げる者と同等以上の能力があると認められる者
出入国在留管理庁 日本語教育機関の告示基準
日本語教師として働くための、5つある基準のなかで3つは「学士」以上が求められています。
最後にある「同等以上の能力があると認められるもの」というのはかなり例外的措置なので、実質4分の3が「学士」基準です。
「準学士」である私が選択できる道は、おのずと日本語教育能力検定試験 に合格することのみ。
資格試験の勉強をして合格すれば確かに「日本語教師」にはなれます。
ただ、ここでこれだけ大学を卒業することを国が求めているのは、ただやみくもに「学歴」を求めているわけではなく、必ず理由があるはずなんですよね。
この日本語教師資格以外にも、その分野の知識をどれだけ詰め込んだところで、「学士」の資格を持っていないと手に入らない国家資格がたくさんあります。
国家資格を得て働くということは、その道のプロとして責任をもって仕事をすることはもちろんのこと、その業界において後進の指導をも担うことが求められます。
そのためには大学という高等教育機関において、専門分野だけではない幅広い知識、問題をロジカルに読み解き解決に導くための思考力、判断力、プレゼン力、コミュ力など、専門性+αを主体的に学び、身に着けてきてね、ってことなんだろうな、と。
採用する側としても、同様の理由から「学士」以上の人材を求めることが多いのでしょう。
4年制大学で学びなおし「学士」を得たい、私はそう考えるようになっていきました。
でもね、簡単なことじゃない。(笑)
通信制大学に入学してはみたものの
社会人になってからもう一度大学に通うということは、収入のことも考えなければならないので、なかなか厳しい。
とはいえ、40歳を過ぎてもなんだか悶々と「大学」のことが頭から離れず、、、
40代半ばだったかな、ついに「通信制大学」に3年次編入生として入学したのです。
ちなみに Major は「英文」です。
せっかく留学して英語の勉強をしたのだし、英語に関する学士を取れたらいいな、と。
でもさ、やっぱり勉強する時間、ないよね。(笑)
努力も必死さも足りませんでした。
最初の入学は見事に単位真っ白なまま離脱。
そして仕事が少し落ち着いた(と思った)ころに、やっぱりあきらめきれずに再入学。
再入学した途端に仕事で忙殺され、1年のうちに取った単位は夏期スクーリングの数単位のみだったと思います。
そしてさらに1年が経ち、、、いよいよまた離脱か、それとも仕事を辞めるか、と真剣に考え始めていた時に、またしても会社からまったく空気を読まないポジションのオファーをいただきまして。(笑)
もちろん「いや、辞めたいって言っている人に、なに言ってんの?」って感じでしたけど、なんだかんだ話し合いを重ねる中で条件を出しました。
「1年間は勉強を優先します!それを認めてくれるなら引き受けます」
離職するつもりで宣言したのに、なんか、OKされちゃったんですよねぇ、、、(苦笑)
そこから1年、ほんとーーーに大学の単位を取りまくる日々。
猶予は1年だったので、とにかく3日おきに徹夜していたくらいの勢いで、取れるだけ取りました!
苦しくも楽しかった時間。
通信制大学の成績表を大公開!
そして、無事に卒業したと思うでしょ?
思いますよね、普通なら。
これがね、実は、ふたたびドロップアウトしちゃったんです。
もう、ほんとーーーにダメダメ人間で。
こんな私が仕事で評価されまくる人生だなんて、笑っちゃいませんか?ほんと。(笑)
自分でも理解に苦しみます。
とりあえず1年間、勉強に没頭してほとんどの単位は取りました。
それがこれっ!
字が細かいので、興味ある方は拡大してみていただきたいのですが、ここまでは頑張っていた甲斐あってそこそこの成績。
自分でも久し振りに見ましたが、GPAが3.48 って、私にしてはリアルにすごいな。(笑)
卒業の所定単位は124単位、この時点での既得単位は110単位。
つまり卒業まで14単位を残して、勉強漬けの1年が終わったことになるのですが、その14単位のうちの6単位が演習科目、8単位が「卒論」でした。
仕事に忙殺される日々が復活して以降、も~な~んにも手につかず。
いや、努力を放棄しちゃったというのが正しいかな。
演習科目はなんとかなっても、卒論を仕上げることができるなんて思えなかったです。(笑)
そこから放置すること2年。
学費を無駄にしている気がして、2度目の中退となったわけです。
今からでもココに復学して単位を取れば、英文学の学士が取れるのですが、、、
いかんせん「卒論」がねぇ。
でも、そんなことを言っているこのわたくし、実は約40年ちかくも前、中学卒業の時に「卒論」を経験しています。
私立一貫校ですが、私たちの学年から何故か「卒論」が実施されることになり、ちゃんと自分たちでテーマを考え、自分たちで担当の先生を決めて指導をお願いしました。
中学生なので確か原稿用紙10枚がノルマだったと記憶しています。
中には35枚もの大作論文を仕上げた同級生もいましたね。
忘れもしない、その友人が論じたテーマは「ピーターパン・シンドローム」。
15歳であんな立派な論文を書いていた彼女は、今頃どんな大人になっているのかな~。
うちの学校が何を思って中学生に「卒論」を科すことにしたのかはわかりませんが、この伝統は今も受け継がれているようです。
とはいえね、大学の卒論は中学生の卒論とはわけが違うので。
時間がないことを言い訳に・・・挫折。
新制度で日本語教師を目指すには
さて、そんなダメダメな私も気づけば早50代。
人生の忘れ物を本気で回収せねばなりません!
これから「なりたい自分」を目指して、人生まだまだあきらめない!の精神。
まずはインバウンドに関わるお仕事に携われるようになることが、自分に課した近々のミッションですが、1年先、2年先、そして5年、10年先を考えた計画を練っているところです。
何歳まで生きるかわかりませんが、ひとまずは60歳を過ぎても、その先思うように体が動かなくなっても、自分の力で楽しく生活していけるだけの知識や技術、資格なんかを計画的に習得して、今から老後の基盤づくりですね。(笑)
いや、今だからこそやらなければ!
「登録日本語教員」どんなルートで目指せばいいのか?
この4月に施行された新制度である「登録日本語教師」を目指すには、3つのルートがあります。
文部科学省が公表している一覧です。
これによると、左端の経過措置Cルート以外に「学士」は求められていないようです。
え、いままで何だったの?
さっき、大学で学ぶことの必要性を力説したばかりの私が小さくなっていく …。(笑)
真ん中の「養成機関ルート」については、教育機関の登録開始が令和6年11月以降なので、このルートで資格を取ろうと思うと最短でも学習開始はそれ以降になります。
どれくらいの数の、どんな教育機関が登録されるのかも、現時点ではわかりません。
3つ目の試験ルートは完全に独学ですね。
この場合は「基礎試験」というものを余分に受けなければならないので、教育機関で勉強できない(しない)場合の最終手段として考えておく感じですかね。
以上の3ルートの中から選択するわけですが、私の場合は「学士」がないので現状では真ん中の「養成機関ルート」になります。
でも、11月以降にしか養成機関が登録されないというのはなんとももどかしく。
そして、養成校は基本的にかなり高額。
もう一度、大学で学んでみようかな
色々と下調べをしてみたら、通信大学にも「Cルート」が使える大学があったんです!
文科省が教育機関の一覧を出しているので、全部を見たい場合は Cルート養成機関一覧 でご覧ください。
通信制の大学に絞って探してみると、以下の学校がありました。
■ 星槎大学(神奈川県横浜市)
■ 大手前大学(兵庫県西宮市)
■ 愛知産業大学短期大学 通信教育部 (愛知県岡崎市)※別途条件あり
もしかしたら他にもまだあるかも知れませんが、私が調べたところざっとこの4大学でしたね。
それぞれに特徴があり、学費もいろいろ。
大学を卒業せずに「養成機関ルート」を選択するというのもありなのですが、いずれにしても心のどこかで「学士」へのこだわりが消えていないし、養成校に何十万も払って通うんだったら同じお金で大学も卒業したほうがいい。
これらの大学で日本語教員になるための課程を学ぶことのメリットは、卒業単位に組込めるということです。
仮に、諦めた英文科に復学して残りの単位と卒論のために時間を費やせば、少ない単位数で卒業はできますが、そこにさらに日本語教師の養成学校で専門課程を学ぶ必要があるわけなので、どのみち「学士」を同時に目指すのであれば、(編入学でも2年以上はかかりますが)日本語教員養成課程をもつ大学に編入するほうがいいかな、って思います。
上記4大学の中でも、大手前大学は履修科目が完全自由選択制という珍しいスタイル。
必修科目がないんです。
自分で必要な科目、興味のある科目を選択して、計画を立てる仕組みなので、日本語教員に必要な教科以外は自分が学びたい教科を幅広く選ぶことができるわけです。
私の場合は編入学になるため必要単位は62くらいかな?
それなので、必修以外に選択できる教科の数は限られますし、さらにスクーリング科目で取得しなければならない単位数に規定があるので、若干、そこに合わせる必要は出てきますが、開講科目リストを見ていると楽しくて仕方ないでんですよね~。(笑)
今からなら最短で10月入学も選択できるので、9月に国内旅行業務管理者の資格試験が(受かっても落ちても)いったんは終われば10月からの入学もありかなと、前向きに入学を検討し始めました。
大学の日本語教師養成課程で学んで実現したいこと
「学士」の資格にこだわる気持ちと、いまからそんな労力かけて大学を卒業する必要なんてある?という気持ちと、両方の感情がずーっと渦巻いてきた数十年。
正直、これだけ何十年経ってもウダウダしているのですから、「学士」を取りたいのが本音なんだろうなと自分で理解しています。
ただ自分がダメダメ過ぎて進まないだけなんです。(苦笑)
インバウンドに携わりながら、日本語教員の資格を目指すのはなぜか。
実際にそうする(できる)かは別として、Wワークとして日本語学校で教えるという選択肢もあれば、オンラインで世界中の生徒さんに日本語を教えるという働き方もあるでしょう。
来日される方に「日本プチ留学」と称して、旅行期間中に自ら日本語教室を企画するのも楽しそう。
特に個人で何かを企画していくことにおいては、旅行業務取扱管理者の資格に加え、大学の日本語教師養成課程で学んて資格を取得していることが、将来的に顧客の信頼にもつながるように思います。
これからの「なりたい自分になる!」計画、我ながらワクワクが止まらない。♡
地道に Step by step ですね。
さぁ、勉強しよ。(笑)
まとめ
今回は、日本語教師の資格にからめ、私のこれまでのダメダメっぷりと、これからのワクワクについてお話をしてみました。
一定の年齢を過ぎたとき、ふと、「夢に向かっているときのワクワクした気持ち」ってもう持つことはないのかな~なんて寂しくなることってないですか?
私は「あきらめていた」時間が長かったので、こんなワクワクした気持ちは本当に久しぶりです。
50歳を過ぎてなお、「未来」へのワクワクを感じている今の自分に正直、驚いています。
そんな簡単に、思い通りにことは運ばない … 心のどこかでまだ否定的な自分がいるにはいますが、小さな変化はやがて自らの意識を変えてくれるはず。
かつて鉄の女と呼ばれたイギリスの元首相マーガレット・サッチャーさんはこんな名言を残しました。
考えは言葉となり
言葉は行動となり
行動は習慣となり
習慣は人格となり
人格は運命となる
不言実行ならぬ、有言実行。
考えはちゃんと言葉にしていこう!と思いますね。
それでは、また。
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