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礼真琴の軌跡[90]『BIG FISH』東急シアターオーブ公演│今さら感想

礼真琴 出演作品一覧

ライブ配信なし、円盤販売なし、スカステでの放送制限あり、というガチガチに版権で包囲されたこのブロードウェイミュージカル。

こういう状況は過去にも何作かはありましたが、、、

なんで? 礼真琴だよ? 後世に残せないってこと? うそでしょっ? って気持ちでしたよね、これ知ったときは。

ブロードウェイ作品は版権の縛りが厳しいので、想定の範囲内といえばそうなのですが、ショックは大きかったな、うん。

私は奇跡的に1枚だけチケットを入手することができ、ありがたいことに劇場で観劇したのですが、日に日に記憶は遠くなっていくばかり。

映像が残らないってのは、やっぱり寂しいですね。

この公演を観劇した頃にはいろいろに忙殺される日々で、ブログを書く余裕がなかったため、今更ではありますが、あの感動を振り返りつつ観劇の感想を記録しておこうと思います。

といっても、すでに細部については記憶が飛んでいますので、ほぼこっちゃんのことしか語っていません。(笑)

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礼真琴の芝居心に吸い寄せられる

とりあえず前提として言えるのは、この作品の主人公エドワード・ブルームは宝塚のトップスターが演じるようなタイプの主役ではありません。

物語の3分の1くらいは「白髪のおじさん」ですから。

宝塚の作品でも度々「昔を回顧する」という演出で主人公が年を重ねた姿になって登場することがありますが、物語の中心は主人公の若かりし日々の出来事であることが通例です。

トップスターがおじさんおじいさんのままでは物語が紡げませんからね。

歳を重ねた姿はあくまでも「昔を回顧する」ための演出でなければ成立しない、、、と考えていました。

白髪まじりの「おじさん」が主役

でもこの『BIG FISH』という作品については、昔を回顧するためだけにおじさんエドワードが登場するのではありません。

物語は「今」と「若かりし頃」の間を行ったり来たりしながら進んでいきますが、このおじさんエドワードが生きている「今」こそが物語の軸になっているんですよね。

彼が息子ウィルに語ってきた人生という「おとぎ話」がとんなラストシーンを迎えるのか。

エドワードが最期を迎えるときになって、あらためて家族のつながり、人と人とのつながり、そして「人はどう生きて、どう幕を下ろすのか」を考えさせられます。

つまりは、白髪まじりのおじさんエドワードをどう演じるかによって、物語の持つメッセージ性が大きく左右されてしまうということでもあります。

若かりし日々のエドワードとして、おとぎ話のような物語を生き生きと楽しく描くだけではだめで、その「おとぎの時間」を確かに生きてきたはずのエドワードの「いま」の姿、思考、家族との関り、そこのところを過去の自分とリンクさせながらどんな生き様を描くか。

実年齢とのギャップ、宝塚トップスターとしての在り方、自身の表現者としての葛藤、こっちゃん(礼真琴)にとっては本当に大きな大きな挑戦だったんだろうなと、今更ながら思います。

でも、そこは礼真琴。

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「白髪まじりのおじさん」の人生が、なんと温かな空気に包まれていたことか。

幕開きからおじさんエドワードが登場しますが、息子ウィル(極美慎)との短いやり取りの中にもすでに「家族愛」のような深みを感じさせ、そこから一気にエドワードの「おとぎばなし」へと誘われていきました。

このおじさんエドワードは、息子から「妻の妊娠のことはまだ黙っていてくれ」と頼まれ、その場ではわかった風なのに、翌日の息子たちの結婚パーティで大勢を前に平然と「おじいちゃんになることにしたよ」とか言っちゃう困った人ですがね。(笑)

どこか憎めない、人間味あふれる無邪気なおじさん

その中には、こっちゃんの個性もしっかり詰め込まれていたように思います。

親子の関係性とクライマックスの感動

話し方、体の動き、歩き方、どれをとっても「おじさん」そのものだったこっちゃん。

随分と研究したんだろうな~と思います。

もちろん若かりし日のエドワードは、生き生きと楽しそうに演じていて、ときにカッコよく、ときに可愛らしく、ときにお茶目に、見どころがありすぎてやっぱり1回では吸収しきれませんでした…。

少年ウィルを演じた茉莉那ふみちゃんとこっちゃんの親子のやり取りがたくさんありましたが、なんとまあ可愛らしいウィル君だこと。

ナウオンだったかで、こっちゃんが彼女のことを「お芝居がうまい」というようなお話をしていたと思いますが、なるほど、という感じでした。

目をキラ✨キラ✨させてパパの「おとぎばなし」を聞いているかと思えば、どーせ作り話なんでしょ?っていう少年ウィルの複雑な心の変化を表情でもちゃんと届けてくれて。

うん、表情が豊かだな~と思いましたね、茉莉那ふみちゃん。

組配属の時からひそかに推していましたが、トップスターを相手にあれだけ表現力豊かにお芝居できる娘役さんであれば、これからどんどん伸びていってくれる気がします。

パパのことが大好き!な少年ウィル。

でも、大人になるにつれ変化していくウィルの心。

きわみくん(極美慎)の青年ウィルも秀逸でしたね。

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こっちゃんエドワードとの対等な心のぶつかり合い、押して引いて、受け止めて投げ返して。

歌唱力も格段に成長した気がします。

声量のある伸びやかな歌声に表現力もプラスされ、どんどん魅力的な男役さんになっていますね。

後半クライマックスへ向かっていくときの、親子間の感情の機微は素晴らしかったです。

これはこっちゃんエドワードの深みある「父親」芝居と、きわみくんウィルの繊細な感情表現の「息子」芝居が重なり合って、はじめて生み出された感動だっと思います。

特にラストシーンなんかは稽古場映像で号泣していたきわみくんの姿を見てからの観劇だったので、いったいどんなシーンに仕上がっているのかしらと興味津々だったのですが、もうね、劇場中の人がしばらく涙に暮れてしまいそうなくらい、泣けた。(笑)

ひとつの場面としてももちろん感動的な場面ではあるのですが、そこに至るまでの親子の関りや葛藤が伝わっていなければ、あそこまでの感動にはつながらなかったと思うんですよね。

幼き頃の少年ウィルと家族のことが大好きなパパ、成長して自らの目で社会を見るようになった青年ウィルとやっぱり家族のことが大好きなパパ

うーーーん、やっぱりこっちゃんパパ、もう一度観たい!!!

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二人のサンドラさん

劇団がこのミュージカルの質を上げるために、意図的に歌うま役者を揃えたのだと思いますが、とにかくどこを抜き取っても耳福。

「ん?」っていう瞬間がない貴重な公演でした。(笑)

歳を重ねたサンドラを演じたほのかちゃん(小桜ほのか)は言うまでもなく、安定したお芝居と歌声で作品に厚みを与えていましたね。

自由奔放な少年がそのまま大人になったようなエドワードを、穏やかにゆったりと見守る優しい奥様。

ただ、こっちゃんのおじさんエドワードに対して、ちょっとばかり若々しすぎる奥様だったかな。(笑)

もう少し外見にも「年季」を見せてくれるとよかったかな~と。

息子の青年ウィルくんと並んでると、恋人同士でもいけなくはないよね、って感じのビジュアルだったのが … ちょっと違和感でした。

こっちゃんエドワードとの並びは、ま、なんとか「若い奥さんでいいですね♡」で乗り切れそうだったけど。(笑)

若かりし日のサンドラを演じたうたちゃん(詩ちづる)。

彼女は小柄なので、こっちゃんエドワードとの並びのバランスは良かったです。

そしてビジュアルも普通に可愛いくて、若き日のエドワードがひとめぼれするのも納得、な雰囲気が良く出ていました。

歌も耳福。

なんだけど、、、

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やっぱりいつも気になるのは「地味」すぎるってことですかね。

なんでしょうね、この感覚。

単体で見ると間違いなく可愛いんですけど、舞台で真ん中にいてもを感じられない。

なこちゃん卒業後のこっちゃんの後妻は彼女ではないかとよく耳にしますが、個人的にはちょっとなぁ、、、な感じです。

うたちゃんを相手役として置くのが人事的な唯一の選択肢であるのなら、公演に合わせてフレキシブルに相手役を置くやもめでお願いしたいな。

歌える娘役さんだし、うたちゃんのこと別に個人的には嫌いじゃないのですが、なんせ、こっちゃんの横には似合わないな、と。

どうなるのかな。

そういえば『BIG FISH』の話に戻りますが、1幕ラストでエドワードとサンドラが黄色い水仙に囲まれるところ、、、

どうやって舞台で表現するのかと期待していたのですが、うん、想定の範囲内でした。(笑)

セットの板が一枚ずつバタン、バタン、と反転ね。

あとね、東宝版ではきりやん(霧矢大夢)がひとりで若年期から熟年期まで演じたサンドラさん。

個人的にはそのほうがよかったかな。

このサンドラさんを分けたのは、あまりよろしくなかったわ、という感想を持ちました。

なぜ、ほのかちゃんをシングル・サンドラにしなかったんだろう… と。

彼女なら若かりし日々からエドワードの旅立ちを見送るまでを、作品の世界観を壊すことなく見事に演じ切ってくれると思うんです。

この公演、作品としてはとても素晴らしい完成度でしたが、唯一、気になったのがそこでした。

うたちゃんのお芝居も歌も及第点ではあったのですが、正直、エドワードとサンドラの若かりし日々を見たあとで、年を重ねたエドワードに寄り添うサンドラを見ても、頭の中で若いサンドラと目の前のサンドラがリンクしなくて。

ま、宝塚ってそういうところ、と言い聞かせて見ていたんですけどね。(笑)

私の想像力が足らなかったかな。

結構な「妄想族」を自負しているんだけど、、、おかしいな。www

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Beginner’s Luck⁉ 奇跡の1枚をGET

今回の公演は公演期間も短く、会場は東京しかない、そして礼真琴のブロードウェイミュージカル。

最初から「チケットが取れる要素」がなさ過ぎたこの公演。

とりあえず友会の抽選はもちろんですが、その他ありとあらゆるところにアンテナを張って頑張ったけど取れず。

そのときはまだ配信なし・円盤なしが発表されていなかったので、気楽に「また配信で観るしかないわな」と思って諦めモードでした。

なんで気づかなかったんだろ?

私ね、肝心な シアターオーブ(Bunkamura)の独自抽選 の存在を、すっかり忘れていたのです!

たまたまシアターオーブのホームページを見ていたときに、ふと、気づいて。

抽選の申し込み期間がまだ終わってない!!

シアターオーブは随分前に星組公演『太陽王』を観に行って以来ご無沙汰で、Bunkamura 抽選なんてす~っかり頭になかった。(笑)

ほんとにたまたまHPを見ていて気付いて、ギリギリ抽選に滑り込んだというまさに 危機一髪!でした。

むか~し登録していたIDはもう無効になっていたので、急いで新たに登録し直して、祈りを込めて抽選に申し込んで。

とはいえ、どーーーせ当選するわけない、とは思っていました。www

すでに諦めモードで頭は ライブ配信 に向かっていたし。

そして迎えた抽選結果発表の日。

メールを開いて、しばし固まる。

あ、あ、あたってる???

しかも9列目という良席!

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にわかに信じられず、あのとき3回くらいメールを読み返して確認した気がします(笑)。

9回裏、逆転ホームラン!!

これ、ビギナーズラック かな~って。

そういえば関係ない話ですが、ビギナーズラックで思い出すのは田原のトシちゃんが大好きだった大昔のこと。

生まれてはじめて当時のジャニーズファンクラブなるものに入り、初めてコンサートチケットを申し込んだときにも見事なビギナーズラックで、トシちゃんコンサートの 最前列ど真ん中 が当たったことがありました。

当時はドラマ「教師びんびん物語」が大ヒットして、トシちゃんがアイドルとしてピークに達しているときでした。

最前列のど真ん中で、ステージからのトシちゃんやコーラスのお姉さんたちの視線をビシバシもらい、逆に恥ずかしすぎてまっすぐ見られなかった、、、(笑)

これは宝塚観劇でも同じです。

SS席で1列目とか2列目辺りがやたらと当たることが続いた時期があり、最初は大喜びで客席に座ったんですけど、いざ銀橋からタカラジェンヌに微笑みかけられると 恥ずかしくて目線を外す という、ね。(苦笑)

だから実は、7~10列目辺りが私にはベストポジション。

なのでシアターオーブの9列目は銀橋がないことを考えると「近すぎ~」って思えるレベルの贅沢な席。

ビギナーズラック、久しぶりに恩恵にあずかることができました。

Bunkamura さんありがとう!

Broadway Musical 版権縛りの高い壁

チケットを奇跡的に滑り込みでゲットした数日後だったと思います。

ライブ配信ないよ~円盤化しないよ~スカステNEWSでの放送も制限あるよ~ の悲しいお知らせが公式発表されたのは。

この段階でチケットが1枚も手に入っていないままだったら、たぶん、ずっとブラックホール背負って歩いてたと思います。(笑)

1枚だけでも手に入った奇跡に大感謝!!

この1枚のチケットの有難みが増し増しでしたよね。

でも、どの舞台を見る時もそうなんですけど、1回見ただけでは絶対に足りない。

舞台で繰り広げられるあれやこれやを、1度の観劇ですべて焼き付けることって難しいじゃないですか。

映像が残らないと思ったら、見る前から妙な緊張感に包まれましたよね。(笑)

こっちゃんの歌声をいかに脳裏に焼き付けてくるかっ!!

終演後は「終わっちゃった … 」の脱力感ったらなかったです。

音楽配信はいつ始まるんだろう?

とはいえ、思いのほかスカステさんがチマチマと小出しにいろんなシーンを放送してくれたので、それを見ながら遠ざかる公演の記憶を探る日々。

そしたら千秋楽に「音楽配信決定!」の朗報が聞けて、思わずガッツポーズ!(笑)

待ち遠しいですねぇ~。

この公演の楽曲を可能な限りたくさん配信できるように、版権関連の交渉をしながら処理を進めてくれていると信じ、、、

期待に胸膨らませつつ、、、ひたすら待つしかない。

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まとめ

この公演の千秋楽からすでに1か月半が過ぎて、ほんとーに記憶がどんどん遠ざかりつつあります。

タカラヅカニュースの細切れ映像や、ル・サンクの舞台写真を眺めながら、かすかに蘇ってくる公演の感動。

はやく音楽配信してくれないと、忘れちゃう…。

いつもの公演なら「円盤発売するしね」「スカステ放送があるからね」って、もう一度(いや何度でも)見ること前提だから、劇場で観劇した記憶が薄れ良くことにも焦らないんだけど、今回はそれがないから、頭の中にまだ残像が鮮明に浮かび上がってくるうちに「音源ください!」な感じですね。(笑)

そうこうしている間に、大劇場公演が幕を開け、そっちのメロディーに上書きされそう…。

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