宝塚の至宝、礼真琴の舞台を振り返るシリーズ第8回。
今回は、2010年の夏に梅田芸術劇場&博多座で上演された、礼真琴の出世作!「ロミオとジュリエット」です。
男役としての礼真琴の成長を見るのは、まだまだ先のことになるわけですが、礼真琴という存在を宝塚ファンに認識させ、注目を集めたという意味では、この作品はこっちゃん(礼真琴)の「出世作」だと思います。
私自身、当時からこっちゃんを追っかけていたわけではなかったので、前情報ないままにこの作品を劇場で観て、「あのしなやかに舞っているカワイイ娘役さん誰?」「でも、なんか娘役の可愛さとはちょっと違う気もするけど… 」といった状態でした。(笑)
小池先生には随分としぼられたようですが、宝塚歌劇の代名詞にもなりつつあるロミジュリで、下級生時代の「愛と死」を礼真琴、真風涼帆の二人が演じているのは感慨深いですね。
そして、また順に振り返ることになると思いますが、3年後の大劇場&東京公演でも、こっちゃんとゆりかちゃんは役替わり公演としてそれぞれに他の役をこなす傍ら、愛と死を演じています。
そしてこっちゃんは再演のときに新人公演初主演でロミオを演じ、2021年には今度はトップスターとして本公演でロミオを演じましたね。
在団中に3回も、しかも主要キャストとして出演しているのは珍しいのではないでしょうか。
かつては『ベルサイユのばら』に何度も出演している生徒さんはいましたが、それでも初回の出演時には小公子や小公女などの端役であることがほとんどだったと思います。
さて、初々しいこっちゃんの「愛」を振り返ってみましょう!
『ロミオとジュリエット』予備知識
あらすじ
イタリアのヴェローナに古くから続く二つの名門、モンタギュー家とキャピュレット家は、何代にもわたって争いを繰り広げていました。
当代のモンタギュー卿とキャピュレット卿も、それぞれの夫人やヴェローナの大公が胸を痛めるにもかかわらず、反目し合い、若者たちまで巻き込んだ争いを続けていました。
そんな中、キャピュレット家では、娘のジュリエットとヴェローナ随一の富豪、パリス伯爵の縁談が持ち上がっていました。
パリス伯爵は、キャピュレット家に嵩む借金を肩代わりすると申し出たのです。
幼い頃からジュリエットに想いを寄せていたキャピュレット卿の甥、ティボルトはこの結婚に反対すしますが、キャピュレット卿はそれを一蹴、仮面舞踏会で二人を結びつけようと計画します。
一方、モンタギュー卿の息子ロミオは、親友のベンヴォーリオとマーキューシオにそそのかされ、キャピュレット家の仮面舞踏会に忍び込むことに。
そこでロミオは見えない糸で結ばれた運命の相手、ジュリエットとめぐり会うのでした。
ロミオは親が選んだ相手との結婚に反発し、パリス伯爵から逃げ回っていた彼女と鉢合わせ。
ふたりは待ち望んだ恋人が目の前に現れたことを瞬時に確信するのですが、すぐに引き離されてしまいます。
更にティボルトが、モンタギューの人間が紛れ込んでいると騒ぎ始めたため、ロミオは一旦その場を後にすることに。
ジュリエットは、自分が恋に落ちた相手がモンタギュー家のロミオであると知りますが、彼への想いを抑えることができません。
同じくジュリエットへのつのる想いから、キャピュレットの屋敷を離れられずにいたロミオは、バルコニーにいたジュリエットと再会を果たすのでした。
ふたりは家柄を超えた愛を誓いあい、ジュリエットとパリス伯爵の縁談が成立する前に結婚する約束を交わします。
翌朝、ロミオはロレンス神父を訪ね、ジュリエットとの結婚式を挙げてほしいと頼みますが、モンタギュー家とキャピュレット家の結婚という事実にロレンス神父は驚きます。
しかしロミオの固い決意に触れ、この結婚が両家の争いの解決につながることを願い、午後の懺悔の時間にジュリエットを礼拝堂へ連れて来るようロミオに告げるのでした。
二人の愛の深さに動かされたジュリエットの乳母の手助けもあり、その日の午後にロミオとジュリエットはロレンス神父の前で永遠の愛を誓い合います。
しあわせの絶頂にあった二人でしたが、この先には、悲しい結末が二人を待ち構えているのでした…。
主な配役
ロミオ:柚希礼音
ジュリエット:夢咲ねね
ティボルト:凰稀かなめ
ベンヴォーリオ:涼紫央
マーキューシオ:紅ゆずる
ロレンス神父:英真なおき
乳母:白華れみ
キャピュレット卿:一樹千尋
キャピュレット夫人:音花ゆり
モンタギュー卿:にしき愛
モンタギュー夫人:花愛瑞穂
ヴェローナ大公:水輝涼
パリス:天寿光希
ピーター:美城れん
使者:如月蓮
死:真風涼帆
愛:礼真琴
第1幕 幕開きにひとりセリ上がる、研2の礼真琴!!
物語の始まり、幕開きワクワクMAXの観客の目の前に、ひとりの可愛らしい娘役… じゃなくて礼真琴が、ひとり堂々とセリ上がってきます。
すごくないですか。
お顔も可愛く、そして身体のラインの美しいことったらないです。
当時、私はこの段階で「この子誰?」「なんか可愛い!」「ダンスがめちゃくちゃ美しい!!」と、一瞬にして堕ちました。(笑)
第1場 ヴェローナの広場
じゅんこさん(英真なおき)のナレーションと共に、セリ上がって踊り出す愛、そして背後から登場する「死」のゆりかちゃん(真風涼帆)。
ロミジュリの世界観に一気に引き込まれていきます。
キャピュレットとモンタギューの若者たちが登場した後もしばらくスポットを浴びていますが、表情がね、可愛いです。
まじで、可愛すぎます!!
この初演のキャストはみんなはまり役でしたね。
特に、ティボルト(凰稀かなめ)の色気たっぷりのカッコよさったら、半端ない。
そしてキャピュレット夫人 (音花ゆり)とモンタギュー夫人 (花愛瑞穂)の歌唱力が素晴らしい!
第3場 キャピュレット家の内外
ロミオとジュリエットが運命の恋人との出会いを夢見て、それぞれに歌っているときにスポットで浮かぶこっちゃん「愛」。
しなやかさとバランスが素晴らしいです。
素人から見ても、身体能力が優れている のがわかります。
第7場 舞踏会
ロミオとジュリエットが偶然に出会うと、テラスの上の方からこっちゃん「愛」が登場、二人を導き、愛の行方を見守ります。
くどいですが、しなやかで、とにかく可愛い。(笑)
表現者としてはまだまだ未熟で、役に追い付いていないというのが正直なところですが、妙に魅力的なのはなぜでしょう?
これまで何度も再演されてきて、たくさんの生徒さんが「愛」を演じてこられましたが、この初演のこっちゃん「愛」が私の中ではベストなんです。
本人も再演でふたたび演じていますが、やはり初演は越えられない…。
技術的にはもっと優れた「愛」が何人もいると思いますが、なんなんでしょうかね、初演マジック。
あと余談ですが、この舞踏会のロミオとジュリエットの純白の衣装が大好きでした!
第12場 礼拝堂
ロミオとジュリエットが永遠の愛を誓って歌っているときに、祭壇の裏から出てくる「愛」と「死」。
二人を支配しようとする「死」に対して、「こないで!」と言わんばかりに両手を大きく広げて立ち向かう(ダンス)姿がツボでした。
一瞬の場面ですが、ロミオとジュリエットに「死」を寄せ付けないよう、「愛」で包み込もうとするこっちゃんの渾身のダンス が魅力的ですね。
見方を変えれば、ゆりかちゃんの「死」もはまり役すぎて、怖い。(笑)
第2幕 やっぱりカワイイ、研2の礼真琴
2幕は1幕のラストシーンから始まります。
第1場 礼拝堂~ヴェローナの各所
こっちゃん「愛」は、少しだけ踊ってセンターのスポットライトを浴びながらフェイドアウト。
表情が幼いですね。
それがまた、魅力であったりもしますが。
第7場 ジュリエットの寝室
前場からこの寝室の場面に入る前に、こっちゃん「愛」のソロダンスが挟まれています。
短い場面ですが、こっちゃんのダンス、見せ場です。
普通に娘役だよね。(笑)
イイ顔して踊ってますので、まだ見たことのない方は、ぜひご覧あれ。
必ずや、可愛さにやられることでしょう。
ねねちゃんには申し訳ないが、ジュリエットより確実にカワイイです。(笑)
第12場 ヴェローナ~キャピュレット家霊廟
ロミオが、ジュリエットが死んだと思い込み服毒、その後にロミオを追って短刀で自らを殺めたジュリエット。
その様子を苦しそうにテラスから見つめるこっちゃん「愛」。
死との攻防。
ここは正直、こっちゃんの未熟さが垣間見え、表現力が今ひとつと言った感じです。
踊らず、上半身の動きや表情だけで表現することの難しさですね。
それはそうと、このクライマックスの霊廟のシーンは何度見ても「争いごとの虚しさ」を感じ、様々な感情が溢れてきます。
そして、ロミオとジュリエットの天上でのダンスシーン。
こっちゃん「愛」が見守る中で幸せそうに踊る二人。
ここもやはり研2のこっちゃんには表現力が足りていないと言わざるを得ませんが、この時にできる精いっぱいで「愛」を演じていますね。
後半の二人を見つめる笑顔はチャーミングでした!&身体のラインは何をしていても美しいです。
ラストシーンのゆりかちゃん「死」と壇上で重なり合うシーン、靴のかかとの加減もあるにはありますが、身長差が… 。
この当時、あまり内部事情を知らないで観ていたお客さんは、間違いなくこっちゃんを「可愛らしい娘役さん」と認識したことでしょう。
カーテンコール
もうね、反則です。
可愛すぎてドキュン💛と撃ち抜かれます。(笑)
さゆみちゃん(紅ゆずる)の前に、上下両端からゆりかちゃんと二人で出てきますが、二人で「ちょこん」と首を前に傾けアイコンタクトするのがツボ。
ほんとに一瞬ですから見逃さないでくださいね。
0コンマ何秒のマニアな世界です。(笑)
そして軽やかなステップでご挨拶。
挨拶のあとの並びは、ゆりかちゃんはベンヴォーリオ役のとよこちゃん(涼紫央)の横でしたが、こっちゃんはさすがにちょっと下がっていました。
が、ヴェローナ大公(水輝涼)の隣だったので、研2にしては良いポジショニングです。
ドレスをなびかせながらノリノリで、でもちょっと控えめにリズムを取るこっちゃん、今ではもうなかなか見られませんので、どうぞご堪能ください~。
まとめ
久しぶりに観終わった感想は、やっぱり想定の範囲内で… かわいい!!!
この頃のこっちゃんには、ロミオよりもジュリエットが似合っただろうな~と、いまでも時々妄想してしまいます。
この「愛」の可愛い印象が強すぎて、私はすっかりさゆみちゃん(紅)の嫁になればいいのに、とその気になっていた時期がありました。
全国ツアーのスカーレットを見て「あ、ごめん、間違えた。」と思いましたけど。(笑)
さて、次回は『宝塚花の踊り絵巻 』 を振り返りたいと思います。
日本物のショーは振り返りキラー。
下級生を探すの、すご~く大変なんですよね。
見つけられるか心配ですが… とりあえず頑張ります。
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