宝塚の至宝、礼真琴の舞台を振り返るシリーズ第17回。
この作品、初見のときにこっちゃんを見て、劇団押しなのはわかるけど、歌が上手いのは分かるけど、でも小池先生、なんか違うんですけど・・・って思ったのをよく覚えています。
作品とこっちゃんの雰囲気とが私の中でどうにもフィットしなくて。
単純に子どもっぽいお顔立ちのせいだったのか、役作りのせいだったのか、久しぶりに見直して答え合わせをしてみたいと思います。
『オーシャンズ11』予備知識
あらすじ
服役中の天才詐欺師、ダニー・オーシャンが晴れて仮釈放となる日、ダニーの妻テスの弁護士が離婚届を持って面会に訪れます。
テスはラスベガスのホテル王、ベネディクトが新たに建設するホテルのショースターに抜擢されたため、デビューまでに犯罪歴のあるダニーとの縁を切りたいと。
おまけにテスはベネディクトの新しい恋人だと噂されていました。
今でもテスを愛しているダニーはテスを繋ぎとめるための、ある壮大な計画を思いつきます。
そしてダニーは、刑務所を出てラスベガスへ向かいます。
ラスベガスのクラブで昔なじみのラスティー・ライアンと落ち合ったダニーは、計画を打ち明けます。
それは、ベネディクトが経営するホテル「PARADISO」の金庫を破るというものでした。
「PARADISO」の金庫にはベネディクトが経営するカジノの収益金がすべて集まり、その額、一晩で1億5000万ドル。
当然ながらセキュリティは並大抵のことでは破れません。
そこで、ダニーとラスティーは、様々な分野のエクスパートを集めるために奔走することになります。
経営していたカジノをベネディクトに潰されたルーベン、イカサマがばれてラスベガスを追われたディーラーのフランク、ハッキングのスペシャリストリピングストン、映像を自在に作り出し操るモロイ兄弟、マジシャンのパシャー、ジャグラーのイエン、元カリスマ詐欺師のソール。
加えて、伝説のスリの息子を重荷に感じていたライナスも、父を越えたい一心で協力を決意します。
こうして11人が出揃いました。
ベネディクトはテスの前では本性を隠していたが、冷酷非情、目的のためには手段を選ばないラスベガスの帝王。
果たしてオーシャンズ11は、その裏をかくことができるのでしょうか。
主な配役
ダニー・オーシャン:柚希礼音
テス・オーシャン:夢咲ねね
ソール・ブルーム:未沙 のえる
リカルド/ニック:英真 なおき
テレサ:万里 柚美
ハリー・ウッズ:美稀 千種
ラスティー・ライアン:涼 紫央
アン・ウッズ:毬乃 ゆい
ルーベン・ティシュコフ:美城 れん
ルビー(3ジュエルズ):花愛 瑞穂
サファイア(3ジュエルズ):音花 ゆり
イエン:鶴美 舞夕
フランク・カットン:夢乃 聖夏
テリー・ベネディクト:紅 ゆずる
チャールズ:碧海 りま
クィーン・ダイアナ:白華 れみ
バシャー・ター:壱城 あずさ
リビングストン・デル:美弥 るりか
バージル・モロイ:如月 蓮
エメラルド(3ジュエルズ):白妙 なつ
エディ:海 隼人
ジョー:朝都 まお
ブルーザー:汐月 しゅう
ターク・モロイ:天寿 光希
ポーラ:音波 みのり
ベス:優香 りこ
テーラー:大輝 真琴
ハロルド:真月 咲
バッキー:千寿 はる
ライナス:真風 涼帆(新人公演:礼 真琴)
ボブ:芹香 斗亜
ディック:麻央 侑希
マイク:礼 真琴
第1幕
幕開き、銀橋でのダニー(柚希礼音)と弁護士(英真なおき)のやりとりで始まります。
このあと銀橋上でダニーが引き抜き衣装で早変わり、囚人服から黒いタキシードに変わるのが素敵なのですが・・・
後ろに引き抜き用のワイヤーが繋がれているため、あらためて今映像で見ると、ちえちゃん(柚希礼音)の動きがぎこちない。(笑)
動きが大きすぎるとワイヤーが引っ張られ、囚人服がはだけちゃうから気を使ってる感じがよくわかります。
今回見たのは東京楽映像なので、それでもぎこちなさが見えるってことは、やっぱり動き辛かったんでしょうね。
さて、こっちゃんは基本、通し役の PARADISOのDJ-マイクさん。
どきどき別の役でも出てきます。
各見出しの後ろに( )で書いておきます。
第3場 PARADISO
う~ん。
お顔が まる・・・じゃなかった 童顔 過ぎるのでしょうか。
学年的にも技術的にも、この役は厳し過ぎた気がします。
マイクの登場とともに ラスベガス感 が急下降してしまうんですよねぇ。
外見の雰囲気はどうしようもないっちゃーどうしようもないのですが、もったいない。
髪型も両サイドを編み込みスタイルにして工夫していますが、到底ベガスの雰囲気には追い付かず。
台詞はそんなに違和感ないから、やっぱり外見の見栄えの問題なのかな。
ダイアナ(白華れみ)に “どつかれてる” 研3のこっちゃん、カワイソウ。(笑)
れみちゃんの迫力、半端ないからな。
第5場 PARADISOのステージ
3ジュエルズ(花愛瑞穂、音花ゆり、白妙なつ)と横並びになると、見劣りするのはやっぱり若さゆえ!?
今さらながら、このころは貫禄がないぶん上背がないのも損してますね。
そのままドレス着て鬘被ったら、普通に 4人目のエンジェル になれそう。(笑)
第6場B フランク(ギャンブラー)
ここからしばらく、マイクはお休み。
ともみん(夢乃聖夏)を中心としたギャンブラーとして出ています。
画面上では深い緑色系のスーツにみえますが、最初のテーブルを囲んでいるところ、下手サイドです。
そのあとはいろいろ動きますが、基本、センターに近かったり前列だったり、目立つポジションで踊らせてもらてますね。
髪型がマイクのまま サイド編み込み、シルバーカラーなので見つけやすい。
こっちゃん、マイクより断然こっちのほうがイイ!!
カッコいい。
第8場C シカゴ・ライナス(シカゴの男)
見つけられなかった …。
何回か見直してもわからなくて、だんだんムキになって 1曲まるまるコマ送り してみましたが、だめでした。
ひとり怪しかったのは、上手の後ろの方で踊っているダークスーツにソフト帽、斜めのストライプ柄ネクタイをしている人。
カジュアルウェアの中にはいないと思います。
髪型が目立つから、ソフト帽被ってる数人の中にいるのは間違いないかと。
第11場B~第12場 PARADISO カジノ~レストラン~金庫
久しぶりにマイク君の登場です。
完全に「エンジェルスwithマイク」ですね。(笑)
お姉さま方の貫禄がすごすぎて、こっちゃんの存在感が・・・。
第2幕
2幕はフィナーレ以外、ずっとマイクで登場しています。
ちょっと見慣れてきた感じ。(笑)
さて、私の中の違和感の原因は見つかるのでしょうか・・・。
第3場 ダイアナのNEWバージョン
ここの場面、大劇場の出演者には記載がなかったのですが、東京楽の映像を見ると出てますね。
演出の変更があったのでしょうか。
相変わらずクイーンダイアナ、白華れみちゃんの迫力がすごすぎて、こっちゃん見るの忘れそうでした。(笑)
ま、こっちゃんの見せ場があるわけではないので、感想と言っても特にないんですけどね。
ダイアナのすごい剣幕の様子を上手の端で見ながら、オネー様エンジェルズとボソボソなにやら話しているマイク君でした。
第5場 PARADISO内あちこちⅠ
お芝居の途中、ポイントごとにスポットライトを浴びて歌う、マイクとおネー様エンジェルズ。
美味しい役ではあるんですけどね~。
なぜだかワクワクしないな~。
でも、わずかな振りにもキレッキレ なこっちゃん、それには妙に安心する自分がいます。
第7場 ダイアナのリハーサル
ずっとギンギラタキシードだったマイク君とエンジェルスが、やっと違う衣装を着せてもらえた 場面。
ダイアナのショーに合わせた衣装で、濃い赤の衣装にマントにハットといういで立ちです。
そして、気づいちゃったかも。
こっちゃんの違和感。
髪型!?
顔の輪郭とか童顔な感じが髪型と合ってないから、強烈な違和感 なのかな?と。
帽子被ってたらそうでもなかった。。(笑)
1幕のギャンブラーは帽子なくてもカッコ良かったけど、あれはきっとあの場の雰囲気に合ってたんだわ。(と、勝手な解釈)
第9場 その日 PARADAISO内あちこちⅡ
ようやくちょっと こっちゃんらしさ が見えてきたかな、の場面。
マイクとおネーさまエンジェルスだけの幕前。
歌と少しばかりのダンスと。
こっちゃん、やっぱり他の上級生たちの中にこのいで立ちだと違和感アリアリだけど、幕前の単独場面ならなんとかいけるかも。
見慣れてきただけ?(笑)
歌い終わって上手を指さしながら下手にはけていくときの一瞬の表情が、ステキ♡
そしてそのあとの芝居で、とよこラスティー(涼紫央)が、医者に扮して気絶したソールを診る場面。
いまでこそ星組の中で「小池修一郎」のものまねと言ったら天寿光希!ですが、久しぶりにとよこちゃんのイケコを見て笑った~。
「芸」は上級生とよこちゃんから、下級生ミッキーへと脈々と受け継がれているわけですな。(笑)
第10場 金庫
ふたたび幕前、4人だけの歌。
こっちゃんのダンス、手足の使い方がホントきれい。
見ていて気持ちいですね~。
そして、なんだか マイクがかっこよく 見えてきた。(笑)
第12場A ステージ
ふたたび濃い赤の衣装にマントにハットでショーに参加。
でも見せ場はなし。
第15場 フィナーレC(ストリートの男)
ゆりかちゃん(真風涼帆)中心のナンバーです。
編み込みしてるこっちゃん、後ろ向いてるのに目立つからすぐわかるという。(笑)
上手やら下手やら、いろいろポジション変わって踊ってます。
9人しか出ていない少人数の場面なので、こっちゃんを見失うこともなく。
イキイキしてますね~やっぱり。
そして、見ている側もホッとします、なぜか。
第16場 フィナーレD(フィナーレの男)
大階段からはじまるちえちゃん中心の場面。
前場に出ていたこっちゃんは板付きメンバーにはいませんが、途中で下手側から出てきて加わります。
ちえちゃんが袖に向かって目線を送り手招きの素振りをするので、タイミングは分かりやすいと思います。
出てきてからはちえちゃんをセンターに、後列下手から2番目で踊っています。
その後、一旦はけていたメンバーが加わりさらに最後列に下がりますが、また少し前に出たり、いろいろ動いてますね。
とにかく 髪型 を目で追えばこっちゃんが見つかる。(笑)
少しずつポジションも上がってきて、見つけやすくなってきました。
踊っているときのこっちゃんはイイ顔しますね。
第18場 フィナーレF(Wトリオ)
パレードは今回も Wトリオ を務めています。
ロケットガールたちがご挨拶したあと、下手側を降りてきます。
今回の公演でもまた少しずつ役付きが良くなり、そろそろWトリオを卒業して階段降りで歌う日が近づいてきたかな。
次回に乞うご期待。
この作品をあらためて見た感想とか
ちえちゃんのカッコよさはおいといて。
ねねちゃんのクセの強さもおいといて。
私はこの作品のさゆみちゃん(紅ゆずる)の 見た目 が好き。
できれば、黙って立っていてほしい 感じ。(笑)
あと、白華れみちゃんの実力に改めて「もったいなかったな~」と。
トップ娘役になるには癖が強すぎたのかも知れませんが、彼女の安定した実力は誰もが認めるところだったと思います。
こっちゃん率いる星組でいえば、結果的にみほちゃん(有沙瞳)が同じような道を辿りましたね。
みほちゃんは「安定した実力」、そしてパンチを聞かせられる「声質」までもがれみちゃんと似ていて。
トップ人事はタイミングとか相性とか、大人の事情とか(笑)とにかく色々な要素が関わっているので難しいところではありますが、れみちゃんも、みほちゃんも逸材だったのにな。
まとめ
オーシャンズ11、初見のときの礼真琴演じるマイクを見て感じた違和感。
結局明確な答えはありませんが、たぶん、ベガスのカジノという「大人社会」 の中では貫禄がなさ過ぎたということでしょうか。
そして、上級生たちがベガスの雰囲気を作り込んでいる中で、こっちゃんはまだ見た目も実力も幼すぎました。
かと言って、ダメダメだったわけではなくて。
う~ん、表現が難しいですが。
とにもかくにも、役との巡りあわせって大切ですよね。
同じイケコ演出作品の抜擢でも『ロミオとジュリエット』の ”愛” のように、ブラボー♡な時もあれば、今回のような配役もある。
正直言って、この『オーシャンズ11』、その後の花組・蘭寿とむ version、宙組・真風涼帆 version、まともに観ておりません。(笑)
ゆりかちゃんのは流し見程度には放送で見た気もしますが、蘭寿 version は全く見ていません。
なので、私の中で「マイク」は 礼真琴 ひとり。
こっちゃんの印象しか持ち合わせていないので、他の演者たちと比較すると、どうだったのかな~なんて今回見ながら初めて思いました。
花組が93期生の大河凜で研6くらいの時?、宙組が97期生の留依蒔世で研8かな?
こっちゃんはこれを研3で演じていたので、それぞれのオーシャンズ11を観てみると、こっちゃんのマイクに対しても、また違う感想が生まれるかも知れませんね。
こんど時間がある時にでも他組 version も見てみようと思います。
さて次回は、礼真琴・研3 伝説のコーラス(と勝手に呼んでいる … 笑)タカラヅカスペシャル2011『明日に架ける夢』を振り返ります。
お楽しみに。
宝塚の至宝、星組トップスター礼真琴の宝塚での歩みを振り返るために、これまで出演した作品の一覧表を作成しました。 同期生たちからも当たり前のように「スーパーマン」と言われるこっちゃん。 あらためて、文化祭から現在に至るまでの15年間少々([…]
この記事は2023年3月27日に掲載した記事の再掲載です きょうは忙しい。 待ちに待った『Le Rouge et le Noir~赤と黒~』のライブ配信! そして全国ツアーもきょうが初日&『NOW O […]
宝塚の至宝、礼真琴の舞台を振り返るシリーズ第35回。 今回はこっちゃんのバウホール初主演作『かもめ』です。 ロシアを代表する劇作家であり、多くの優れた短編を遺したチェーホフの四大戯曲と呼ばれるうちの、 […]
礼真琴 J-POP カヴァーアルバム「REACH」の発売が公式でも発表されましたね。 こっちゃんのCD発売は、2020年にトップお披露目を記念してリリースざれた「Applause REI Makoto […]
この記事は2023年12月16日に投稿した記事の再掲載です 星組の話題作『RRR × TAKA”R”AZUKA ~√Bheem~』の稽古場情報が流れ、いよいよ!と […]
礼真琴の舞台を振り返るシリーズ第58回。 今回は小劇場作品『阿弖流為-ATERUI-』を振り返ります。 こっちゃん(礼真琴)の初東上作品ですね。 そして、この頃は、完全にみほちゃん(有沙瞳)との「お見 […]