礼真琴の舞台を振り返るシリーズ第58回。
今回は小劇場作品『阿弖流為-ATERUI-』を振り返ります。
こっちゃん(礼真琴)の初東上作品ですね。
そして、この頃は、完全にみほちゃん(有沙瞳)との「お見合い」なんだろうな~と信じていました。
みほちゃん、実力派なのでお似合いでしたが、ある意味「美人すぎた」かも。(笑)
こっちゃんにはキリリとした美人さんより、メルヘンチックな可愛さを持つなこちゃん(舞空瞳)がお似合い。
結果的には「W 瞳」で両手に花♡の時代がしばらく続きましたが、それはそれでいい感じでしたね。
『阿弖流為-ATERUI- 』予備知識
あらすじ
舞台は8世紀。
東北へ支配領域を拡大する大和朝廷が蝦夷征伐に乗り出す中、故郷を守る為に立ち上がった蝦夷の若き指導者・阿弖流為は、仲間と力を合わせ朝廷軍を打ち破っていく。
しかし勝利は更なる戦いを招き、やがて朝廷軍の切り札である坂上田村麻呂に征夷の命が下される。
主な配役
阿弖流為:礼真琴
佳奈:有沙瞳
坂上田村麻呂:瀬央ゆりあ
桓武天皇:万里柚美
伊治公鮮麻呂:壱城あずさ
坂上全子:音波みのり
紀広純:輝咲玲央
惡玉:夢妃杏瑠
紀古佐美:夏樹れい
御園徹成:漣レイラ
伊佐西古:ひろ香
諸絞:音咲いつき
鞍摩:白鳥ゆりや
百済王俊哲:桃堂純
母礼[もれ]:綾凰華
飛良手:天華えま
滝名:澪乃桜季
延鎮:湊璃飛
多久麻:天路そら
大伴真綱:蒼舞咲歩
菟穂名:天彩峰里
鹿成:希沙薫
猪足:碧海さりお
物部天鈴:颯香凜
播摩:麻倉しずく
阿奴志己:天飛華音
丈部善理:咲城けい
和我女:都優奈
星丸:紅咲梨乃
絞斗:鳳真斗愛
第1幕
幕開きから踊りまくり
こっちゃん、かぶりものが似合いますね。
そして登場シーンは、ロン毛を振り乱していきなり踊りまくり。
幕開きからそんなに踊らさんでも … なくらい。(笑)
でもキレのよいこっちゃんのダンスは、和服を着ていてもカッコいいですね~♡
映像を駆使した演出
この辺りからですかね、映像を余すところなく駆使した演出が多くなってきたのは。
くせ者がこっちゃん阿弖流為たちの背後に忍び寄る姿が背景の映像に映し出され、馬が駆けていくシーンまで、躍動感あふれる演出が見事。
こっちゃんとぴーすけ(天華えま)の妙なアップは違和感ありますが。www
戦いを挑む決心をする阿弖流為のロン毛が…
こっちゃん阿弖流為が、謀反者ぴーすけ飛良手を相手に自分の立場を振り返り、あらためて敵との「戦い」に臨むこと決心するという、感動的な場面。
でも、なんか気になる。
阿弖流為のロン毛が、バッサバッサとしたまつ毛や、口元にピローンと常にひっかかってるのよね。
邪魔だろうな、これ。
この場面だけじゃなくて、けっこうずっとね。
それが気になっちゃて、お芝居に集中できない。(苦笑)
若手スター勢揃い
この作品には、礼真琴を筆頭に、瀬央ゆりあ、綾凰華、天華えま、天飛華音と、若手スターが勢揃い。
こっちゃんは新人の頃から場数を踏んできているし、このとき既に2番手スターなので別格感が半端なく、その存在感とオーラは文句なく「スター」そのもの。
その他のメンバーでいうと、やっぱり綾凰華、もったいなかったな~と思わせますね。
安定したお芝居が目を引きます。
そして相変わらずの活舌の良さが心地よいですね~。
熱いこっちゃん阿弖流為と、冷静なあやな母礼の対比が面白い。
なんかこのときのあやなちゃん見ていて思ったのですが、どことなくさきちゃん(彩風咲奈)の舞台姿に似てませんか?
ふと、そんなことを思いました。
あと、ぴーちゃん(天華えま)。
頑張ってはいますが、やはり、もともとの個性が真ん中向きではないのかな…
阿弖流為、カッコ良すぎ
朝廷軍との戦いに勝って仲間と話をしているときに、朝廷軍の生き残りが現れて対峙しますが、彼らにとどめをさそうとした仲間の剣を、両手を広げて自らの剣で止め、敵を逃がしてやる阿弖流為。
いいひと。
こっちゃんならやりそ~と思ってしまう。(笑)
敵を逃がしてやる姿にも違和感がないですね。
でもって、しばらく後のシーンではなんと「映像」相手に戦うこっちゃん阿弖流為。
斬新。
ただ、スクリーンの映像が眩し過ぎて目が痛くなりますね、これは。
映像をうまく使ってはいるのですが …。
阿弖流為と坂上田村麻呂
こっちゃん阿弖流為と、なおちゃん(瀬央ゆりあ)坂上田村麻呂のふたりが都で出会う場面、ゾクゾクします。
客席から登場する阿弖流為、これ、初見のひとは目の前に阿弖流為様が登場したらビックリして固まるよね。(笑)
「我らがふたたび都へ参るときには、このような都人のなりではなく、蝦夷(えみし)の姿で、蝦夷の心とともに、正々堂々都に入る所存、見逃すようなことはございますまい」
と啖呵を切るこっちゃん阿弖流為にシビれる~。
そして、クールななおちゃん田村麻呂もカッコイイ~!
ことなおサイコ~♡
礼真琴&有沙瞳
身長のバランスがちょうどいいから、見ていてしっくり。
こっちゃんがみほちゃんと向かい合って、普通に見下ろす視線に安心する。(笑)
みほちゃん佳奈の手をギュッと掴みひとこと。
「佳奈、俺では不足か!?」
キャー💕 腰が砕けてしまいそう。(笑)
佳奈が自らの想いを告げると、両手を広げて佳奈を受け入れるこっちゃん阿弖流為。
もぉね、たまらんです。
この二人のシーン、何度見てもあったか~い気持ちになります。
でも二人がいい感じになったところで、後ろのセットがバーンと開いて一気に場面転換、戦いモードに入ります。
その時のこっちゃん阿弖流為の表情の変化も見ものです。
みほちゃん佳奈とあつ~い思いを重ね合っている♡マークの優しい微笑みが、一気にキリリととした戦いに向かう男の顔に切り替わります。
勇ましい踊りへと続き、一幕終了。
第2幕
阿弖流為だけ毛皮!?
2幕も戦いのダンスから始まり、そのあとは少しだけコメディタッチに蝦夷たちの会話が続きます。
北の国での戦いなので、着物も北国仕様なのはわかるのですが、それにしても阿弖流為だけが純白の毛皮を身にまとっているのが違和感。
他の蝦夷たちは毛皮身に付けてないし、あからさまに阿弖流為だけ特別仕様って感じ。
ここまで純白で衣装を目立たせる必要があるのかな?
ちょっとその意図を演出の大野先生に聞いてみたい。(笑)
瀬央ゆりあ、なんかカッコいいぞ
2幕はなおちゃん田村麻呂の見せ場が何度かありますが、なおちゃん、こんなに芝居できる人だっけ?と思ってしまいました。
見た目も整ったお顔立ちだから和物のかつらも良く似合っていてカッコイイし。
あ、でも、歌になると途端に世界観が崩れてしまうのは残念…。
別れの時
蝦夷たちの未来のために、阿弖流為が盾となる覚悟を告げる場面。
ここは、何度見ても泣けます。
みんなの熱い思いがズッシリと伝わってきます。
そして、阿弖流為の覚悟になんとも言えない複雑な気持ちがこみ上げます。
最後に阿弖流為の目に浮かぶ涙に、グッときますね。
こっちゃんの芝居心に泣かされます。
阿弖流為 vs 坂上田村麻呂
こっちゃんの身のこなしが俊敏過ぎる!
これ、リアルな戦いだったら完全になおちゃん坂上さん、秒殺だと思うわ。(笑)
そして、あの武装でブリッジするこっちゃん阿弖流為、すごっ。
しかもこっから、そのまま起き上がって来るという…
どんな腹筋?背筋?
阿弖流為と母礼の死
坂上田村麻呂による朝廷との話し合いが決裂し、阿弖流為と母礼の命が失われることになりますが、暗転した次の瞬間に布で包まれた塊が二つ置かれているのがね…
なんかリアルで背筋がゾクッとする。
首をはねられた二人の頭部が布にくるまれて。
そして、1幕で、しーらん(壱城あずさ)伊治公鮮麻呂がさらし首にあった場面を思い出させます。
しーらん伊治公鮮麻呂の、死を目前にした芝居があまりにも鬼気迫る熱演だったので、余計にリアリティ感じます。
なおちゃん、ぴーすけくん、この場面でいい芝居してるんだけど、ちょっと見ているのが苦しい場面ですね。
そして最後は「生き返る」人々で幕
最後は宝塚のスタンダード。
亡くなった人々も蘇り、みんな舞台に登場して終わります。
これがあるから心が救われる。
宝塚マジック。(笑)
蘇ったこっちゃん阿弖流為、サイコーに輝いております!
フィナーレ
綾凰華、天華えま、天飛華音を中心とした短いダンスシーンのあと、こっちゃんが客席から登場。
この公演はけっこう客席降りが多いですね。
みほちゃんも芝居のラストで降りてたし。
ステージに辿り着いたら、こっちゃん中心のダンスになりますが・・・
またロン毛が邪魔。(笑)
顔にかかりまくってます。
その後はなおちゃんが、都人の格好で両手にバチを持って、ちょっとポップに歌い踊ります。
なんだかよくわからない世界観です。www
そして娘たちの舞、みほちゃんも登場。
でもってこっちゃんが登場してデュエットに繋がります。
みほちゃん、しあわせそうなお顔。
こっちゃんのご挨拶のあいだも、とにかくずっとニコニコでこっちゃんを見つめているみほちゃんがカワイイ。
まとめ
この作品のテーマ曲、すごくいいですよね。
大好きです。
作品のテーマは少々重たいですが、こっちゃんの個性にハマって感動の大洪水、良き作品でしたね~。
何度でも観たくなります。
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