宝塚の至宝、礼真琴の舞台を振り返るシリーズ第11回。
今回は、2011年に宝塚バウホールと日本青年館大ホールで公演された、紅ゆずる主演『メイちゃんの執事』です。
この作品が上演されたころは、さゆみちゃん(紅ゆずる)が最後の新人公演『スカーレット・ピンパーネル』で見事に逆転ホームランをぶっぱなしてからジワジワ番手を上げ、この作品で初東上、いよいよトップ路線に乗っていくのね … という時期。
メイちゃんを演じる相手役は音波みのり、主要キャストには美弥るりか、真風涼帆、芹香斗亜、白華れみ、そしてスター候補性、礼真琴、妃海風、さらには瀬央ゆりあ、最下で紫藤 りゅうが出演していました。
今思えば、かなり豪華キャストでしたね。
まぁ、たいがい昔の作品にはのちのスタ-さんがさんがずら~っと出ているのがデフォルトではあるのですが(笑)、バウ作品にこれだけ揃ってるのは面白いな、と。
基本的に私は少女漫画とか一切読まない人生を歩んできましたが、なんだかこの作品には、とってもキュン♡キュン♡してしまいます。(笑)
公演当時から妙にお気に入りの作品のひとつでした。
この作品を久しぶりに観ながら、紅ゆずる&音波みのりのコンビでトップになってもよかったのにな~と思ってしまった私です。
というより、それを見たかったな~と。
はるこちゃん(音波みのり)が小柄なので、さゆみちゃんとの身長差に萌え萌え。(笑)
肝心なこっちゃん(礼真琴)はというと、ルチア学園のお嬢様のひとり、同期の紫りらちゃん演じる麻々原 みるくの執事を演じています。
少しではありますが歌ったりセリフももらっていて、徐々にポジションを上げてきましたね。
『メイちゃんの執事』予備知識
あらすじ
宮城理子原作、集英社「マーガレット」で連載していた人気少女漫画を、脚本・演出、児玉明子でミュージカル化した作品です。
四国の片田舎で、両親とごく普通の高校生として暮らしていた東雲メイ(音波)は、ある日突然、不慮の事故で両親を亡くしてしまいます。
実は亡くなったメイの父親は、日本の政財界を牛耳る「本郷グループ」の創始者である本郷金太郎の長男ですが、駆け落ち同然で家を出たまま行方不明の状態になっていたのです。
息子が亡くなったことを知った金太郎は、孫娘のメイを迎えに、容姿端麗、文武両道に秀で、何事もそつなく完璧にこなす、完全無欠「Sランク」の執事である柴田理人を四国に向かわせます。
理人とともに本郷家へ迎えられたメイは、本郷家の跡取りとして相応しい「お嬢様」になるべく教育を受けることになり、究極の全寮制お嬢様学校「聖ルチア女学園」へ入学します。
学園では生徒であるお嬢様たちの世話を全て専属の執事がおこなうことになっており、理人は「お嬢様」修行をする決意をしたメイを全力で支えることを約束して一緒に学園へ。
四国の高校の同級生で、ひそかにメイに想いを寄せていた理人の弟、剣人も、メイの執事になると意気込んでついてくるのですが、執事の資格を持たないためにルチア学園へ出入りすることは許されず、ひとり執事養成校へ行かされてしまいます。
ルチア学園での様々な出来事を経て、メイと理人は「お嬢様」と「執事」という関係性を越え、互いに想いを寄せ合っていることに気づき始めるのでした…。
主な配役
柴田 理人:紅 ゆずる
東雲 メイ:音波 みのり
本郷 詩織(ルチア):白華 れみ
柴田 剣人:美弥 るりか
忍:真風 涼帆
本郷 金太郎:汝鳥 伶
シスター・ローズ:美穂 圭子
華山 リカ:音花 ゆり
木場:如月 蓮
仲本先生:南風 里名
桜庭:海 隼人
神崎:汐月 しゅう
加藤 舞:妃白 ゆあ
夏目 不二子:紫月 音寧
仲本 夏美:若夏 あやめ
青山:芹香 斗亜
竜恩寺 泉:夏樹 れい
看護婦:珠華 ゆふ
志村 法子:毬愛 まゆ
根津:漣 レイラ
医者:翔馬 樹音
大門:礼 真琴
麻々原 みるく:紫 りら
山田 多美:妃海 風
こっちゃん大門くんは、カワイイ執事さん
こっちゃんの役は、執事のひとりです。
同期の紫りらちゃんが演じているお嬢さま、みるくちゃんの執事を演じるこっちゃんですが、このみるくちゃんがとってもお転婆さんなので、それに終始振り回されてドタバタしている執事・大門くんといった感じですね。
ちょっとイメチェン、髪を立ち上げたこっちゃん
幕開きから執事として上手端に登場です。
全体の体系が変わった後は、前列下手端で踊っています。
髪の毛が少し短くなって立ち上げてる感じのこっちゃん、いい感じ。
大人の階段ちょっとだけのぼったね。
でも、執事さんにしては幼すぎかな。
これは年齢的な壁があるから仕方がない気もしますが、あまりにもカワイイ執事さんでしたね。(笑)
95期はドタバタ担当!?
一連の幕開き芝居が終わって、舞台がルチア学園内に移ると、執事さんたちもたくさん登場します。
執事のこっちゃんに触れる前に、ルチア学園のお嬢様の中にはこっちゃんの同期、95期の紫りらちゃんと妃海風ちゃんが含まれていますが、これがまたお転婆さん。(笑)
とくに、ふうちゃん(妃海風)はヤバイ。
完全にいっちゃってる。(笑)
原作を読んでいないので、これが原作に忠実な役作りなのかは不明ですが、いなかっぺで言動がすっ飛んでて、ふうちゃんについてる執事しゅうくん(汐月 しゅう)も、リアルにあきれてるんじゃない?って思うくらい。
さすが芸達者なふうちゃん。
そして研2の下級生をこの役に抜擢するなんて、若かりし日の児玉先生もよくわかっていらっしゃる。
適材適所だわ~と感心しました。
紫りらちゃんもこれまたお転婆さんで、こちらは幼さ全開、長い髪を二つに結び、キャピキャピのカワイイお転婆さん。
終始にぎやかにはしゃいでるって感じでしたね。
そんなみるくお嬢様を追いかけながらお世話に励んでいるこっちゃん大門も、けっこう「イェ~イ!」な感じの役作りで、楽しそう。(笑)
メイちゃんがルチア学園にやって来て、制服を着替えるときにシルエットに着替えの様子が映るという場面がありますが、それを見ている執事さんのなかで、幼い顔してやけに嬉しそうに拍手しまくるこっちゃん大門、スケベか。(笑)
どの場面でも自由に振る舞うみるくちゃん(紫りら)を追っかけてドタバタしている大門くんが愛おしくなりました。
他の執事より、ほんのちょっと歌のパート多め
お嬢様の執事たちがひとりずつ紹介される場面で、みんなちょっとだけメロディにのせて歌いますが、キキちゃんとかほかの執事さんはみんなワンフレーズ♪「は~い、○○さま~」といったかんじのところ、こっちゃんは♪「しつじのだいもんです~みるくさまを~よろしくおねがいします~」とちょっと長めに歌わせてもらっていましたね。
ほんのわずかなことでも、ファンにとってはこういうささやかな違いが、特に下級生時代はとっても嬉しかったりします。
全般的にちょいちょいセリフも言わせてもらっていますので、この作品ではこれまでのように、目を凝らさなければどこに出ているのかわからない~!ということはありません。
それにしても、執事たちがずらりと並ぶと、やはり他の男役たちとの身長差は感じますね。
この頃はまだ下級生で魅せ方も身についていなかったし。
いまのこっちゃんを見ていると、技術やオーラで大きさを魅せることって、スターたるもの重要な要素なんだな~と思います。
他のキャストのことも
あすなろ抱き♡
なんなんでしょう、とにかく紅ゆずるの理人にハートを射抜かれます。(笑)
「わたくしの命にかえて、お守りいたします!」って言われると、本当にこの人なら守ってくれそう… って思えてしまう安心感があるんですよね。
決して芸達者な人ではないですし、ものすごくカッコいいわけでもないのですが、なぜかこの作品にはキュン♡キュン♡させられてしまいました。
さゆみちゃんの人柄もあるのかも知れませんが、音波みのり演ずるメイちゃんの素直な可愛さも大きく影響してる気がします。
後半、お互いの気持ちが通じ合う場面・・・あすなろ抱きじゃないですかっ!!!
みなさま、ご存知ですか?あすなろ抱き。
昔々、1992~1993年に掲載されていた(らしい)柴門ふみ原作の『あすなろ白書』という漫画が石田ひかり、筒井道隆、木村拓哉、鈴木杏樹、西島秀俊らでドラマ化されて、若者の間でとっても盛り上がった時代がありました。(ちなみに台湾でも2002年にリメイクされたみたいですね)
その中で、キムタクが石田ひかりの背後から両腕を回して抱きしめ、耳元で「俺じゃダメか・・・?」と囁くシーンがありまして、これが大ブーム。
以降、この抱きしめ方が「あすなろ抱き」と言われるようになりました。
宝塚の舞台でも度々出てくる抱きしめ方なので、ぶっちゃけ珍しくもなんともないんですけど(笑)、Sランク執事の理人さまと純粋な少女メイちゃんの💛シーンにはノックアウトでした~。
なんでさゆみちゃん理人にこんなにハマってしまうのかは自分でも謎 … 。
もしかして、少女漫画出身なの!?
みやちゃん(美弥るりか)は、まさに少女漫画から抜け出してきたような美少年!!
タカラジェンヌが少女漫画を演じているというより、少女漫画の本人が抜け出して宝塚の舞台に立った感じ!?(笑)
おっきいおめめにどんだけ☆がきらめいているいるんだか。みやちゃんの中性的な個性が少女漫画にピッタリですよね。
はるこちゃんと一緒にふたり並ぶとまさに少女漫画の世界。
若手男役の若かりし日々
ゆりかちゃん(真風涼帆)はこの公演当時、すでに安定した路線ポジで活躍していたスターさん、目立っていますね。
出番はさほど多くありませんが、もの静かな芝居の中にも感情の動きが見えて、なかなかやるな、という印象を持ちました。
キキちゃん(芹香斗亜)は金髪の執事さんで、音花ゆりちゃんに付いていましたね。
前半はその他大勢な感じであまり目立たなかったものの、後半になって目立つ見せ場がありました。
が、う~ん、可もなく不可もなく、サラリとした感じ。(笑)
というか、お芝居がどうとかってより、キキちゃん、この頃からいい意味で雰囲気が全然変わってない気がしました。
いや、技術はう~んと向上されているのは分かってますよ、もちろん。
でも、私があまり彼女にロックオンしてこなかったせいもあるかも知れませんが、この執事、青山くんを見ながら「キキちゃん変わってないな~」しか思わなかった。(笑)
ずっと見続けてきたファンの皆さんが観ると、印象は大きく変わるのかな。
なおちゃん(瀬央ゆりあ)・・・ごめん、気づかなかったよ、出てることに。(笑)
ひたすらこっちゃんにロックオンしてたから、最後に画面に流れてきた出演者の名前を見て、はじめて「え、どこにいた?」と。
まぁ、当時のなおちゃんは95期の路線ではなかったし、まだ頭角を現す前だったから気づかなくても仕方ない!… と言い訳してみる。(笑)
まとめ
この作品、もう13年前になるんですね。
昨年、はるこちゃんの退団に合わせて再放送され、理人さん(紅ゆずる)とメイちゃん(音波みのり)のふたりに キュン♡キュン♡ しながら、めちゃめちゃ楽しんで見入ってしまいました!
さゆみちゃんのコアなファンじゃなくても、なぜだか大好きな作品でしたね~。
なので、『礼真琴の舞台を振り返る』ために映像を見ていた時も、気づけばさゆみちゃんを夢中になって見つめてる … という失態。(笑)
そのおかげで「あ、こっちゃん見てなかった!」と、何度も同じシーンを巻き戻して見ることになり、倍の時間がかかってしまいました。
とにかく、かなり楽しかったです!!
みなさまも機会がありましたらぜひ、理人さまのなんだかよくわからないけど妙に放たれている魅力を楽しんでみてくださいね~。
そして、若かりし日のスター候補性たちの初々しい執事さん姿も。
さて次回は、『ノバ・ボサ・ノバ』を振り返ります。
では、また。
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