宝塚の至宝、礼真琴のこれまでの舞台を振り返るシリーズ第6弾。
今回は1999年、宙組の 姿月あさと、花總まり、和央ようか、湖月わたる、という宙組創設オリジナルメンバーで初演され、その後2010年に星組全国ツアーとして再演された『激情-ホセとカルメン-』が今回、こっちゃんを振り返るこの作品です。
さらに2016年には月組全国ツアーで珠城りょう、愛希れいか、 凪七瑠海で、2023年にはまだ記憶に新しい花組の新トップコンビ永久輝せあ、星空美咲、そして 凪七瑠海で再演が重ねられてきました。
初演当時、私の中のでは「花總まり=姫役者」だったので、カルメンという役柄が発表になったとき、それはそれは違和感しかなったのを覚えています。
でも、実際に 観劇した時に感じたのは、その「姫」感が逆にカルメンを下品なだけの女に見せない「タカラヅカらしさ」を作品に感じさせてくれ、良い意味での期待をガッツリ裏切ってくれました。
この作品はカルメンが主役であることは避けられず、ずんこちゃん(姿月あさと)ホセの印象は花總カルメンありき…といった感じ。(姿月ファンの皆様ごめんなさい)
しかしながら、2010年全国ツアーとして上演されたこの星組ヴァージョンでは、ちょっとばかり印象が異なります。それはつまり、ねねちゃん(夢咲ねね)カルメンには残念ながら軸としての魅力を感じることができなかったということです。
繰り返しますが、この作品の可否は「カルメン」にかかっています。自由を愛し、奔放なふるまいで強烈な魅力を放つカルメンをめぐる男たちの物語。
今回久しぶりにこの星組ヴァージョンを見返したとき、改めて女帝と呼ばれたハナちゃん(花總まり)の存在感と説得力の偉大さを感じましたね。
カルメンに魅力がないとホセも、エスカミリオも、ガルシアもくすんで見えてしまいます。
私はちえちゃん(柚希礼音)時代から星組が大好きですし、明確に「ちえねねファン」でしたが、このカルメンについては … 残念な思い出しかありません。(苦笑)
黙って立っていてくれればキレイなお姉さんではあったのですが。
でも、気を取り直して… 礼真琴を探しましょう!
『激情 -ホセとカルメン-』予備知識

あらすじ
19世紀、フランスの作家であるメリメはスペインのアンダルシア地方を旅しているときに、不屈の面魂の中に深い孤独の影を宿した男、ドン・ホセと出会い、彼をモデルに小説を書くことに。
ホセは訪れていたセビリアの春祭りの最中、ある事件に出くわす。情熱的な瞳を持ったジプシーの踊り子・カルメンと出会うが、そのカルメンがジプシーを侮辱した女をナイフで刺したのだ。
軍隊の伍長であったホセは、上官からカルメンを引き渡すよう命じられるが、カルメンの「私を逃がしてほしい」という甘い誘惑にこらえ切れず、任務を放棄し彼女を逃がしてしまった。
ホセにはミカエラという貞淑な婚約者がいたが、奔放で生命力にあふれたカルメンに知らず知らず心を奪われていく。
カルメンを逃がした罰として、1か月の営倉入りを余儀なくされたホセのもとへカルメンが現れ、ホセの脱獄を手助けしようとする。カルメンもまた、純粋で曇りのないホセに惹かれていたのだった。
ある日、カルメンが踊っている店に闘牛士のエスカミリオがやって来て、カルメンの魅力の虜になっていく。
一方、営倉を出たホセはカルメンとの熱い夜を過ごしたが、カルメンに引き留められるがままに外泊をして上官スニーガ中尉に咎められたホセは、口論した挙句、彼を殺めてしまう。
もはや帰る場所を失ったホセは、カルメンと共にジプシーたちと行動を共にすることになったが、彼らの拠点となっているナイトクラブ「リーリャス・パスティア」は、実は裏では密輸などの闇稼業に手を染めるジプシーたちのアジトとなっていた。
あるとき、監獄から出てきたカルメンの夫・ガルシアが店に戻って来るが、一方的に嫉妬に狂ったホセはガルシアをも殺めてしまう。
そんなホセの狂おしいほどの愛に苦しさを感じ始めたカルメンは、自分に思いを寄せる闘牛士・エスカミリオとの気ままな恋を楽しむようになっていった。
何よりも「自由」を愛するカルメンと、愛ゆえにカルメンを自分の世界に縛ろうとしてしまうホセ。そんな光と影がすれ違うかの如く二人の想いが再び重なり合うことはあるのだろうか…。
メリメが描いた二人の結末は、いかに。
主な配役
ホセ:柚希 礼音
カルメン:夢咲 ねね
ダンカイレ:英真 なおき
スニーガ:美稀 千種
メリメ/ガルシア: 涼 紫央
パブロ:天霧 真世
フラスキータ:花愛 瑞穂
ロベルト:鶴美 舞夕
エスカミリオ:夢乃 聖夏
ファニート:水輝 涼
ミカエラ:妃咲 せあら
モラレス:碧海 りま
ミゲル:如月 蓮
エステル:南風 里名
ルシオ:海 隼人
ピカドール:汐月 しゅう
スサーナ:稀鳥 まりや
ナザーロ:大輝 真琴
メルセデス:妃白 ゆあ
レメンダート:真風 涼帆
実業家:夏樹 れい
ピカドール:十碧 れいや
コンチータ:早乙女 わかば
こっちゃんは基本、兵士
こっちゃん(礼真琴)の役は主にどの場面でも基本、兵士でした。
6人の兵士がいろいろな場面でメンバー変えて出てきていますが、その中でも、こっちゃんはちょっと目立つ兵士の場面をもらった印象。
兵士以外では、後半にどいちゃん(鶴美舞夕)らとダンサーポジで「運命の精」として登場している場面もありました。
第1場 プロローグ~分身~(兵士)
幕開きから暗闇の中でホセ(柚希礼音)にライフルを渡しに出てくる兵士の中にいるはずですが、真っ暗闇で誰が誰だかわからず終了。(笑)
第2場A・B セビリアの祭りの中で(兵士)
ホセを中心に兵士たちが踊る場面が何度かありますが、後列上手側でこっちゃん兵士が踊っています。
上手側にひーろー(ひろ香祐)がいて対の立ち位置。
衣装がちえちゃん(柚希)ホセと同じ兵士の青なのでとってもわかりやすくて助かりますね。
でも、このときのこっちゃんのダンス、少々キレがなく私たちの知るところの 礼真琴らしさ を欠いているような気がします。
ま、まだ研2ですらね。
お顔立ちも化粧もまだまだ「カワイイ♡」。
途中でエスカミリオやほかの出演者たちが出てきて入れ代わり立ち代わり歌い踊りますが、カルメンたちが出てきて踊っている最中に、たぶんちえちゃんホセに話しかけているのはこっちゃんだと思われます。
一瞬だけなので分かりにくいのですが。
そして、カルメンがホセに近づき「ねぇ、ハンサムな伍長さん、、、」と話しかける直前に、後ろで女をはべらかしているこっちゃん兵士、目がキラ☆キラ☆していてなんだかカワイイです。(笑)
あと余談ですが、この第2場で特筆すべきは … ゆりかちゃん(真風涼帆)の歌唱でしょう!!
ファンの皆さん、ほんとーーーに失礼いたしますが、、、ヤバすぎ です。
あの頃の精いっぱいで、一生懸命歌っているのは十分に伝わってくるのですが … う~ん、もう少し何とかならなかったのかと改めて思ってしまった次第です。はい。
いや、逆にずいぶんとお勉強を重ね、努力を重ねて、その後トップスターとして活躍するまでになったんだな、と思わなくもない。
周囲からの「柚希礼音になれ」という声に「なれるわけないじゃん!!」と心の中で反発していたという下級生時代のゆりかちゃん、お察しいたします。。。
でもさ、そう考えると、礼真琴ってすごいな~と思ってしまいます、やっぱり。
幼いころからの芸能活動で培ったものでもあるのかも知れませんが、宝塚に入団して間もないころから、上級生の中に入っても、粗削りではあっても技術的には肩並べちゃってますもんね。。
第3場 逃亡(兵士)
カルメンが逃亡した後、上手から下手に追いかける兵士たちの中にこっちゃん兵士。
この場面は出てくると「あ、こっちゃん」とすぐにわかります。
下手にはけるときは先頭で走り去っていきました。
第5場 裏通り(兵士)
ジプシーと町の人たちが喧嘩になって、止めに入る兵士の中にこっちゃん登場。
ここも比較的「あ、こっちゃん」とわかりますが一瞬しか画面に映らないのでお見逃しなく。(笑)
ライフル片手に喧嘩を止めに入りますが、出番も一瞬です。
第6場 クラブ「リーリャス・パスティア」(兵士)
たぶん、たくさんいるお客さんの中にこっちゃん兵士がいると思われますが、カメラワーク的にはどこにいるのか一切わかりません。
たぶん上官と一緒にどこかに座ってるのではないかと。。。
第8場 自由な鳥(兵士)
ホセと婚約者ミカエラ(妃咲せあら)が待ち合わせる直前に、見回りで出てくる兵士二人のうちのひとりがこっちゃんですが、通りすがりに近い一瞬なのでカメラに映り込みもしないという…。(笑)
第9場 狼たちの部屋(運命の精)
カード占いのときに黒づくめで踊っている4人の中にこっちゃんがいます。
が、黒ずくめで目も薄いシースルーの布みたいなものでカバーされてるので判別が難しい。
なんとなく前半は後列下手側な気がします。
後半、ホセがカルメンの夫ガルシアに嫉妬して歌う「ジェラシー」のときは、後列上手側にこっちゃんがいます。
それにしても、やっぱりこの公演での礼真琴、ダンスにキレが感じられませんね。
第14場 闘牛場(運命の精)
ホセを担ぐ4人の運命の精、ちえちゃんの脚を支えているのがこっちゃん?
ホセとエスカミリオの闘牛の踊りの最中に、運命の精たちが二人の周囲を行き交っていますが、誰が誰だか判別できるほどフレームインしないのであっさり諦めました。(笑)
第15場 カルメンの死・ホセの死(兵士)
ホセを銃殺する兵士。
上下2名ずつライフルを構えて立っていますが、暗闇の中なのでどれがこっちゃんかわかりませんでした。
全体的な感想
全国ツアーだし、まだ研2になりたてだし、地味に頑張ている感じでしたね。
そして、なぜだかダンスにキレを感じず礼真琴らしくないな~と思うことが多かったですね。
ま、出番自体がそう多くはないのでたまたまそう感じただけかもしれませんが。
あとお化粧がまだ平面な感じ。
きれいだけど、女子感が抜けきらずカワイイ礼真琴、といった感じ。
これからどの辺りで、こっちゃんは男役らしく変化していくのでしょうか。
楽しみ。
まとめ
今をときめくスターさんたち、当たり前ながら誰にでもこうした新人時代が存在していて、そこから徐々に成長を遂げていく姿をリアルタイムで見続けるのが宝塚沼の醍醐味。
でも、すでにスターさんになっている誰かをきっかけに宝塚を見始めたり、ずっと宝塚は見ているけどある公演を見て突然スターさんに堕ちたり、下級生時代を知らないということも多々ありますよね。
いまは幸いにも版権問題がない公演は、ぜ~んぶフルで映像に残っています。
しかもDVDやBRを持っていなくても、スカイステージやオンデマンドで楽しむこともできます。
なので、すでにスターさんになってからの姿しか知らなくても、昔の映像を見ながらその人の足跡をたどるのも、いろいろな発見があって面白いと思います。
私は40年ほど前に月組の沼に足を踏み入れ、その後、新たに誕生した宙組を経由して、こっちゃんの初舞台の少し前から「星組」の沼地を徘徊(笑)していますので、こっちゃんの出演作品はぜんぶ馴染みがあります。
リアタイでも見てきたはずのこっちゃんですが、下級生時代は基本的に柚希ファンとして「ちえちゃんを慕うカワイイ下級生」の位置づけでしかなかったので、こうして改めて舞台の隅から隅まで目を凝らしてこっちゃんの姿を追いかけるのはとっても新鮮!
次回はこの全国ツアー公演「激情-ホセとカルメン-」と同時上演されたショー「BOLERO」を振り返りながら、研2ホヤホヤのこっちゃんを探します。
本公演とはまた違う場面で活躍してることでしょう。
乞うご期待!
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