この記事は2023年3月27日に掲載した記事の再掲載です
きょうは忙しい。
待ちに待った『Le Rouge et le Noir~赤と黒~』のライブ配信!
そして全国ツアーもきょうが初日&『NOW ON STAGE』の放送という、星組ファンにはハードなスケジュール。
さて、この『Le Rouge et le Noir~赤と黒~』の上演が発表されたのが昨年の10月6日だったので、あれから5か月以上経っているんですね。
いつものことですが、何か月も前から「どんな作品なんだろう?」とか「配役はどうなるんだろう?」とか、ワクワクしながら想像したり調べたり、妄想全開で徐々に公演に向かっていく時間はホント楽しいです。
生で観劇できないのはと~~~っても残念ですが、悲しいかな、もはや「ライブ配信」がデフォルトになっています。(苦笑)
テレビの間に鎮座して、楽しませていただきました♡
総合的な作品の感想
わかってはいましたが、、、重いな。(笑)
ジュリアンの心に寄り添っていると、重~い気持ちに陥っていきます。
ただ、ジェロニモさんを登場させて雰囲気を明るく導いたり、作品の中の登場人物たちにも明るさを持たせたりしているので、CLASSICヴァージョンと比べれば、全体的なイメージはかなり明るくなっていますね。
初日のダイジェストを見た時にすでに感じていたことですが、今回の作品はこれまでの柴田作品とはまったく別ものであるだけでなく、フランスのオリジナル版とも別ものという印象。
セットが「さすが」宝塚!
見事に美しく仕上がっていて感動。
フランス版の殺風景なものとは完全に異なり、全体が美しかったですね。
とはいえ、フランス版は映像を駆使した斬新な演出が際立っていたので、あれはあれで魅力的だったのですが、、、
宝塚版ではシルエットを効果的に活用していて、なるほどと思いました。
もともと小劇場向けの作品ではありましたが、やはりドラマシティ・サイズが限界ですね。
これ以上ハコが大きいと、まとまりのない感じになってしまいそうな気がします。
その分、当然ながら客席数が少なくなってチケ難になるわけですが … 作品の特性からいって仕方がないかな、うん。
第1幕
さすがに、オリジナルのように客席から登場ってわけにはいかなかったようですね。
舞台上のありちゃんジェロニモ(暁千星)の長台詞&客席いじりからのスタート。
ありちゃん、楽しそうでしたね。
拍手を要求しちゃったりして。
そして、ひたすら語るジェロニモさん、覚えるの大変だったでしょうね~。(笑)
途中、ちょっとロミジュリ風の語りになってませんでしたか?
これは、作品の随所に見られたことですが。
礼真琴の真骨頂、重低音が心地いい
ラテン語の聖書を暗唱する場面。
いきなり歌いだすのがロックな感じで面白いですよね。
そして、流れるような滑らかな暗唱歌が心地よく、、、と思ったら、すぐに身の上話を歌いだすというね。(笑)
重低音を響かせるこっちゃんの歌声、ゾクゾクする~。
それにしても、この前半のジュリアンは野心に溢れつつも、どこか周囲の反応におびえているような繊細なハートを感じさせますね。
こっちゃんの表情が素晴らしい。
そして、そのあとの場面でルイーズに対する「はい、奥様」の連発に、なんかツボりました。(笑)
母性本能くすぐられる。
ルイーズとエリザの♪ディンドン
みほちゃんルイーズ(有沙瞳)、ほんとキリリとして美しい。
配役がまだ発表されていないときには、これまでの役のイメージが強かったので、レナール夫人にはほのかちゃん(小桜ほのか)、マチルドにみほちゃんってのもありかと思っていましたが、この作品のレナール夫人は、完全にみほちゃんが適役でしたね。
素晴らしかったです。
そしてメイドのエリザ(瑠璃花夏)。
衣装が・・・メイドカフェ。(笑)
そのまま秋葉原でお仕事できそうな雰囲気でしたね~。
ルイーズとエリザの長いナンバーについて、ナウオンでみほちゃんが親心になってしまうと笑っていましたが、とても聡明なエリザで、心地よいセリフ回しと歌声。
音程が不安定なところもありましたが、及第点だと思います。
それにしてもみほちゃんルイーズの貫禄ったらない!
安定感抜群。
ディンドン~♪ディンドン~♪
私の中では、これが赤と黒の主題歌と化しております。(笑)
あ、あと、レナール氏(紫門ゆりや)はさすがの落ち着きと、安心感。
そして二枚目。
レナール夫妻がポップに歌う場面がありますが、この二人ってこんな感じでしたっけ?(笑)
あ、でも、過去のキャスティングから考えるとちょっと明るめですね。
個人的には涼風真世ヴァージョンのときのマヤさん(未沙のえる)の印象が強い。
まるでハムレットのようなジュリアン
雨に打たれながらの独白。
レナール夫人のもとへ向かう決意をする場面ですが、狂気じみていてゾクゾクします。
なんだろう?この感じ。
そう思ってしばし見入っていて、ふと気が付いた。
気が付いたというか感じたことなんですけど、、、
シェイクスピア劇!
自問自答しながらの狂気に満ちた独白は、シェイクスピア作品によくみられるシーンだな、と。
ハムレットさながらのこっちゃんの迫真の演技は、新しいジュリアン像を生み出していますね。
その後のルイーズとのシーンは乱れ髪のみほちゃんがリアル。
でもジュリアンは涼しい顔してるのよね。
ジュリアンとルイーズの熱い場面を見ながら、みほちゃんが「礼真琴の嫁候補」として星組へやってきたころのことを思い出しました。
あの頃は二人とも、フレッシュで爽やかなカップルだったけどな~って。(笑)
大人になりましたね、二人とも。www
そういえば、このあとレナール氏がやってきて「頭痛は大丈夫か」と尋ねたときのみほちゃんルイーズが、焦って取り繕いながら答えるひとこと、、、
「このとーり、平気だわっ♡」
が可愛すぎた~。
アンコールをお願いしたいくらいです。(笑)
ジェロニモ、でしゃばりさんね
お食事会でのジェロニモさん、出しゃばりさんですよね。(笑)
自分が歌いたいだけかいっ。
ジュリアンにも歌わせてよ~。
後半からジュリアンも一緒に歌い踊っていますが、二人のハーモニーは耳福!
この場面、周りにいる貧民さんたちが囚人のごとく不気味な空気を醸し出していましたが、ジュリアンやジェロニモさんさたちが歌い踊るのが楽しいですね。
ただ、こっちゃんの圧倒的な伸びある重低音を前に、ありちゃんとの差がくっきり。
もって生まれた声質も関係してはいると思いますが、技術の差でもあるのかなと感じました。
ルイーズはとても頭の良い女性
ヴァルノ(ひろ香祐)の策略で、ジュリアンとルイーズとの関係をレナール氏が知ってしまったところ。
一瞬にしてジュリアンの将来を考え、自分が憎まれるかもしれないことを承知のうえで咄嗟にあれだけの判断ができるルイーズって、そうとう頭の回転早い人ですよね。
一方のジュリアンは、まっすぐすぎる青年。
彼女の愛の深さを理解するには至らない、自らの野心のみを支えにしている幼い思考。
こういうのって、ほんともどかしい。
そのまま1幕ラストに入っていきますが、、、
なんともドラマティックな演出ですね。
こっちゃんの魂の叫びのような、ものすごい声量の歌声にもココロ震えたし、みほちゃんのセリフのようなメロディのような不思議な歌声にも惹き込まれ。。。
あっという間の1時間でした。
第2幕
えっと、幕開きのルージュとノワールのコント、いります?(笑)
個人的にはあれがあったことで、ちょっと白けてしまいました。
演じている二人(希沙薫、碧海さりお)の問題ではなく、あの演出自体への疑問。
ちょっとした紅差しなんだろうけど、もう少しなんかやり方があったような。。。
サイド刈上げジュリアン、イケメンすぎる
真っ赤なアイドル風ドレスにツインテールのマチルド(詩ちづる)ちゃん、なんとも斬新!
何が始まった!?って感じ。(笑)
パパ・ラモール(英真なおき)は出てきただけで、その場の雰囲気をもっていきますね。
そして登場するこっちゃんジュリアン。
白い衣装にサイド刈上げがカッコよすぎて、反則。(笑)
パリに出てきて、なんだかとっても洗練された「男」になってます。
1幕とは表情が全く違う。
なんかこっちゃん、また痩せた?
さらにひと回りお顔が小さくこけているように見えたけど。
ジェロニモさんは相変わらず幕開きからしゃべりたおしていて、お疲れさま。www
そしてめっちゃ押しつけ(!)感満載の「友だち」になってる~。
ジェロニモさん、自由人。
マチルド嬢、華やかさがいまいち
うたちゃんマチルドは可愛いし、歌もうまいし、ぜんぶそこそこ及第点ではあるのですが、いまいちインパクトに欠ける印象。
「華」みたいなものを感じないといいますか。
これって見る側の好みの問題なのかな?
ジュリアンとのおいしい場面がたくさんあるのに、なんでこんなに印象が薄いんだろう?
初日のダイジェストを見た時にそれを感じて、全編を見たら印象変わるかな?と思っていましたが、やっぱり印象は変わらずでした。
決して「評価」は悪くないんですけどね。
少し大人の思考が身についたジュリアン
マチルドからの誘いを疑うジュリアン。
この時にうたっている歌、音が上に下にあちこち飛んでいて、とっても難しそうですが、それをも平気で歌いこなすのが礼真琴クオリティ。
お見事。
そして1幕でルイーズのもとへ向かう決心をするときの狂気じみた若者の思考から、少し成長して大人の思考を身に着けたジュリアン。
マチルドに対する葛藤(疑い?)の表現がお見事。
あ、あと、「震えてるの?」と聞かれ「寒いだけです」には思わず心の中で「ジュリアン、可愛いぞ♡」とささやきました。(笑)
うたちゃんマチルドの歌声は特に高音が美しいですね。
こっちゃんの低音ボイスと交わるハーモニーはとっても心地よく、そこへみほちゃんが加わり歌うま3重唱は耳福でした♡
ヴァルノ夫妻、大活躍
すべてはヴァルノ氏の策略が原因でことが起こっていくわけですが、この夫妻を見ているとイライラする~。
これ、世が世なら石投げられてると思う。(笑)
でもそう思わせたら、大成功!ってことでもあります。
ひーろー(ひろ香祐)とほのかちゃん(小桜ほのか)、ギラギラの真っ赤な衣装が良くお似合いで、二人とも楽しそうに演じているのがいいですね。
じゅんこパパ、ラ・モール侯爵
フランス版でこの場面を見た時は、言葉がわからなくても、娘を想って歌うパパの雰囲気だけで感動しちゃったのですが、じゅんこパパもさすがでした。
ほんとこの人の持ち味、温かいですよね~。
ちょっとロミジュリの神父様っぽい感じがあって、気になりましたが。(笑)
メロディーも所々にていたので、必然的にイメージが重なってしまったのかも知れません。
残念だったのは、ジュリアンに娘を託すことを決心して彼に剣を向けた場面で嚙んじゃったことかな。
前半でも噛んでいましたね、そういえば。
Blu-ray収録の日に、残念!
本当の愛を得たジュリアンの最期
ルイーズに自分の立身出世を妨げられたことに逆上し、ルイーズに銃を向けるジュリアンですが、その時にルイーズが見せる微笑みが天使でした。
ルイーズも苦しみから解放されたかったのよね。
命を取り留めたのが結果として良かったのか、悪かったのか。
牢獄の中でひとりきり、憔悴しきったジュリアンがルイーズを想ってうたうところ、、、
涙を浮かべながら歌うこっちゃんジュリアン。
それまでに抱えてきた人生の苦しみが浄化されていく・・・見事な表現力。
どんどん表情が変わっていくのがね、さすがの礼真琴です。
ルイーズからもらったコサージュを手に、ジュリアンの瞳には「愛」を知った、ある種の希望が見えました。
ゆえに、最後の法廷での演説が美しい。
死を前にして、本当の愛を知ったジュリアンの「幸福」は切ないけれども、とても尊い。
ジェロニモさん、明るすぎやろ~
己に課せられた人生を全うしたジュリアンの最期の微笑み、本当に尊いわ~と余韻にひたる間もなく・・・ジェロニモさん登場、明るすぎやろっ。(笑)
いや、明るすぎもそうなんですが、で、結局、ジェロニモさんって何者?
ジュリアンの物語を語りながら、「200年経った今でも、、、」と。
ジェロニモさんは時空を超えて生きているということ?
謎多きジェロニモさんでしたね。
エピローグ
出演者たちが一人、また一人と歌に加わりジュリアンの人生を歌いついで行くのがいいですね。
なんだかジーンとしてしまいました。
そしてセンターから登場するこっちゃんジュリアンのシルエットが美しい。
今回の公演、こっちゃんはほとんど踊っていないので、ここはかろうじてこっちゃんのダンス満喫タイム。(笑)
ごく短い時間ではありますが、ダンサー礼真琴も見られて嬉しかった♡
出演者たちのカーテンコールは、珍しく録音されたこっちゃんの歌声にのせてごあいさつ。
それぞれ楽しそうに盛り上がっていて、本編の重た~い雰囲気皆無で終わるのがいいですね。
まとめ
フィナーレらしきナンバーはジュリアン、ルイーズ、マチルドのダンスのみで、宝塚ファンとしては少々物足りなさもありましたが、こっちゃんのご挨拶があったからいっか。(笑)
こっちゃん、質問があるとかって。
なにを聞くのかと思いきや「映画館でご覧の皆さんは、ポップコーンとか食べながら見られるんですか?」
本当にそれ、いま、聞きたかったの?(笑)
最後まで楽しませてくれたこっちゃんでした。
ドラマシティの千秋楽、そして東京公演まで無事に完走できますように!
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