この記事は2023年8月11日に掲載した記事の再掲載です
大劇場の千秋楽以来、3度目の『1789~バスティーユの恋人たち』を東宝で観劇してきました。
東京公演はこの1回キリの観劇なので、これがマイ・楽。
前方席のドセンター席での観劇 … 良席での観劇が久し振りすぎて、前席の人の頭にまったく視界を遮られることなく観劇できることに奇跡を感じるほどでした。(笑)
ストレスフリーの観劇は快適ですね~♡
大劇場の公演よりもさらにパワーアップ、迫力ある舞台に惹き込まれ、あらためて星組の充実っぷりと、舞台の完成度の高さを実感した公演でした。
礼真琴の代表作って結局どれよ!?(笑)になりそうなくらい、すべての作品を「代表作」にしてしまうこっちゃん(礼真琴)の実力、恐るべし。
初演とはもはや別もの。
作品のチカラとキャストのチカラの相互作用
今回の星組公演が開幕して以来、その評価の高さはもはや語りつくされた感がありますが、、、もう一度語りたい。
星組のキャスト陣、一人ひとりのパワーが客席にダイレクトに響いてくる歌と芝居がとにかく素晴らしい。
「素晴らしい」って言葉はと~っても便利で、何が?どこが?をすべてひっくるめて語れちゃうよね。
ボキャ貧人間にはありがたい。(笑)
でも、実際、この舞台を生で観劇すると、完全にスピーチレスに陥るんです。
「どんなところがよかったの?」
「え?ぜんぶ。」
どこが、なにが、とかじゃなくて、ただただ「良いもの観せてもらった~」ってなる。
正直、この公演の上演が決まった時、周囲の「待ってました!」という声とは裏腹に、個人的にはあまり楽しみとは思えなかったんですよね。
ロナンはじめ主人公たちに対して、あまり魅力を感じていなかったんです。
かろうじて、東宝版を観た時にソレーヌを演じていたソニンちゃんに鳥肌が立ったくらいかな。
なので、今回の宝塚星組版で誰がソレーヌを演じるんだろう?という期待があたくらいですかね。
それが、、、
手放しで「素晴らしい!」になっちゃうという。(笑)
その原因はもちろん、こっちゃんや星組への「ひいき目」が含まれることも事実だとは思うのですが、今回、3度目の観劇をしながら「何が違うんだろう?」と色々考えたんですよね。
で、実は、先ほど思い立って月組公演の録画を久し振りに見返してみたんです。
こんなこと普段しようとは思わないのですが、月組版でさほど作品に魅力を感じなかった理由がなんなのか、星組との違いは何なのか、妙にムズムズしちゃいまして。(笑)
演出の違いが作品の印象を大きく左右する
月組の初演では、「宝塚」の独自色が強すぎて、そこに「今いち」感が大きく生まれてしまったのかも知れないですね。
逆に、登場する人物たちの作品における立ち位置と宝塚のスター制度がマッチしなかったことで、宝塚を見慣れている側に違和感を与えたのも大きいかな、と。
圧倒的な存在感で君臨するマリー・アントワネットをトップ娘役が演じ、主人公の恋人なのに「ヒロイン」ではないオランプ。
これはもう言い尽くされている感がありますが、やはりそれによって本来の作品の軸がブレてしまっているといいますか、、、
当時の月組の布陣では「アントワネット」をちゃぴほどに演じきれる役者がいなかったので、まぁ、配役としては納得ではありましたが、、、
その圧倒的な存在感を持つトップ娘役がアントワネットを演じることにより、本来はヒロインであるはずのオランプの存在感が薄れ、ロナンとオランプの関係性がもたらす作品の軸が見え辛くなってしまいました。
そして、演出面で言えば、一番わかりやすい変更が幕開きのロナンがバスティーユの壁をよじ登っているシーン。
今回の星組版ではなくなりましたが、正解。
大正解。
あのシーンは壮大な学芸会にしか見えなかったので。(苦笑)
幕開きに一瞬だけのあのシーンが入ったことで、舞台上はセット転換が必要となり、ペイロールと平民たちとのやり取りがカーテン前になってしまいました。
ゆえに、田舎村で起きている不条理な抑圧というリアリティに欠けていましたね。
今回は幕開きから村のセットが組まれているので、その雰囲気が伝わりやすかった。
ロナンが革命家たちと出会う場面も、体が弱って助けられる月組版より、ちょっと生意気に突っかかる血気盛んな星組版のほうが、その先、ロナンが革命へと駆り立てられていくイメージがつかみやすい。
月組版にも説得力がなかったわけではありませんが、個人的には星組版派。
今回の星組版には大小様々演出の変更が沢山あって、書き出したらキリがありませんが、、、
トップスター、トップ娘役、スターの序列という役者ありきの作品作りが基本の宝塚において、今の星組メンバーがきれいに作品にハマったことも大きいですね。
作品の構成をより東宝版に寄せ、「生身」の役者のチカラに委ねた小池演出がベストフィットしたのが、今回の星組版なんだな~、という印象。
月組版のときは、いかにも宝塚らしい「トップスターのための演出」が随所に散りばめられていましたが、それも今回は自然な演出に変更されています。
ロナンの衣装も月組ではカラフルな色合いが使われていましたが、星組版では色合いが押さえられて渋い感じ。
あ、、、フィナーレのデュエダンまで渋くなっちゃいましたけど。(笑)
でもデュエダンは月組も渋かったか。
いやでも、シルバーでギライギラしてたよね。
その代わり、、、(なのかどうかわからんが)星組さんのフィナーレは無駄にピンク・ピンク・ピンク。(苦笑)
しかもな~んか品がない色で、、、好きじゃない。
月組版のモノトーンの衣装、、、カッコ良かったんだけどな~。
ま、ダンスはかっこいいし星男たちの笑顔が素敵だったから、良しとしますが。(笑)
トップ二人のパレードの衣装も、月組は純白でしたが、こっちゃん、なこちゃん(舞空瞳)は青とピンクでゴチャゴチャと派手に。www
なこちゃんの履いているブーツって、はなちゃん(花總まり)が『満点星大夜總会』でアイドルHANA-CHANGが履いていたブーツ?
役者の技量と解釈
礼真琴の芝居心、歌に込めたココロの動き、近くで生の声を聞きながら、表情をながめながら、改めてさすがだな、、、と思いました。
天性のものなのか、子どもの頃から役者として培われた「演技力」なのか、その説得力たるや群を抜いています。
そこに周りが引っ張られて、星組全体が底上げされている感じですね。
月組のキャストにも、星組のキャストにも、個々の役の解釈には色々思うところありますが、どれが正解なのかは判断できることではありません。
観る者の感じ方、捉え方、受け止め方次第。
結果論で言えば、今回、宝塚らしさを残しつつも役者本来のチカラに委ねた演出への変更と、キャストたちの役の解釈や演じ方、ビジュアルも含め「好み」が多かった、というのが星組版。
月組版は自分の感性にあまりフィットしていなかったんだと思います。
どれだけ名作だと言われても、自分の感性にフィットしなければそれは自分にとっての名作にはなり得ない。
そして宝塚というシステム上、役者の技量が作品に追いついていなくても「役」を与えられるという現実。
新人からベテランまでの70名の団員で「まわす」ことを前提に、未熟でもスター性で選ばれたり、逆に実力があっても見出してもらえなかったり。
未熟な芝居や歌は作品の質そのものを下げてしまうので、観る側にとってもキャスティングは重要な要素です。
特に昨今の宝塚は海外ミュージカル花盛りなので、その舞台に求められるレベルも上がっている気がします。
最近、礼真琴のレベルが標準であるかのような錯覚を覚えることがあります。(笑)
いや、宝塚においては、まだまだ「礼真琴は特別」なんですよね。
だから、期待されすぎて、こっちゃん、疲労困憊。(苦笑)
組子たちはトップを映す鏡
とはいえ、スーパートップ礼真琴の背中を見ながら星組子たちは着実に成長しています。
前にも観劇の感想に書きましたが、かつては礼真琴の実力が「突出」していた印象だった星組さんですが、もはやそんな印象は皆無。
3度目の観劇でいちばん印象的だったのは、きわみしん。
ここ最近の成長っぷりは目を見張るものがありますが、今回の舞台でもきわみくんの表情、力強いボディーパーカッション、歌声、すべてに鳥肌。
ちょっと礼真琴への愛を横に置いておいて、極美慎に浮気しそうになりましたわ。(笑)
2幕の客席から登場の場面も、、、キュン♡キュン♡した。www
前方センター席だったので、入ってくる瞬間から見ることはできませんでしたが、なんとか頑張って振り返り(笑)、下手側通路を進んでくるきわみくんのキリリ☆とした表情に見事に堕とされました。。。
この先、いろいろ組替えとかで宝塚の再編が行われるのは必至ですが、劇団中のヒトに、心からお願いしたい。
極美慎は星組から放出しないでください!!!
数年後、極美慎、稀惺かずと、この二人の1-2の並びが恐ろしく見てみたいっ!!
かのんくん(天飛華音)は、、、
うーーーん、ごめん。(笑)
ところで!(話を逸らして逃げる…www)
星組のスターさんたちはみんな「声」が良いですね。
活舌も良く、セリフも耳に心地よいです。
男役たちはしっかり骨太で、それでいて響く、伸びる、という心地よさ。
娘役たちは地声でも高音を確実に出せるミュージカル向きな人が多い。
なこちゃん(舞空瞳)は正直、お歌が得意とは言えませんが、ほのかちゃん(小桜ほのか)やみほちゃん(有沙瞳)の歌唱にはいつも心震わされます。
合唱になると、星組生のパワー全開。
そのむかし、宙組ファンだったころ「コーラスの宙組」として誇らしくその歌声を聴いていたものですが、、、
星組のコーラス、、、負けてません!!
ついでに、群舞の迫力はもーーー言葉にならない。
ナマで観劇できる喜びを嚙みしめ、星組がより愛おしくなった『1789』マイ・楽でございました!!!
鼻かぜ?鼻炎?流行中?
公演観ながら、気になったこと。
鼻声の生徒さんが複数。
最初にあれ?って思ったのはデムーランのありちゃん(暁千星)。
セリフが鼻声だったので、その後も気にしてありちゃんの声を聞いていましたが、歌声もやはり鼻声で。
のどは特に問題なさそうだったので、鼻かぜか?と。
そしたら、オランプのなこちゃん(舞空瞳)やソレーヌのほのかちゃん(小桜ほのか)も鼻声で。
星組さん、鼻かぜでも流行ってるのかしら?
いずれも喉には影響している感じじゃなかったので、たぶん、大したことないとは思いますが、、、
なこちゃんはお芝居でリアルに泣いているので、さらに鼻声増し増し。
いや、でも、その鼻声がこれまたカワユ過ぎた♡(笑)
なこちゃん、気づいたらもう研8で立派な上級生だけど、まだ研5くらいのイメージが抜けないのは何故だろう?
童顔だからかな?
ほーんと、可愛いって神。
ことなお、ついに見納め
羽根を背負ったトップスター礼真琴と、星組生として隣りに並ぶ瀬央ゆりあの姿を見るのは、今回で見納めでした。
本編では役としての絡みしかないので、それぞれの役に没頭して観劇させていただきましたが、、、フィナーレナンバーは、もう、ね。
微笑みあって踊る二人の姿が … 尊い!
とびっきりの笑顔が眩しくて、サングラスが必要なレベルでしたよ。(笑)
パレードでは、こっちゃんにご挨拶するこのシーンは本当にもう見られなくなるんだなぁ~ってしんみり。
横に並んで踊る機会は、これからも可能性としてはまだあると思いますが、、、トップスター礼真琴の横で銀橋に立つことはもうないのね、と。
次回作からは暁千星がここに立っているのよね、と。
なおちゃーーーん、やっぱり寂しい!!!
タカスペでの絡みを期待していますっ♡
星組を振り返るコーナー、、、なおちゃんがいないと振り返れないのでね、、、特出よろしく。(笑)
まとめ
開幕から、いろんな意味で話題となった星組公演『1789-バスティーユの恋人たち』も、残すところ約2週間。
あっという間に千秋楽を迎えてしまうことでしょう。
千秋楽はおうちで配信を観る予定ですが、日比谷に行きたい衝動に駆られる気がする・・・。(笑)
退団者3名、そしてなおちゃんの新たなスタートの日。
そしてこっちゃんのリフレッシュがスタートする日。
いろんな思いが交錯する千秋楽になりそうです。
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