礼真琴の舞台を振り返るシリーズ第75回目は、梅田芸術劇場公演『エル・アルコン-鷹-』を振り返ります。
この公演は、本来、全国ツアー公演としてスケジューリングされていた公演ですが、全国ツアーは中止となり、梅芸のみで1週間ほど上演されました。
初演は安蘭けい&遠野あすかコンビ時代の星組。
ちょうど「真風涼帆の舞台を振り返るシリーズ」が初演のこの作品に重なったので、初演に興味がある方は、予習がてらこちらをどうぞ。

ティリアンとうこちゃん(安蘭けい)のニヒルな冷酷さ、宝塚らしからぬラブシーン、そして思わずパロっちゃいたくなる名セリフなど、当時はファンの間で大きな話題になっていたことを思い出しました。
さて、こっちゃん(礼真琴)ティリアンはいかに。
『エル・アルコン-鷹-』予備知識
あらすじ
原作は、青池保子さんの二つの海洋活劇ロマン「エル・アルコン-鷹-」「七つの海七つの空」という作品がもとになっています。イギリス海軍士官の名を捨て、スペインの無敵艦隊を率いて七つの海を制覇する夢を追う主人公、ティリアン・パーシモンの野望に満ちた生き様を、彼に復讐を誓うイギリス海賊との対決や、フランスの女海賊との愛憎を交えて描き上げた壮大な歴史ロマン。
主な配役
ティリアン・パーシモン:礼真琴
ギルダ・ラバンヌ:舞空瞳
ルミナス・レッド・ベネディクト:愛月ひかる
イザベラ:万里柚美
女王エリザベス:白妙なつ
シグリット・シェンナ:音波みのり
シュルベリー司教:大輝真琴
グレゴリー/サンタクルズ:輝咲玲央
スサーナ:夢妃杏瑠
マスターズ:ひろ香祐
バーバラ:紫りら
アデリーヌ:音咲いつき
エドリントン/リカルド:桃堂純
ジェラード・ペルー 綺城 ひか理
ペネロープ・ギャレット:有沙瞳
エドウィン・グレイム:天華えま
スコット:湊璃飛
エドワード・コールサック:遥斗勇帆
ギャレット提督/バルデス:蒼舞咲歩
フィリップ二世:隼玲央
パーシモン卿/パトリック:朱紫令真
ジュリエット・グリンウッド:桜庭舞
ティリアン(少年):二條華
オーレリー:きらり杏
裁判官/ビッグジョン:夕陽真輝
キャプテン・ブラック:天飛華音
酒場の歌手:都優奈
ニコラス・ジェイド:咲城けい
ギルダ(少女):水乃ゆり
オープニング
開演アナウンスから、ティリアン・モードの礼真琴氏。
いつもの低音ボイスが、さらに渋くなって、深みを増した声でごあいさつ。
ま~ティリアンの扮装が似合うことったらないわ。
幕開きから主題歌をいつもの伸びやかな美声で歌ってくれるこっちゃんティリアンさま。
実は、ついさっき初演を振り返っていたばかりなので、とうこちゃん(安蘭けい)ティリアンとの雰囲気の違いを肌で感じています。
とうこちゃんのティリアンは、幕開きからどっしり構えた「オトナ」のティリアンが漂っていましたが、こっちゃんティリアンはダークの中にも何とはなしにイキの良い青年が漂っていますね。
そして、純白のドレスで登場するなこちゃん(舞空瞳)ギルダ、、、
きれい。
かわいい。
歌声も美しい。
ただ、女海賊の迫力には欠けますね。
あすかちゃん(遠野あすか)が結構な力強さを打ち出していたので、なこちゃん、上品すぎてちょっと優雅な貴族令嬢に見えてしまいました。
音楽のアレンジもちょっとテンポが遅い?
あいちゃん(愛月ひかる)レッドの登場は、いつものごとく貫禄独り勝ち。(笑)
安定感抜群。
でも作品的にはそれがこっちゃんティリアンとのバランスがあまり良いとは言えない…。
全員そろって主題歌を歌い踊るオープニングは、初演もそうでしたが大好き!!
こっちゃんの歌う七つの海 … 染みる
とうこちゃんの歌ももちろん素晴らしいと思います。
が、これは好みの問題で、こっちゃんのソフトな伸びのある歌声のほうが聞き心地良いな~と思いました。
初演をひととおり見直していて「あれ?とうこちゃんってこんな風に歌ってたっけ?」と、ちょっと首をかしげるところもあって。
こうしてこっちゃんの声でこの七つの海を改めて聞くと、やっぱり sora はこっちゃんの声質が好きなんだな~と再確認しました。
ずっと聞いていたい♡
ダークが似合う礼真琴、でもバランスが …
ニヒルなこっちゃん、しびれますわ~。
こっちゃんって、下級生のころからずっと変わらず、どことなく子供っぽい雰囲気がありましたが、実はこうしたニヒルな黒い役が本当によく似合います。
こっちゃんの熱心な役作りの賜物かもしれませんが、『The Lost Glory -美しき幻影-』新人公演でイヴァーノ・リッチ(本役:柚希礼音)を思いのほか好演して以来、黒い役でハズレはない気がします。
ただ、今回の作品においては、このキャストでやるなら、こっちゃんとあいちゃん、ティリアンとレッドの配役が逆のほうが、立場を考えずに作品としての完成度が高くなった気がします。
それぞれ個々には好演していますが、いかんせんバランスがよろしくない。
これは演技力や役作り、芝居心の問題ではなく、どうしようもない単純なバランスの問題。
あいちゃんが卒業していった今、こうして冷静に振り返ってみると、やっぱり礼真琴、愛月ひかるの1・2は違和感あったんだな~と思う。
この体制になって前回の作品振り返った時もたぶん書いたと思いますが、あいちゃんのこと大好きだったけど、こっちゃんの2番手としては違いましたね。
あいちゃんファンには申し訳ないのですが、ありちゃんがやってきて、ようやくこっちゃん体制になったな~と、そんな感じ。
もうがっつり後半戦なんだけど。(笑)
余談ですが、こっちゃんティリアンには、今のきわみくん(極美慎)でレッドを見てみたい!
女海賊たち
♪フ~ラッシュ フルル~が頭にこびりつく。(笑)
なこちゃんギルダ、やっぱりかわいいな。
でも、歌の合間に刀を正面に突き出して「ティリアン・パーシモン、お前もよ!」ってセリフを言うところ、なこちゃん、何気にカメラ目線なんですけど。www
真正面にカメラが設置されているから、そうなっちゃったのか、狙ったか。
めっちゃこっちに剣を突き出して、目が合っちゃうから、ちょっとびっくりしたわ。(笑)
全ツの人数で、初演の半分の人数だから迫力には欠けますが、なこちゃんギルダが楽しそうに女海賊を演じていますね~。
ペネロープ、堕ちる
みほちゃん(有沙瞳)演じるペネロープ、役にピッタリとはまり安心して見ていられます。
ティリアンに助けられてお礼を言いに寝室へ行くペネロープ。
そもそも、なんでこんな野蛮そうな男がひとりきりで横になっているベッドルームに行っちゃうんですかね?(笑)
「ひどい方!あなた、紳士ではありませんわっ!」
とか怒ってる場合じゃないよね、と。
そりゃ、こっちゃんティリアン前にして拒めないでしょ。www
とうこちゃんティリアンもそーとーエロかったですが、こっちゃんも色気ダダ洩れ。
「もう一度ここへ来なさい」
いくよね、もちろん。(笑)
でも、セリフ回し、やっぱりとうこちゃんのがエロかったな、うん。
そこは熟練のね。
ただし、目線や手の動き、しぐさはこっちゃんがうわてかも。
今はレディの誇りも慎みも捨てて…
娼婦のように…
女は抱かれていればいい…
こっちゃんの目線がやばい。
ちょっと狂気。www
暗転するの早すぎだわ~。
もう3秒は待ってほしかった!!(笑)
13年後のゆず長
初演のときと同じ役を演じた唯一の人、ゆず長(万里柚美)。
ティリアンの母親役なのですが、さすがに13年も経てば、お年を重ねたのが一目瞭然。
でも不思議なのは、母上様は確実に老けたのに、息子は若返っているというね。(笑)
ゆず長、お歌が13年経って、さらに・・・(自粛www)
バランスは悪いが、成立する二人
この作品、ティリアンの独り舞台みたいに、ティリアンはずっと出ているけど、周りのキャストは出番が意外に少ない。
初演の時もちえちゃん(柚希礼音)やしみこちゃん(和涼華)推しだった sora は、中盤ぜ~んぜん出てこないレッド&ブラック(スタンダール作品みたいな配役よね… 笑)に悶々としていました。
レッドの父親がティリアンの策略で有罪となって死刑を宣告された後、レッドとティリアンが対峙しますが、なんでしょう、やっぱりバランスの違和感は覚えるものの、個々の芝居に引き込まれていく感じ?
こっちゃんのニヒルな笑みにゾクッとしますわ~♡
とうこちゃんとは役作りが結構違うな~と思う部分が多々あり、こっちゃんがものすごく研究したんでしょうね。
ひいき目もあるのは認めますが、純粋に役作りとしてはこっちゃんティリアン派だな。
あいちゃんのレッドも、まっすぐな青年を嫌味なく演じていてさすがだな、と。
でもって、白い衣装がお似合い。
この衣装、2005年の宙組公演『炎に口づけを』でたかちゃん(和央ようか)が着ていた印象が強く、初演のちえちゃんもそうですが、背の高いスターさんによくお似合いですね。
女海賊ギルダ、ティリアンにウィ
ここね、、、
なんでこんなに簡単に「ウィ」なのかね?
ティリアンとの戦いで、剣を首元に充てられて身動きが取れなくなったギルダが、ティリアンから問われます。
ウィですか?
ノンですか?
で、ほぼ抵抗するでもなく、即答に近いタイミングで「ウィ」なんですよね。
これだけ勇ましく海賊やってる女が、そんなにあっさり投降しますか~?って思うんです。
ま、このこっちゃんティリアンの美貌と色気と瞳の奥の悲しみを見てしまったら、そりゃ女は屈しますよ、確実に、ええ。(笑)
でもさ、、、
女海賊のリーダーだからなぁ。。。
「ウィ、ムッシュ」って答えたなこちゃんの悔しそうな表情には工夫が感じられますね。
初演のあすかちゃんよりも、投降することへの悔しさが伝わってきます。
その後の場面転換の瞬間に見せる、凛としたなこちゃんギルダの表情が素晴らしい!
ツボりました。
濃厚ラブシーン見ごたえたっぷり!
なこちゃんギルダに「服を脱いでください」と淡々と告げ、ギルダが上半身の前を開くところ…
こっちゃんティリアンが机にもたれかかったまま、横目でチラってみる視線がたまらん。
その「目」、かっこよすぎるでしょ。
でもって、ギルダに迫っていくこっちゃんティリアンの色っぽさったらないし、それを拒絶するなこちゃんギルダの切羽詰まった表情と叫び声がリアル!
「けだもの!!!」
「ノン… ノンッ!!!!!」
徐々にギルダがティリアンに身を任せていく感情の動きも見事。
初演の二人よりもヴァージョンアップしていて、濃厚だし、やっぱりこっちゃんの「目」がエロい。(笑)
こうも色気を垂れ流しされると、目のやり場に困るわ~www
礼真琴と有沙瞳
次々と女を堕としていくこっちゃんティリアン。
いやはや、次はみほちゃんペネロープがね、かわいそうなんですよ。
ティリアンへの思いが溢れて「あなたが憎い」と訴えるペネロープにこっちゃんティリアンが優しくささやく・・・
「いらっしゃい、ペネロープ」
このささやきが、神。
そんな優しい声で言われたら、そりゃ抱きつきますわな。
で、刺されちゃうかわいそうなペネロープ。
刺されて息絶えるまでのみほちゃんペネロープのお芝居がすごい。
ティリアンの背中に回していた腕が静かに震えだし、ガクガクし出したかと思ったら上半身がティリアンから離れて行ってガクンッて。
この細かい演技、さすがです。
メロドラマの終結だ。
切ないわぁ~。
いっぱい二人で研究したんだろうな~と想像します。
もしも、この二人がコンビを組んでいたとしたら、どんな作品が生まれていったんだろう?
そんなことを思いましたね。
みほちゃんが星組にやって来たときには、絶対こっちゃん嫁だと思っていたし。
ま、今となっては「もし」の話は不毛ですが、、、見てみたかった気もしますね。
『赤と黒』でのみほちゃんはレナール夫人、マチルド、どっちの役なのかな?気になります。
礼真琴の芝居心
あいちゃんレッド&かのんくん(天飛華音)ブラックたちとの闘いで逃げ切って、スペイン無敵艦隊へ迎え入れられた瞬間のこっちゃんティリアン。
危機一髪で救われたティリアンの鬼気迫る高笑いが・・・怖い。
こっちゃんって、ほんと感情表現がうまいな。
心の葛藤や動きを目や表情で語らせたらピカイチです。
そのあとの、なこちゃんギルダとの子供時代の思い出が語られる場面でも、なんか切なくなっちゃいました。
さんざん冷酷なことしてきたはずなのに、でも、やっぱりそこには心の奥底にある何かが見えると言いますか…。
ギルダを失った時の無念の感情、レッドと刺し違えていき絶え絶えになっても訴えかけてくる執念、その時の「目」、やはり「目」の芝居がすごいんです、こっちゃんは。
エピローグ
いつも、突っ込みどころを探してはいるのですが、結局ほめちぎって終わる。(笑)
最後の純白の衣装で歌うこっちゃんティリアンとなこちゃんギルダがなんと美しいことか♡
そのままフィナーレナンバー踊ってほしかったわぁ~。
こっちゃんサイコー♡
なこちゃんサイコー♡
ディミトリー、見た~~~い!!!
どさくさに紛れて叫ぶヒト。(笑)
初演のキャスト
最後に、2007年に星組で上演された際のキャストを書いておきます。
初演は大劇場向けの作品として書かれていたので、出演者も多くやはり迫力が違いましたね。
2007年 星組公演配役(再演の配役)
ティリアン・パーシモン:安蘭けい(礼真琴)
ギルダ・ラバンヌ:遠野あすか(舞空瞳)
ルミナス・レッド・ベネディクト:柚希礼音(愛月ひかる)
グレゴリー/サンタクルズ:英真なおき(輝咲玲央)
イザベラ:万里柚美(万里柚美)
エドリントン/リカルド:にしき愛(桃堂純)
アデリーヌ:朝峰ひかり(音咲いつき)
パーシモン卿:紫蘭ますみ(朱紫令真)
シュルベリー司教:美稀千種(大輝真琴)
ジェラード・ペルー:立樹遥(綺城ひか理)
バーバラ:百花沙里(紫りら)
スサーナ / グリンウッド夫人 彩愛ひかる(夢妃杏瑠)
エドウィン・グレイム:涼紫央(天華えま)
オーレリー:涼乃かつき(きらり杏)
女王エリザベス:星風エレナ(白妙なつ)
ペネロープ・ギャレット:琴まりえ(有沙瞳)
フィリップ2世:祐穂さとる(隼玲央)
エドワード・コールサック:美城れん(遥斗勇帆)
ニコラス・ジェイド:綺華れい(咲城けい)
シグリット・シェンナ:南海まり(音波みのり)
ギャレット提督:天霧真世(蒼舞咲歩)
キャプテン・ブラック:和涼華(天飛華音)
マスターズ:彩海早矢(ひろ香祐)
ビッグジョン:夢乃聖夏(夕陽真輝)
スコット:麻尋しゅん(湊璃飛)
裁判官:水輝涼(夕陽真輝)
ギルダ 少女:羽桜しずく(水乃ゆり)
ジュリエット・グリンウッド:稀鳥まりや(桜庭舞)
ティリアン 少年:天寿光希(二條華)
ローズ:真風涼帆
まとめ
初演、再演と間をあけずに振り返りましたが、なかなか面白かったです。
主演の二人は断然、再演のほうが好きでしたが、正直なところ周りを固めるキャストについては、初演のほうが層が厚く安心して見ていられましたね。
再演は、少々未熟な芝居が目立っていました。
ま、単純に、初演は大劇場のフルメンバーだったので、層も必然的に厚かったという理由もあるかも知れません。
さて、次回は同じく梅田芸術劇場で上演されたショー『Ray-星の光線-』を振り返ります。
