昨日おこなわれた遺族側の記者会見で、故人の妹さんから発信されたメッセージ。
劇団内部の現実を、姉と同じ立場で「生徒」として見てきたからこその悲痛な声。
自分の身分を明かしたうえであのような強いメッセージを発信することには、ずいぶんと勇気がいったであろうと察します。
宝塚に入ったことで、夢を叶えたことで、「人生が変わった」というタカラジェンヌさんや卒業生の話をよく耳にしますが、こんな形で人生が変わってしまうというのは、絶対に、二度とあってはならないこと。
誰しも生きていく中で、多くの喜びを感じたり、幸せを感じたりする一方で、辛い経験、苦しい思いも抱えています。
これは今回、「宝塚だったから」起こったという話ではなく、日本中(いや世界中)で日々、繰り返されているのかも知れないとさえ思います。
でも、だからこそ、自分の目の前で現実問題として起きてしまったことに対しては、誠実に向き合う必要があります。
宙組のトップとしてのふるまい
もしも、です。
今回の文春に書かれていたことが「真実」であるとしたら、正直、宝塚ファンとして、そして一人の社会人として、非常に残念に思います。
それは、この部分。
劇団上層部が『組のトップとして謝罪したほうがいい』と水を向けても芹香さんは首を縦に振らず、『私は謝らない』という強い意思を示し続けた。ある演出家の先生は『自殺との因果関係はさておき、最悪の結果になってしまったこと自体を謝るべき。それすらできないのか』と呆れていました」(劇団関係者)
(2024/02/28 週刊文春より)
これまでも度々ここでも語ってきたと思いますが、個人的に思っているのはまさにココなのです。
「パワハラではない」「パワハラをしたつもりはない」と本人が思っている中で、どうしても「謝罪要求」を受け入れられないという気持ちも理解できないわけではありません。
sora さんも、組織の管理職を経験してきたので「気持ちは」わかります。
でも、管理職の立場として「気持ちに反してもやらなければならないこと」もあるわけで、、、
有無を言わさず「白いものを黒と言え」と言っているのではありません。
責任ある立場である以上、自分の感情を少々飲み込んででも、部下たちのこと、組織が正しく循環できる道を探ることを優先して考える、ということも必要ですよね、ということを言いたいのですが、、、伝わるでしょうか。
それは結果として、ちゃんと自分にも返ってきます。
キキちゃん(芹香斗亜)やまっぷー組長(松風輝)にも、いま自分が置かれている「立場の重み」、そして現に失われてしまった「命の重み」、宙組下級生たちの止まったままの「時間の重み」、、、いろいろなものと向き合い、ひとときの感情に頑なになって方向を見間違うことがないようにと、願わずにはいられません。
もう一度、念のため書いておきますが、
もしも、文春に書かれていた内容が「真実」であるならば、ですが。
ただ、現に昨日の遺族側代理人弁護士さんの話の中でも、「幹部の中でパワハラを認めていない人がいる」ということを明言されていましたので、文春も裏付けあってのことなのかな、、、という気もしてしまいました。
弁護士さんの話と、これまで発信されてきた記事内容が一致することも多く、我々のような一般ファンにとっては複雑な思いを抱かざるを得ないのが現実ですよね。
その中で個人的に思っているのは「パワハラをした、していない」という論点ではなく、「自分ではそう思っていなくても相手をひどく傷つけることがある」という現実を受け入れ、そのうえで自身の立場と向き合い「社会人としての対応」をお願いしたい、ということ。
謝罪を拒否する傍ら、芹香はファンに向けてメッセージを発していた。芹香のファンクラブ「セリカクラブ」の関係者が証言する。
「今年1月、彼女からファンクラブを通じて『私を信じて待っていてください』という趣旨のメッセージが届きました。それには、元タカラジェンヌの母・白川亜樹さんの応援メッセージもありました」
(2024/02/28 週刊文春より)
ファンクラブ会員の方々には、これが事実か否かは一目瞭然なんだと思いますが、どうなんでしょうね?
身近にキキちゃんファンの知り合いがいないのでわかりませんが。
ただ、仮に(やたらと「仮に」って話ばかりで申し訳ありませんが…)キキちゃんから「信じて待っていて」というメッセージが発せられたとすれば、少々、違和感を覚えます。
「パワハラも、いじめもしていないから、私を信じて待っていてね」ということなのだろうと推察できますが、正直、キキちゃんが面と向かってそんなことをする人じゃないであろうことは、ファン以外の人たちでも思ってるんじゃないのかな?
かくいう sora さんもそう思っているし。
もはや論点は「自分がそう思っていなくても」というところのような気がしています。
だって、誰にでもあり得る話じゃないですか?
他の上級生たちだって思う節は絶対にあると思うし、自分たちの日常生活にもありますもんね。
その中で「最悪な結果」をもたらしてしまったことに対し、どこまで「当事者意識を持って向き合えるか」だと思うんです。
もしかしたら、個人にも弁護士さんがついて「認めてはいけない」というようなアドバイスをおこなっている可能性もあるのかなとは思いますが、、、
「失われた命」とどう向き合うのか、そろそろ劇団や当事者とされる方々の「声」も聞いてみたいですね。
謝罪を申し出た他の上級生
今回の記事では、自身の言動を反省して謝罪を申し出た上級生もいたと、実名報道されていました。
花菱りずさん。
宙組には詳しくないので、実際にこの生徒さんが組の中でどの程度の位置づけの方なのかは分かりませんが、少なくとも宙組の現役上級生が謝罪の意思を示している、ということに関してはせめてもの救いです。
彼女とて、決して「パワハラ」や「いじめ」のつもりで発言したわけではなかったことでしょう。
そこにまったく「感情」がなかったということはないでしょうけれど、少なくとも「そんなつもりじゃなかった」ということを言い訳にはしていないようです。
「あの日、私は(有愛に対して)今までの決まり事として挨拶がないことに怒鳴ったけど、言い方がキツすぎた。今までなら普通のことだったかもしれない。でも、今回のことがきっかけで『異常なことだったんだ』と思えたんです。“伝統”だって直していかなければならない」
(2024/02/28 週刊文春より)
これを読んで、ちょっと安心しました。
「安心」という言葉の選択が適当ではないかも知れませんが、正直、安心したというのが本音。
これが「普通の感覚」じゃないのかしら?と。
なにが「普通」かと問われると、それはあくまでも個人的な感覚ですとしか言えないのですが。
普通って言葉は良い意味でも悪い意味でも万能。
その人が生きてきた中での経験から作り上げられる「その人のものさし」だと思っています。
だから、この「普通」が万人にとってという意味ではなく、個人的な感覚としての意味であることは書き添えておきます。
こうして謝罪を申し出た花菱さんに続き、そのほか多数の生徒(故人を厳しく指導した上級生)が謝罪の意志を表明していると書かれていました。
それが事実であれば、宝塚ファンのひとりとして「救われる」思いです。
宙組はこれからどこへ向かうのか
年間スケジュール通りに進むのであれば、あと3か月もすれば宙組公演の幕が開くことになります。
予定通りに幕を開けられるのか。
宙組の生徒たちは、劇団から「まだどうなるか分からないが、体のメンテナンスをしておくように」と言われているのだとか。
宙組の時間が止まって早丸5ヵ月。
いまもなお「どうなるかわからない」状況とは、、、ね。
昨日の遺族側代理人弁護士の記者会見、その夜に公開された宝塚歌劇団公式HPの「なにかもの言いたげな」コメントを見る限りでは、察するに3月初旬とされている話し合いで「合意」できるとは思えない。
そして文春の報じたトップスター芹香斗亜、松風輝組長の謝罪拒否。
一方では他の組子(上級生)たちによる謝罪の申し出。
宙組がこれでひとつにまとまれるはずもなく、、、の状況ですね。
何度も言及していることですが、なによりも組の象徴的存在であるトップスターや、組を任される組長に
求心力がなければ成り立たないわけで。
劇団としての遺族側との合意へ向けた話し合いだけでなく、組の中心となる上級生が、宙組子や多くのファンからの信頼を回復することができるのか、、、課題は山積状態のように思います。
5月の公演ができるか否か、その発表は少なくとも次回の話し合いが行われてからになると思いますが、なんとなく雲行きが怪しい、、、気がします。
でも、いまのままズルズルと時間だけが過ぎていく状況は、宙組生にとってあまりにも残酷。
劇団にとっても「何を大切にすべきか」を考え、何かしらの決断を迫られるときが来ているのかも知れませんね。
昨日公表された妹さんのコメントにもありましたが、、、
これ以上、無駄に時間を引きのばさないことを願います。
まとめ
それぞれの立場、それぞれの思い、それぞれの判断。
簡単には合意に至らないのは至極当然のことかも知れません。
ファンの立場から明確に言えることがあるとすれば、1日も早く、雑念を持たず純粋に「宝塚歌劇」を楽しめる環境にしてください!ってことくらいですかね。
宙組の歴史がこの先も100年を超えて続いていきますように。
残念ながら100周年は見届けられないけどね、、、(笑)