フランス革命を扱った作品は沢山ありますが、その代表的な作品と言えば何と言っても『ベルサイユのばら』です。
しかし、意外にもロベスピエールが登場するのは平成の世も後半、現時点では最後に上演された凰稀かなめさん主演、2014年の宙組公演、『ベルサイユのばら—オスカル編—』でついに初登場しました。

ロベスピエールは革命後の重要人物であり、のちにロベスピエールを主人公に作品が作られていることでもわかるように、ちょっとだけ登場させるにはその存在が大きすぎてしまうのかも知れませんね。
宝塚の舞台に登場するロベスピエール
THE SCARLET PIMPERNEL(2008 / 2010 / 2017)星組 / 月組 / 星組
イギリスの作家、バロネス・オルツィ氏の小説「スカーレット・ピンパーネル」を脚本・作詞をナン・ナイトン、音楽をフランク・ワイルドホーンが担当してミュージカル化したのがこの作品です。
1997年にブロードウェイで初演され、以来、欧米各国において上演が繰り返されている人気を博しています。
このスカーレット・ピンパーネルは小説を基に作られたミュージカルですが、実は、この小説が出版されるのは戯曲として成功した後だということをご存知でしょうか。
執筆したこの作品を出版社に持ち込んだもののなかなか出版には至らず、作品に自信を持っていた作者はこれを戯曲にしてイギリスで上演しました。
この戯曲が大人気となり、ついにはロンドンで4年間のロングランを果たし、あれだけ出版社から突っぱねられていたこの作品に対し、今度は小説化のオファーが止まなくなったといいます。
宝塚ではかつてこの翻訳版「紅はこべ」のタイトルで、花組の松あきら・北原千琴の主演て舞台化されています。のちに1995年に花組、真矢みき・ 純名里沙の主演で全国ツアー公演として再演されました。
スカーレット・ピンパーネルよりも原作に忠実に作られていたとのことですが、このときの作品の主な配役にはロベスピエールは登場していません。
「スカーレット・ピンパーネル」は、フランス革命の最中に革命政府に捕らえられた貴族達を救い出すイギリスの秘密結社です。
そのリーダーが主役のパーシー・ブレイクニー。
彼と革命政府全権大使としてこの秘密結社の組織壊滅に乗り出すショーヴランとのかけひきや、パーシーの妻・マルグリットを交えた三人の愛憎を絡ませながら描かれた、コメディセンスもキラリと光る作品です。
宝塚バージョンは、2008年の星組(安蘭けい・遠野あすか)、2010の月組(霧矢大夢・蒼乃夕妃)、2017年の星組(紅ゆずる・綺咲愛里)の3回上演されています。
ロベスピエールは、ショーブランに指示を出すジャコバン派のリーダーとして描かれていますが、2010年の月組までは脇役の位置づけで、初演はにしき愛さん、再演は越乃リュウさんが演じました。
ところが2017年の星組公演では、ロベスピエールが3番手の位置づけの重要なキャストとして登場します。
これまで描かれてこなかった、ロベスピエールの独裁者としての孤独や苦悩を、七海ひろきさんが好演しました。
外伝ベルサイユのばら(2008)雪組・星組
この『外伝ベルサイユのばら』は、これまでのベルばらに登場した主要な脇役にフォーカスして作られた作品です。
3部作あるうちの、第1弾であるジェロ―デル編で彩那音さんが、第3弾のベルナール編でにしき愛さんが、それぞれロベスピエールを演じています。
星組のにしき愛さんは、初演のスカーレット・ピンパーネルでもロベスピエールを演じていましたね。
ベルサイユのばら—オスカル編— (2014)宙組
『ベルサイユのばら』は、1974年に月組で初演され、当時は2年に渡り4組すべてで上演されました。いわゆる『昭和のベルばら』は世にベルばらブームを巻き起こしました。
その後、平成時代にも節目ごとにヴァージョンを変えながら何度も再演を重ね、宝塚歌劇 = ベルサイユのばら というイメージが定着していきます。
一部ファンの間では「もうお腹いっぱい!」「ベルばらは観たいと思わない」などという声もありますが、それでも根強い人気があるのもまた事実のようで、上演されるたびに劇場は満員御礼となています。
そして、ロベスピエールが本編として、ベルサイユのばらに登場したのがこの2014年、宙組のオスカル編です。
ベルナールの友人として登場し、澄輝 さやとさんが演じていました。
それまでのベルばらには出てきていないのが、意外ですね。
1789-バスティーユの恋人たち-(2015)月組
この作品は、2012年にフランスのパリで初演され大人気となり、それまでにもフランス語圏で何度も上演されてきた大人気のミュージカルです。
小池先生の潤色・演出による宝塚バージョンが、日本での初演となりました。主演は龍真咲・愛希れいか。
フランス革命の混迷の中で翻弄されながら生きる様々な人々の生き様を描く、フレンチ・ロック・ミュージカルです。
ここに登場するロベスピエールは、ときとして野心に燃えるギラギラした場面もありましたが、おおかた恐怖政治を行った革命家とは思えないくらい、純粋でまっすぐな青年として描かれていた印象です。
演じていたのが、まだ若手だった珠城 りょうさんであったことも、この役をそのように印象付けているのかも知れません。
瑠璃色の刻(2017)月組
美弥るりか主演で、ドラマシティと赤坂アクトシアターで上演された作品です。
ヨーロッパ史に今も多くの謎を残すというサン・ジェルマン伯爵、ひょんなことからその伯爵に成りすました男が時代の寵児になり、やがて押し寄せるフランス革命の渦に巻き込まれていくという、18世紀のフランスを舞台にしたドラマティックなストーリーを描いたミュージカルです。
ここに登場するロベスピエールも若き革命家として描かれており、熱い演説を繰り広げる場面もあり重要人物の一人です。
宇月颯さんが演じていました。
ひかりふる路 〜革命家、マクシミリアン・ロベスピエール〜(2017)雪組
いよいよ、ロベスピエールが主役の座に躍り出ます。
歌唱力に定評のある当時の雪組新トップコンビ、望海風斗と真彩希帆の大劇場お披露目公演として上演されたこの作品は、フランス革命の中心人物の一人であり、理想に燃え、そして自らもまたギロチンにかけられ散っていった革命家、マクシミリアン・ド・ロベスピエールの生きざまを音楽で綴ったミュージカルです。
市民の蜂起によって革命が始まってから2年後、ようやく課題であった憲法がルイ16世によってついに承認され、国民議会議員として大きな仕事を成し遂げたロベスピエールら革命家たちはパリ市民の歓呼の声に迎えられますが、世はまだまだ混迷極める革命後の世界、彼が思い描いた未来はそこにはありませんでした。
志を一つに、共に活動した仲間達との絆や、運命を感じさせるロマンス、革命に人生を賭けた青年ロベスピエールの姿を通し、彼が掲げた「自由・平等・博愛」に込められた思いを紐解きながら、人類がこれまでに歩んできた路、そして、これから歩んでいくべき路を考えさせられるような作品です。
まとめ
宝塚ではお馴染みとなっている「ロベスピエール」について紹介しました。
実在の人物の登場する舞台をみるとき、実際にどんな人であったのか予備知識があると、より一層その舞台を楽しめるのではないかと思います。
今回ご紹介したロベスピエールの登場する作品を、改めて見直してみるのもいいかも知れません。
歴史を知ることは今を知ること。
みなさまにも、色々な作品の背景に興味をもっていただけると嬉しいです!
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