とうとうと言うべきか、やはりと言うべきか。
宝塚歌劇団の「のらりくらり」隠ぺい体質は、負の連鎖を引き起こしていきますね。
自らの命を絶った生徒さんのご遺族の代理人弁護士さんが10日、1時間以上にも渡る記者会見を開き、その中でご遺族からのコメントも発表しました。
ここのところ、漏れ聞く内部事情、そして劇団の対応はひどいものでしたから、ご遺族側にしてみれば至極当然の行動であったように思います。
劇団の記者会見に不信感を持ち、弁護士に相談したというご遺族。
調査をひととおり終え、このタイミングでの記者会見に至ったとのことです。
ご遺族の代理人弁護士が語ったこと
昨日、ネットに出ていた某局のノーカット動画でこの会見を拝見しました。
この会見はご遺族側の弁護士、つまりご遺族の代理人によって開かれたものです。
ちなみに、この弁護士さん。
前半、のらりくらりに見えますが、かの有名な電通事件を担当された敏腕弁護士のようですね。
遺族側の本気度がうかがえます。
現役生が劇団と対峙する切なさ
弁護士さんが最初に語った言葉。
ご自身がご遺族側の代理人であること。
そして、付け加えたのが・・・
「ご遺族とは、ご両親、そして妹さんを指します」
このことば、当たり前の内容ですが、いち宝塚ファンとしては重い言葉でした。
この記者会見と時を同じくして劇団から発表された雪組の「休演者」。
現役タカラジェンヌが劇団と公に対峙しなければならなくなったというのは、やはり悲しいことです。
夢を持って宝塚歌劇団へ入り、その場所が人生の最後の場所になってしまった姉、そして、やはり同じ夢を描いて宝塚歌劇の世界で頑張ってきた妹もまた、その遺族として夢半ば、劇団と向き合わなければならなくなった現実。
当時の姉の様子をいちばん明確に証言できるのは、同じ歌劇団に所属し内部にも精通していて、身内であり同居していた妹さんであることは間違いないと思います。
姉の訃報の翌日にも気丈に舞踊会の舞台に立っていたことを思うと、改めて、どれほどの思いであったかと慮られますね。
劇団が公演を強行したことに、今もなお疑問符が浮かびまくっています。
6年目からの出演契約書や誓約書が公に
弁護士さんの言葉を借りれば、研6以降結ばれる「契約」はとても拘束性の強いもの。
舞台に出演し、レッスンに参加し、出演等を行うにあたり劇団の方針に従うこと。
そして劇団の許可なく劇団以外での出演は不可。
つまりは「専属性」を明確にうたっているということです。
まあ、これについては、正直エンタメ界にはありがちな内容で、それが良いか悪いかは別として、さほど驚くような内容ではありません。
ただ、こうした契約書以外にも「誓約書」が出されているとのことで、なんとそこには「体系の維持」などに努めるということも書かれているのだとか。
確かにタカラジェンヌには美しくいていただきたいし、ファンに夢を届けるために努力は必要であるとは思いますが、劇団がタレント契約するにあたってそんな誓約書を出させているとは!
弁護士さんによれば、今年の8月ごろからは毎日3時間ほどしか睡眠がとれず、重ねて「上級生からのパワハラ」により心身の健康を損ね、亡くなったと。
つまり、これは劇団の「安全配慮義務違反」であるとの見解です。
タレント契約ではありますが、宝塚歌劇団の特殊性から鑑みて「雇用関係」にあるものと考えているとのことでした。
労働基準法を当たり前のようにぶっちぎる歌劇団
宙組のお稽古が始まり、初日を迎えるまでの8月16日から9月29日の間に休日は6回。
ただ、このお休みの日もろくに休めない状況だったとのこと。
公演で使う衣装や化粧品の買い物、公演のための髪染め、公演の譜面の音取り、演技のための筋トレ、体調維持のためのマッサージ、新人公演のための書き物、新人公演の演出家との連絡、、、
正直、これだけを言葉にして聞くと、全部が全部これを業務として「働いていた」と語るのは厳しいなという印象はあります。
が、本公演に加え、新人公演の長としての準備等で過労になっていたのは間違いないと思います。
新人公演の責任者であるという重責も計り知れません。
そして、劇団が「労働基準法」を遵守できていないのはず~っと前から誰の目にも明白。
弁護士さんが何度も「本来は8人いるはずのところを2人で」と話しておられましたが、この言い回しは一般の方が聞くとちょっと違う捉え方になりそう、とは思いました。
どの組においても、7年経てば同期生は退団などで減っていきますので、「本来8人のところを」というのは違うかな、と。
ただ、なぜ宙組の同期生が「長の期」になるこのタイミングで2名(+休演1名)になってしまっていたのかは、宙組事情があったと言わざるを得ない気はしますが。
いずれにしても、これを機に、下級生から上級生に至るまで、全生徒の労働環境をきっちり目に見える形で改善してほしいものです。
宙組で何が起きていたのか
2年前の8月14日。
東京公演に向けての稽古の日。
上級生から前髪を巻いてあげると言われ、額にヘアアイロンをあてられて火傷を負ったという事件がありました、と。
弁護士さんはそう言いました。
この事件が2月に週刊誌で報じられた際に、Aさんはプロデューサーの聞き取りに対して、事実をそのまま伝えたにも拘らず、劇団は一方的にホームページに理事長名で「事実無根」と発表したのだと。
これによって精神的な負荷を受けたうえに、上級生からの様々な暴言によって追い詰められていったのは、どうやら事実のようですね。。。
その暴言と言うのが、かつて文春が実名で報じていた宙組の上級生たちが発したとされた内容と一致しています。
どう受け止めれば良いのやら・・・。
弁護士はこれについても厚労省の定める「パワハラ」の定義に当てはまると明言されていました。
劇団が第三者機関による聞き取りを終え、結果を記者会見等で発表する場合には、それに合わせて遺族側でも記者会見を行う予定だそうですよ。
ご遺族は、宝塚歌劇団および親会社、そしてパワハラを行った上級生が事実関係を認め、謝罪することを求めています。
そして劇団には補償も求めていく構えのようです。
生徒手帳とは?
こんな手帳があるのは知りませんでした。
上級生と下級生の関係とは縦の絆、同級生とは横の絆。
時代が時代なら、古き良き時代の「名言」だったのでしょうけれど、、、いまは言葉の意味を違う角度で取られがち。
事実、これを弁護士さんが持ち出してきている段階で、「パワハラ」を起こさせる原因のひとつでは?とされているということ。
弁護士さんはお仕事なので、使えるものはなんでも使ってきます。
個人的にはこの「生徒手帳」に書かれていることに対して、特に「けしからん!!!」のような感情は湧いてこず、これって出す必要があったのかな?なんて思ってしまいましたが。
ただ、学生時代には学校の規則やモットーが書かれた「生徒手帳」を持っていたけど、社会人になっても「生徒手帳」が配られている宝塚は、やはり世間とかけ離れているな~とは思いました。
音楽学校生だけのものであれば不思議ではないけど、表紙には「宝塚歌劇団」って書かれているからな・・・。
宙組の再生は険しき道
11月17日にこの先のことについて見通しを発表するとしていた劇団に対し、遺族側のこのタイミングでの会見。
しかも雪組が(恐らく)再始動というタイミングでした。
ご遺族のひとりである雪組生の休演が発表され、この状況では「そうなるだろうな」と頭で理解しつつ、気持ち的にはなんとも複雑な思いを抱きつつ、、、それなりに受け止めていた矢先のできごと。
ご遺族のメッセージには「宝塚歌劇団に入ったこと、何より、宙組に配属された事がこの結果を招いたのです」と書かれていました。
おそらく、他組に所属している妹さんの環境も把握したうえで、そのような文言を「あえて」使われたのかと察します。
新しい夢と希望に満ちていたあの頃の宙組、、、いつの間にこんな闇に包まれてしまったのでしょうか。。。
名指しされた上級生たちのこれから
弁護士さんがひと通りの説明をしたあと、記者との質疑応答も30分くらいは続いていたと思いますが、なるほど、と言うこともあれば、少しわかりにくさもあって。
労働基準法の観点からのやり取りも多くされていて、これに関しては劇団、勝ち目ないな、という印象。
そして、文春で「内部告発」として報じられてきた記事について、「事実であった」ということを認めざるを得ない状況になったことは間違いありません。
ヘアアイロン事件しかり、上級生からの暴言しかり。
週刊誌によって実名が公にされている方たち、そこに名の挙がっている上級生たち全員が「当事者」としてこの問題に向き合ることになるでしょう。
というより、弁護士さんの言い方では「すでに補償と謝罪を劇団に申し入れている」というニュアンスでしたから、劇団内では対象とされている生徒とも話し合いはしているのではないかと思います。
ご遺族側はパワハラについて「事実関係を明らかにしたうえで、上級生たちが責任を認め、謝罪すること」を求めているとのこと。
ご本人たちが認めるか否かにも焦点があてられるのかと思います。
個人的な見解ですが、これは劇団に任せておけるような案件ではなく、ここまできたら加害とされている生徒さんについては個人で弁護士を立てるなりしないと、対応できないのではないでしょうか。
弁護士を立てて、個別にちゃんと話し合いをしないと、ひとりの命が失われている中で、劇団を介して話合いをしていては、生徒個々人の人権も守られない気がして、、、。
もしかしたら、すでに動いているかも知れませんが。
宙組の体制はどうなる?
今回の件で名指しされている宙組生は、組を構成している中では屋台骨の立場の方々です。
だからこそ、余計にこの問題を重く受け止める必要があるわけですが、、、
もともと sora さんは、宙組の東京公演もできないだろうな、、、と思っていた人なのですが、今回の遺族側記者会見を拝見して、なおさら「中止だな」と確信しました。
そもそも集合日になっても宙組生には公演についての通達が行っていないようですしね。
この状況下で公演できたら、逆に驚きますし、不信感大爆発です。
博多座とて難しくなるのではないでしょうか。
専科生を投入して公演しようにも、頼みのマイティ(水美舞斗)やなおちゃん(瀬央ゆりあ)は、こんなときに外部出演。
早くから決まっていた外部の舞台でしょうから、劇団のピンチだからと言ってあちらをキャンセルできないのは仕方ないのかも知れませんが、、、いま、外部出演なんてさせている場合じゃないですよね。
宙組生への聞き取り結果がどのような内容であったのか、その結果、宙組が組の体制を維持できない状況に陥る可能性は否定できない状況。
名指しされている上級生たちが、このまま舞台に戻れるとは思えないのが現実です。
30名を超えると言われている退団希望者の扱いも、この先、どうなるのでしょうか・・・。
宙組「立て直し」か「解体」か
ま、冷静に考えて、、、解体とはならないと思います。
ただ「再生」するにも時間がかかりそうですよね。
今回の件に関わっているとされる上級生たちはともかく、少なくとも、下級生の皆さんが1日でも早く舞台に立てるようにしてあげて欲しいな、というのが本音です。
特に配属されたばかりの研1さん、、、いきなり衝撃的な現実を目の当たりにした彼女たちの気持ちを思うと、切ない。
聞き取り調査の結果で劇団もなんらかの対応を検討し始めているとは思いますが、宙組の立て直し、、、できるのでしょうか。
組の屋台骨である組長やトップスターが揃って名指しされている事態。
この状況下では、もはやトップスターの交代は避けられない気がしています。
これまでは、仮に劇団がそのポジションに置き続けることを決断したとしても、ご本人のメンタルの観点から「厳しい」のではないかと思っていました。
でも、ご遺族側の記者会見を拝見し、劇団としてその選択をすることはあり得ないのかな、と。
宙組再生に向け、体制を入れ替える必要があるのではないかと。
それには、当然ながら他の組にも影響は出てくるものと思われますが、そこは、劇団が本気で生徒たちと向き合い、理解してもらうしかないですよね。
幸いにも(、、、と言っていいのかも憚られる状況ですが)、宙組2番手さんの名前は報じられていませんので、この件に関して大きく関わっていなかったとすれば、昇格させるのでしょうか?
専科スターの投入はあるのか?
宙組のこれからの体制を考えたとき、やはり「専科スター」の存在を抜きにはできない気がしています。
前例とか、学年とか、そんなことを言っている場合ではない、と。
個人的にはかちゃ(凪七瑠海)が、「ふるさと」である宙組の再生に、ひとはだ脱いでくれたら・・・と思ってしまいます。
学年的には確かに前例のない高学年です。
でも、かちゃの人柄なら、そして宙組にルーツを持つ彼女なら、宙組を立て直してくれるような気がするんですよね。。。
マイティやなおちゃんは、宙2の同期生。
ここは、かちゃがトップに立ってこのピンチを乗り越えてくれれば、次へつなぐバトンも自然な形で渡せるのではないのかな?とか。
現トップさんのファンの方々には本当に申し訳ない話ではありますが、、、それがもっとも現実的な道なのかな、と。
そして組長にはじゅんこさん(英真なおき)辺りを投入して。
じゅんこさんは確かすでに理事になっておられるので、立場的には組に所属する人ではないと思いますが、逆に、このイレギュラーな状況だからこそ、歌劇団の理事としてテコ入れする必要もあると思います。
生徒理事としての役割をいまこそ果たすときではないかと。
しかも、じゅんこさんは今回の公演に参加されていました。
それゆえ、ご本人もかなりショックと責任を感じておられるであろうことは想像に容易いですが、じゅんこさん以外に宙組を再生できそうな後任組長は浮かびませんね。
適任だと思います。
退団者と組替え
実際どれだけの退団者が出るのかは、劇団の対応次第というところではあると思いますが、宙組の体制に大きく影響が出ることは避けられないかと思います。
劇団が今回の悲劇が起こった原因を正しく把握し、真摯に対応し、劇団そして宙組の体制を整えるための方針を明確に打ち出すことができるのならば、退団を希望している生徒さんの中にも「もう少しここで頑張ってみよう」と翻意する人がいるのではないかと。。。
それでも、組のスターや所属人数のバランス等を考えれば、組替え発動は避けられないですかね、、、。
すでに発表されている月と宙の娘役トレードについても、いまだ言及がなくどうなることやら。
宙組が新体制で立て直しを図ることができるのであれば、月娘の宙への組替えはアリなのかも知れませんが、宙娘の月への組替えは現実的ではありません。
今回、遺族側の記者会見で「事実」とされたヘアアイロン事件の加害者とされている方なので、これまで「事実無根」→「火傷をした事実はあったが故意ではない」と発言を変えてきた劇団、、、さすがに考えるでしょう。
組替えが発表されたときには、次期トップの相手役になるのかな?と sora さんも考えていましたが、、、ないですね。
月組の次期にも泥がついてしまうような人事は、さすがにないでしょう。
組替え自体が取り消されるのでは?
かといって宙組にステイすることもできず、、、という判断になるのではないかと個人的には考えています。
もし本当に、このヘアアイロン事件が「完全に事実」とすれば、以前にも語ったことがありますが火傷を負わせるなんて「傷害事件」のレベルです。
だからこそ、本当にそんなことある???と疑っていたのですが。。。
いずれにしても、ちゃんと事実関係を調査して「事実」に基づいた対応をお願いしたいものです。
まとめ
劇団が今後について発表するとしている日まで、あと1週間。
星組が通常運転で集合日を迎え、配役が発表され、いよいよこっちゃん(礼真琴)の再始動!とワクワクしていた矢先の急展開。
この先に宝塚歌劇団がどこへ向かうことになるのかは全く未知の世界。
ただ、そこに宝塚歌劇がある限り、sora さんは宝塚歌劇を観に行きますし、星組さんを推し続けますし(笑)、宝塚歌劇という伝統文化を愛し続けます!
劇団に、阪急に、この切ない思い、届け!!!!!!
因みに、会見ノーカットはここで見られます↓
【動画】「宝塚」劇団員死亡 遺族側が会見「上級生からパワハラあった」 – YouTube
1時間十数分に渡って、詳細が語られています。